3月21日

矢沢永吉「時間よ止まれ」永ちゃんに助けられた初デートの想い出

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photo:eikichiyazawa.com  

「時間よ止まれ」、言わずと知れた矢沢永吉の名曲だ。

この曲が発売されたのは、1978年3月21日。桜の咲く頃に発売された曲だけど、この年の資生堂・夏のキャンペーンソングとして作られた曲なので、“真夏の曲” だ。

僕はこの曲を聴くたびに、あの夏の日を想い出す。

今思うと、この日が僕の人生においての初デートだった。1978年の僕は中学1年生で坊主頭だ。最近はあまり見ないような気がするけど、当時の中学生は坊主頭にするのが必須で、自転車に乗るときは学校指定のヘルメットをかぶるのも必須。嫌で嫌でしょうが無かったけど、まあ、周りもみんな同じだから諦めるしかなかったよね。

初デートの相手の女の子が誰かというと、僕の許嫁(いいなずけ)。許嫁はかなり大袈裟かな。実はお袋同士が同級生で、その子供が同じ小学校で同級生という状況。それを面白がって、お袋同士が将来結婚させようと冗談で言っていただけなんだけどね。

冗談とは言え、そんなことを聞かされた少年と少女が、お互いを意識しないわけがなく、よく一緒に学級委員をやっていたりもしたので、なんとなく気になる存在で、なんとなくいつも近くにいたり、なんとも言えないフワフワした関係だったんだ。

中学生になって最初の夏休み、ひょんなことから彼女に誘われて、夏祭りに一緒に行くことになったのだけど、女の子と二人だけで遊びに行くなんて初めてだし、何を着て行けばいいかと悩みに悩んだ。

学校が推奨する休みに遊びに行くときも学生服なんて野暮なことは出来ないし、オシャレな服など持っていないし、小学生みたいな服じゃ恥ずかしいし―― 悩んだ末に「よし、これだ」と選択したのは、大好きだった永ちゃんの “E.YAZAWA” のロゴがフロントにドーンと入った白いTシャツ。

でもこれは結構冒険だった。だって、永ちゃんのファンは熱狂的だし、坊主頭の真面目な中坊が着ていたりしたら、生意気だとからまれるかもしれないし。

そして案の定、僕たち二人は怖い三人組のお兄さんたちにからまれることになる。Tシャツが原因かはわからないけど…

怖いお兄さんと言っても高校生だけどね、明らかにカツアゲ目的の悪魔たちだ。当時はよくあったんだ。“よりによって、女の子と一緒にいる時でなくてもいいじゃんか” とか、“やっぱり永ちゃんのTシャツ着てきた自分が悪かったのかな” とか、心の中でブツブツ言いながら、彼女に恥ずかしいところを見せずに切り抜けるにはどうすればいいかな、と頭をフル回転させていた時、天使が現れた。

「なんだ、お前ら、永ちゃんのファンはオレの友達だぜ。オレの友達をいじめんじゃねーよ」

こんなイカスセリフで悪魔たちを一瞬で追っ払ってくれたのは、そばにいた焼きそばの屋台のお兄さんだった。永ちゃんの大ファンな人で、僕が「時間よ止まれ」が好きだ、こんな壮大なバラードは永ちゃんじゃなきゃ作れないとか、キャロルも好きだと話したらとても喜んでくれて、ピンチから救ってくれただけじゃなく、焼きそばまでご馳走してくれた。

この永ちゃんファンのお兄さんのお陰で、僕の初デートは気まずくなることもなく楽しく過ごすことが出来たという強烈な想い出。もし、助けが入らずカツアゲされていたら僕は永ちゃんが大嫌いになっていたかもしれないけれど、この出来事もあり、僕は矢沢永吉というアーティストをリスペクトし続けている。

「時間よ止まれ」の大ヒットは矢沢永吉がソロデビューしてから3年後のことだ。ソロとなった当初は、その曲調の違いからかキャロル時代のファンからのとまどいの声や、否定的な意見もあったようだけど、一切ブレることなく、自分の信じる音楽をやり続けた結果の大ヒットだった。

「時間よ止まれ」は、“元キャロルの矢沢永吉” から元キャロルが取れ、“矢沢永吉” として一般に認知されることに成功した記念すべき曲だったと言っていいのではないだろうか。

永ちゃんは、自分のことを「矢沢」と呼ぶ。

これは、自分を第三者目線で客観的に見ることが出来る証で、彼の中に理想の『矢沢永吉』が存在していて、その理想に向けて自分自身をプロデュースしているに違いないと僕は思っている。まるでゴルゴ13のようだ。そんな矢沢永吉にかなうアーティストはいないのではないか。

そう、矢沢永吉は最強なのだ。

2018.04.01
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カタリベ
1965年生まれ
藤澤一雅
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