12月20日

山下達郎を支える凄腕ミュージシャン!ドラムとベースのベストパフォーマンスは?

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山下達郎、リズム隊ベストパフォーマンス


今回は、山下達郎の楽曲からリズム隊のベストパフォーマンスを5曲ほど挙げてみた。ベースを嗜む僕の主観で恐縮だが、選んだ楽曲はどれも素晴らしい演奏なのでぜひ聴いてほしい。

ちなみに、それぞれタイプが違う演奏なので甲乙つけられずランキング形式にはしてません。あしからず。では早速始めよう。

BOMBER


アルバム『GO AHEAD!』(1978年)
Drums:上原 “YUKARI” 裕×Bass:田中章弘
思わず身体が動きだしてしまう16ビートのファンクナンバー。僕もそうだったけど、ベーシストなら一度はコピーしたくなるチョッパーのリフがめちゃくちゃカッコイイ。粘っこいハンマリング・オンの連続がクセになる気持ちよさ! 聴きどころはもちろんベースソロだ。

それにしても歌モノの楽曲でここまでベースが前面に出るのは珍しいと思う。この曲で繰り出される田中章弘のゴキゲンな16ビートサウンドは上原裕が叩き出すビートとの相性が抜群であり、自然と身体でリズムを取ってしまう。

このビート感… シングル発売前にプロモ版を大坂のディスコを中心に配布したことで、なんと “ディスコナンバー” としてヒットを記録したのだが、それも納得である。この「BOMBER」について、後に山下達郎は「私の音楽生活のターニングポイントになった」とコメントを残している。この曲のヒットにより、山下達郎の認知度が世間でグッと上がったのは言うまでもなかろう。

SILENT SCREAMER


アルバム『RIDE ON TIME』(1980年)
Drums:青山純×Bass:伊藤広規
「SILENT SCREAMER」は、16ビートで軽快なサウンドのイメージがある山下達郎の楽曲において、少しばかり毛並みが違うソリッドなナンバーである。1拍3拍にベードラとスネアをビシッとキメる青山純の骨太な8ビートと、それに合わせる伊藤広規のロック色が強いチョッパーサウンドは、まるで山下達郎のシャウトを呼び寄せているかのようだ。

伊藤広規がこよなく愛する1967年製フェンダージャズベース…張っている弦はヘビーゲイジだ。これに合わせるのはマーシャルのアンプ。エフェクターは使用しない派である。これがあの極太サウンドの秘密だけれど、伊藤広規が弾くことであのサウンドが生まれるわけであり、別のミュージシャンが同じベースを弾いたとしても “あの音” にはならないはず。そう、プロというのは得てしてそういうものなのだ。

それはさて置き、この曲で息をのむ瞬間… それはサビの後半にあるブレイクの1小節だ。ピアノの余韻に飛びこんでくる山下達郎のシャウトと青山純のドラムのフィルイン、そこに被せる伊藤広規のチョッパーのタイミングが絶妙なのである。

たった4拍だが、この瞬間が一番の聴きどころだと断言したい。スタジオ版とは思えない張り詰めた空気をブチ破る圧倒的ライブ感…初めて聴いたときは思わず「うわぁっ」と声が出てしまった。最高オブ最高なのだ。



Windy Lady


アルバム『IT'S A POPPIN' TIME』(1978年)
Drums:村上 “PONTA” 秀一×Bass:岡沢章
静謐な雰囲気のなかに漂うアツさと一触即発な緊張感… ライブハウスの熱気とクールな演奏が凝縮された「Windy Lady」。収録は、今は無き六本木PIT-INである。
このメンバーでこの演奏…二度と再現できない最高のアルバムである。若かりし村上秀一と岡沢章、改めて聴くと達郎の声がめっちゃ若いよね(笑)。

晩年のポンタさん(村上秀一)が、とあるリハーサルの合間に僕に話してくれた──

ーー「曲の演奏ってのはさ、音をだす前から始まってるんだよ。わかるかい?メンバーの目を見て、お互いの息づかいを感じて…そう、歌いだす前の息を吸う微かな音だって演奏なんだ。これはデカいドームなんかじゃ味わえない研ぎ澄まされた生の感覚だ。だから俺はマイクを使わない生音で勝負できる小さいところでライブをやりたいわけよ。

