そして僕は途方に暮れる…
タイトルを目にしただけで、胸がちょっと締め付けられ、懐かしく思うのは私だけではないでしょう。そして、単調なようにも感じるけど、一度聴いたら忘れられない “あの” イントロのリズム。1984年9月、秋に発売された曲ですが、なぜだか冬、それも真冬の寒い時期、冷たい空気が肌を刺す、そんな雰囲気で聴きたくなります。そして、あの頃の切ない愛を思い出したくなります。
この曲が発売された時、まだ女子高生だった私は、恋愛での男性の気持ちを歌った曲をあまり聴いていませんでした。でも、イントロが流れてきて、今まで聴いたことがなかったような大沢誉志幸さんの声を聴くと、16歳の私は、なぜか切なくなり、初めて男性の愛の果ての想い、「途方に暮れる」というラブストーリーを感じたのです。
もちろん、情景が見える歌詞も胸を締め付けますが、この曲の雰囲気は、とにかく最初から最後までメロディー、曲調が、「切ない、切なすぎる」のです。とかく生き急いだり、女性の前では強がってしまう大人の男性が、「途方に暮れる」。そんな一見カッコ悪そうな恋の終わりを、大沢誉志幸さんの「悲しげなハスキーボイス」が大人の男性を魅力的に映し、静かでハードボイルド的なかっこ良さを醸し出してくれました。
私にとっては「冬に聴きたくなる」曲ですが、ある男性は、「夏に聴いていたから、この曲は夏のイメージかな」と。なるほど、音楽って面白いですよね。自分の聴いていた季節によって、人それぞれの曲の季語が違ってくるんですから。
みなさんは、どんな季節、どんな時にこの曲を聴かれていたのでしょう。男性として「途方に暮れる」ことはありましたか? 大沢誉志幸さんのこの曲は、30年経って聴いても誰かを愛しく思っていた胸キュンな記憶を思い出させてくれます。そして、大人の男性の優しさ、強がりが、この胸をまた切なくさせてくれるのです。
君の選んだことだから きっと大丈夫さ
もしかしたら女性だって、「大丈夫だなんてそんなこと言わないで。思わないで。本当は私もあなたのいない心に、途方に暮れているの、まださみしいのよ」と思っているのかもしれませんよ。
2017.02.07
YouTube / TeichikuMusicChannel
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