まさに大ハプニング!新日本プロレスの看板選手、スタン・ハンセンが全日本プロレスに電撃移籍
スタン・ハンセンは、新日本プロレスがスターにした!--
当時のプロレスファンは誰もが思っていたことだろう。「アメリカではあまり人気がない」「サンマルチノの首を折ったからプロモーターに嫌われて干された」などという噂が信憑性を持たれた時代。必殺ウエスタン・ラリアート(決してラリアットではない)で一気にスターとなったハンセンは、まさに新日の看板選手。それだけに全日移籍は衝撃的な出来事だった。
1981年12月、年末のマットを大いに盛り上げた新日本プロレスの「第2回MSGタッグ・リーグ戦」が終了した数日後、ハンセンは突如、全日の「世界最強タッグ決定リーグ戦」で、盟友ブロディとジミー・スヌーカ組のセコンドに現れた。2人の後を歩いてきたハンセンが会場に入ると、アナウンサーが「あっ、スタン・ハンセンだ。これは大ハプニングが起こりました」と絶叫したことを覚えている。ファンは当然としても、一部の関係者しか知らされていなかったという、まさに電撃移籍だった。
でも、おもしろいのは、すぐに会場のファンから「ハンセンコール」が起こったこと。それぐらいハンセンの存在は圧倒的だったのだ。
スペクトラム+ケニー・ロジャース、全日時代のテーマ曲「サンライズ」
試合では、場外でハンセンがテリー・ファンクにラリアート一閃。大の字となったテリーを尻目に、ブロディがドリー・ファンクJr. に十八番ギロチンドロップでフォール。祝福のためにハンセンが私服のままリングに上がると、今度は馬場と鶴田が登場。そのまま大乱闘を繰り広げるという、抜群の演出。試合後、キレた馬場曰く「ふざけんじゃないって言うんだよ。人の家に入ってきやがって……」と、これもいい。「これなら全日でもいいか」と思ってしまった。
その後の活躍は、誰もが知るところ。ベストバウトが有り過ぎて、試合を絞ることはできない。ただ、会場のファンの多くが楽しみにしていたのは、試合後だったかも。暴れ回るハンセンが、若手レスラーをボコボコにして、最後はラリアート。ときには、何人にも仕掛けるから、ファンにはたまらない。そう、ハンセンはサービス精神旺盛だったのだ。
そんなハンセン、全日時代のテーマ曲は、ご存じ「サンライズ」。他の番組でも頻繁に使用されていたから、プロレスのテーマ曲とは知らないで耳にしていた人も多いことだろう。これは日本のバンド、スペクトラムの曲だが、イントロの馬の嘶きなどは、ケニー・ロジャースの「君に夢中(So in Love with You)」の前奏部分をミックスさせている。プロレスの枠を超え、現在でも重宝されている “気合いを入れる曲” だ。
※2017年1月16日に掲載された記事をアップデート
2019.12.13