レコードが満足に買えなかった小学生時代。ラジオを聴いて音楽の知識が増えていくことが楽しくて仕方がなかった。この頃、私にとって大変ためになった番組が『全国歌謡ベストテン』(文化放送)でした。
『全国歌謡ベストテン』は、高島忠夫さん(4代目 / 1977~1991年)司会のランキング番組。TBSの『ザ・ベストテン』とはまた違った魅力がありました。
『ザ・ベストテン』のランキングは、4つの要素を元に集計されていました。それは、「ハガキ」「レコード売り上げ」「ラジオ」「有線放送」へのリクエスト、といったものでしたが、『全国歌謡ベストテン』の場合、これとはまた違った独自性がありました。
それは、リクエストではなく「番組選考委員会の決定」というものです。今思えば、謎の組織? みたいです。
『全国歌謡ベストテン』の良いところは、
1. ザ・ベストテンとは違うチャートアクションがあった
2. 余計な曲紹介がない
3. フルコーラスでかかる率が高い
4. 親の目を気にしないで音楽が楽しめる(これは個人的な意見ですが w)
例えば、ランキングの違いでいうと『ザ・ベストテン』では1位になっていないC-C-Bの「空想Kiss」が1位になるということがありました。当然上位であればあるほど曲のかかる長さが違うので、好きな曲が上位に食い込むと非常に嬉しかった。
コメンテーターとして、評論家の伊藤強さんがいたのも良かった。ご意見番として、大体辛口な批評が多かったですが、ヒットの動向などをとても詳しく話してくれました。
穏やかな語り口調の中にも、曲に対するするどいコメント。特にアイドルには厳しかったかもしれません。でも松田聖子、河合奈保子など実力のある人は高評価でした。好みということもあるでしょうが。
この頃、好きでよく聴いていた曲に来生たかおさんの「夢の途中」があります。そう「セーラー服と機関銃」の作者です。『ザ・ベストテン』ではあまり上位に上がらなかったのと(最高位4位)、来生さん自体、あまりテレビに出たがらなかったせいなのか、あまりちゃんと曲を聴けなかったのですが、ラジオではじっくり聴けます。
実は、薬師丸ひろ子さんの「セーラー服と機関銃」よりも来生さんの「夢の途中」の方が私は好きです。来生さんの歌を好む理由は「声を張らなくても届くものがある。」ということに共感したから・・・
歌というものは、声量があって、明瞭な発音で伸びやかに歌唱するものである、という従来の定義。それをひっくり返すほどのインパクトがありました。私は以降、肩の力が抜けた音楽を好んで聴く、老成した小学生になるわけです(笑)。
それぞれの歌詞の違いは1番のほんの一部だけですが、小学生だった私は、薬師丸さんの歌には大人っぽさと勇ましさを感じ、一方、来生さんの歌からは、人生の壁にぶち当たったことに虚しさを抱いてる、そんな印象を受けました。
当時、私は学校生活の不安さから、来生さんの歌に共感していましたが「付き合うなら薬師丸さん。ボクをグイグイ引っ張ってくれるような女の子がいいな。」という、かなり都合のいい考えを持った不埒な小学生でした(笑)。
次回は、『全国歌謡ベストテン』と共に夢中になって聴いていた、私のもうひとつの原点ともいうべき『FMリクエストアワー』(NHK)について、語れたらと思います。よしなに。
2017.04.28
YouTube / asdf1258151
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