12月1日

巷にあふれるラグビーソング、いや「ノーサイド」と「ヒーロー」だけで十分だ!

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大盛り上がり!ラグビーワールドカップ2019日本大会


今まで日本においてメジャースポーツとはいえなかったラグビーが『ラグビーワールドカップ2019日本大会』を機に一気にスポーツ界の表舞台に飛び出してきた。まあ、僕だってラグビー経験者ではないからエラそうなことは言えないけれど、それでも過去30年近くラグビーを見続けてきたから、この異様な過熱ぶり、年末年始メディアに出ずっぱりだった日本代表メンバーの人気ぶりには驚くばかりだ。

そして今、巷にあふれるラグビーソング


それにしても、“ラグビーソング”と呼ばれる曲が巷にあふれる時代が来ようとは思いもよらなかった。ラグビーソングと名のつく曲は、2019年大晦日の『NHK紅白歌合戦』で歌われた松任谷由実の “「ノーサイド」(1984年)で決まり!” というのが、ほぼほぼラグビーファンの30年以上の定説ではなかっただろうか。もし、さらにもう一曲挙げるなら、麻倉未稀が歌ったドラマ『スクール☆ウォーズ』の主題歌「ヒーロー -Holding Out For a Hero-」(これも1984年)。この2曲があれば、高揚感もカタルシスも代弁してくれていた。

ところが、今や

B'z「兵、走る」
Little Glee Monster「ECHO」
嵐「BRAVE」
カントリー・ロードの替え歌「ビクトリー・ロード」
米津玄師「馬と鹿」
カルナバケーション「だれも知らない」
阪本奨悟「無限のトライ」
Ivy to Fraudulent Game「模様」

などなど、ラグビーに関連づけられる歌が一挙に増えてしまった。

他のスポーツでは、こんな現象はこれまでなかったのではなかろうか? それとも、あったけど一過性のブームで忘れ去られたのだろうか? 

いずれにせよ、オールドファンの枠に入る僕のような中年にとっては、ラグビーソングは前述の「ノーサイド」と「ヒーロー -Holding Out For a Hero-」だけで十分だ。

日本ポップス史上初! ラグビーをテーマにした松任谷由実「ノーサイド」


松任谷由実の「ノーサイド」は、日本のポップス史上初めてラグビーをテーマに作られた名曲だ。1984年1月7日に行なわれた『第63回全国高校ラグビー大会』の決勝・天理対大分舞鶴戦を題材にしたものである。

天理対大分舞鶴!古かぶのおっさんファンならこの名勝負を語るだけで涙を流しながら朝まで呑めるわけだが、そんな話しをしても、今様のW杯にわか軍団にはモノスゴく嫌がられるだろう…。きっと「へー、そうなんですね」としか言われない。天理対大分舞鶴に胸踊らされた僕らと、ONE TEAM 好きの若きファンとは、熱さの “量” は同じだとしても “質” が違うのである…… とか何とかアツく演説ぶっていること自体がすでに、ONE TEAM派には受け入れられないと思う…。

曲に話しを戻すと、さすがはユーミン。あの時代の熱さ&感情をむき出しにはせず、第三者の立場から絵画を描くような情景描写をもってして、麗しのシティポップに昇華させている。35年越しのテレビ初披露となった紅白では、うるんだ目と涙声で「この歌に、こんなチャンスを与えてくれてありがとう!」と述べていた姿が印象的だった。この瞬間、僕の中ではやっとこさ天理対大分舞鶴とW杯がつながったような気がして、ちょっぴり嬉しかったです。

スクール☆ウォーズ! ボニー・タイラーをカヴァーした麻倉未稀「ヒーロー」


さて一方の麻倉未稀「ヒーロー -Holding Out For a Hero-」にも触れたい。この曲を『スクール☆ウォーズ』と切り離して考えることはできない。ボニー・タイラーの曲の日本語カヴァーなわけだが、そんなことより先にドラマ冒頭の芥川隆行によるナレーションが想起される。

イントロになだれ込んでくるシンセドラムからして、校内の廊下をバイクで走るヴァイオレンスな熱さがある(オープニング映像がそうなんです!)。これもONE TEAM派の皆さんには受け入れられないカッコよさですよねぇ… くどいようですが(笑)。もちろん歌詞も情熱的に押しの一手。明治大学ラグビー部のように “前へ!!” といったあんばいだ。

なお、この曲は葛城ユキもほぼ同時期に歌っていた。僕は子どもの頃に麻倉未稀と葛城ユキを混同していたのだが、これは僕だけだったのだろうか……?

川浜高校のイソップこそ「ヒーロー」にふさわしい!?


ドラマ放映当時、僕は子どもながらに「はて、ヒーローとは誰のことを指して歌っているのだろう?」とぼんやり考えながらこの歌を聴いていた。ドラマを観続けるにつれ、その答えは「イソップに違いない!」と思い始めた。登場人物の奥寺浩ことイソップである。全力で仲間とラグビーを愛したが、もともと体が弱く、第13話で亡くなってしまった川浜高校の英雄。もちろん、登場人物全員のことを指しているのが正解なのだろうが、僕にとっては今でもイソップの歌である。幼少期の思い込みは本当に消えにくい。

そんなわけで、ラグビーというスポーツが一過性の人気に終わらないことを切に願っております。

2020.01.11
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カタリベ
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