美和(ドリカムの吉田美和)が『ポンタさん一緒に演りましょうよ』って言うけど『このクソったれ』って言ってやったね(笑)ドームツアーとか、そんなのやってるお前らとは演らないよって。俺は若いやつらに生の音を聴かせたい…ヘッドホンで聴くのとは違う、肌で感じるライブの良さってのを知ってほしいんだ。だってよぉ…このままじゃ日本の音楽がダメになっちまうじゃねぇか」

ーー このライブの「Windy Lady」の演奏は、まさに村上秀一の話そのものなんだ。

揺れる達郎の声に呼応するかのような村上秀一のブラシワーク。スティックに持ち変えたタイミングで繰り出される洗練されたフィルイン。盟友岡沢章が奏でるベースラインとインプロヴィゼーション(即興)は、アーティキュレーションの巧みさによって抑揚が美しく際立っている。もはや一曲丸ごと聴きどころなのは言うまでもない。



SPARKLE


ライブアルバム『JOY-TATSURO YAMASHITA LIVE-』(1989年)
Drums:青山純×Bass:伊藤広規
スタジオ版も良いけれど、やはりライブバージョンがお勧めだ。山下達郎ライブでは必ずと言っていいほどオープニングに演奏されるナンバー。鉄壁のリズム隊から繰り出される軽快なグルーヴは「最高!」の一言に尽きる。

この曲の聴きどころは、拍の頭抜きキメの部分。「♪ダダダ、ダダダ、ダダダダッダッダダッダ」の後に1拍おいて入る青山純のだめ押しのシンバルだ。マニアック過ぎてアレだけど、青山純のフィルインはどれを切り取っても一瞬で心奪われる魅力に溢れている。決して難しいプレイじゃないのもまた良いところだ。

ベースの聴きどころとしては、全体のグルーヴを作り上げている伊藤広規のチョッパーサウンド。それと、ここぞの場面で入るハイポジションのフレーズの美しさである。この辺りの “遊び” が彼の真骨頂だけれど、とにかく挟み込むフレーズの全てがセンスの塊りだと申し上げたい。

アルバム『JOY-TATSURO YAMASHITA LIVE-』はライブアルバムだけに、他の曲でも随所にトリッキーなハイポジションフレーズが聴き取れる。とにかくカッコイイ。このアルバム、ベーシストなら全部をコピーして損はない珠玉の音源と断言したい。



PLASTIC LOVE


ライブアルバム『JOY-TATSUROYAMASHITA LIVE-』(1989年)
Drums:青山純×Bass:伊藤広規
ライブアルバムからもう1曲。いまや世界が認めるシティポップにまで上り詰めた「PLASTIC LOVE」は外せないだろう。

このアルバムに収められたバージョンは圧巻である。もちろん聴きどころは青山純の “片手16ビート” だけれど、実はそのビートに合わせたベードラのキックが本当の聴きどころである。プロミュージシャンのなかでも特に重いセッティングと言われているペダルで「♪ドッドドッドッドド」と楽曲の8割くらいを踏み続けるのは並大抵のことじゃない。

以前僕は、某楽器店主催の『青山純のドラムクリニック』に参加して、彼が叩く「PLASTIC LOVE」を目の前50cmくらいで拝見したことがある。粒立ちのハッキリした音の一つひとつはまさに「一打入魂」だった。

ちなみに、このドラムクリニックのときに青山純は「ライブ中ちょっと休んで “両手で” ビートを刻むと達郎さんが感づいて後ろを振り向くんだよね、で、慌てて片手に戻すんだ(笑)」と語っていた。

もうひとつ聴きどころとしては、伊藤広規の指弾きテクニックだろう。細かくタイトにミュートした空ピッキングから繰り出される16ビートのグルーヴと、ときおり入れてくるアドリブのベースラインがこの曲のアダルトさにスパイスを加えている。なんたる芸達者。本当に惚れ惚れするプレイなんだ。


―― いかがだっただろうか。他にもまだ「MUSIC BOOK」(アルバム『FOR YOU』)のDrums:渡嘉敷祐一×Bass:岡沢章とか、「Spacey-Dancer」(アルバム『SPACY』)のDrums:村上 “PONTA” 秀一×Bass:細野晴臣の組み合わせもあって若干の心残りはあるけれど、それはまたいつの日にか紹介してみたい。

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2023.03.28
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カタリベ
1967年生まれ
ミチュルル©︎たかはしみさお
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