高校生の頃、バンドを組む時に最も苦労したのがベーシストを見つけることだった。僕はパンクバンドを組みたいと思っていて、まずはセックス・ピストルズのコピーを演りたかった。
でもその頃はパンクバンドをやりたいという友達が僕の周りにはいなかったし、そもそもギターが少し弾けるようになったら、ほとんどがディープ・パープルとかレッド・ツェッペリンをコピーしていたからね。パンクなんかやりたくないよって感じだった。ましてやベースなんて言うまでもない。で、考えたのがロックやパンクを全く知らない奴を誘うというヤケクソ気味の作戦だった。
僕が通っていた高校の軽音楽部はアコースティックギターが中心のアンプラグド軽音楽部で、アンプから音を出せるのは夏休みから文化祭までの2ヶ月間に限られていた。それ以外の時期はアコギでジャカジャカやってる僕にとってはユルい部活だった。ある日、部室でアリスの「冬の稲妻」を弾いていたカワに声をかけてみた。
僕 :カワ、ベースやってみない?(ダメもとの冗談半分で)
カワ:ベースかぁ。面白そうだね(おっ、好感触?)
僕 :バンドでやってみたい曲ある?(きっとアリスだろうな)
カワ:そうだな〜、「ブルー・ラグーン」とかいいよな(へっ?)
僕 :「ブルー・ラグーン」ってタカナカの?(アリスじゃないの?)
カワ:そう、あれ気持ち良さそうだよな〜(まじかよ?)
僕 :OK、それやろう! カワ、ベースに決まり!(もう知らね、後で考えよっと)
翌日、カワにセックス・ピストルズのカセットテープを渡しベースをコピーするようにお願いした。カワはピストルズを聞いたことがあるのか、これを聞いて激怒しないか、と不安な気持ちで過ごした数日後、「あの曲、コピーしたよ」とカワからの嬉しい返事。早速、その日の放課後、部室でアコギで合わせた曲は「アナーキー・イン・ザ・UK」。いいとかダメとか上手いとか下手とかどうでもいい。アコギとはいえ一緒に音を合わせているんだから嬉しくてしょうがない。これが初期衝動ってやつか! バンド結成が一歩前進したぞ!
アコギでの音合せが終わり、気分上々の僕にカワが言った。で、「ブルー・ラグーン」はまだコピーしなくていいの?(ドッキ〜! 覚えてたのね)
あ〜、あれね。歌がないからやめとく。
2017.01.09
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