7月2日

追悼:市原悦子 —「家政婦は見た!」石崎秋子よ永遠に。

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テレビ朝日系 土曜ワイド劇場「家政婦は見た!」の第1作が放送された日
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photo:tv asahi  

「混浴露天風呂連続殺人」「江戸川乱歩の美女シリーズ」「密会の宿」など、数々の人気シリーズを生んだ、テレビ朝日の2時間ドラマ『土曜ワイド劇場』。なかでも随一の人気シリーズが、1983年から2008年まで続いた「家政婦は見た!」だろう。

市原悦子演じるベテラン家政婦の石崎秋子が、派遣先の上流家庭のドロドロ内部事情をのぞき見し、最後は啖呵を切ってその家を出ていくというのが、毎度のお約束。華道家元宅、病院長宅、代議士宅、はては暴力団組長宅まで、秋子の派遣先は幅広い。ふるさと創生1億円事業や君島ブランドのお家騒動など、当時の時事ネタを反映したストーリーも多かった。毎回大まかな展開は同じなのに、まったく飽きることなく、私も秋子と一緒にのぞき見を大いに楽しんだ。

「家政婦は見た!」というと、ドアやカーテンの陰からじーっとのぞき見する秋子と同時に、あの軽快なテーマ曲を思い出す人も多いのでは? 作ったのは、数々のテレビドラマのテーマ曲を手がけ、“劇伴の達人” とも呼ばれる坂田晃一。オープニングで流れるこの曲が、視聴者の期待を煽る煽る。コミカルなのに、なんだか不穏。弦楽器が奏でる怪しいイントロから、私の心はザワザワした。

毎回エンディング近くになると、一族関係者全員集まる場で、事件の謎解きをする名探偵ポワロのごとく、秋子はみんなの秘密を洗いざらいぶちまける。そして残りの給料を清算し、カッコよくその家を後にする。だが、その後、ケガをしたり、お金をだまし取られたり… と、秋子も必ず痛い目に遭う。また、秋子の啖呵によって、必ずしもその家庭がいい方向にいくわけでもない。何ら変わらなかったり、次の悪いヤツがのさばり出したりの後日談が判明することも多い。

だがエンディング、秋子は再生する。あのテーマ曲が再び流れる中、痛めた箇所を気にしながらも、次の派遣先へ向かう秋子。到着すると、痛みも忘れ、その家の豪奢なつくりに目を輝かせる。インターホンを鳴らすでもなく、勝手口に回るでもなく、正門によじのぼり、「ごめんくださいましー! 大沢家政婦紹介所からまいりましたー。ごめんくださいましー!」と叫ぶのだ。そして、キハーダというラテン楽器(北島三郎「与作」でおなじみ)の「カーッ!」という音で、番組は終わる。そう、秋子は、庶民のヒーローでも正義の味方でもない、一介の家政婦。でも、それでいいじゃない。

市原悦子さん死去のニュースを聞いて、私がまず思い出したのが、石崎秋子だ。噂好きで、詮索好きで、おしゃべりで、世話好きで、意外と惚れっぽい。一歩間違えればかなり鬱陶しいキャラクターになりそうな秋子を、物悲しくもチャーミングに演じられる女優は、市原さん以外思いつかない。

今、秋子が派遣されるなら、どこだろう。ネット通販で大儲けした IT 社長宅、会社の資金を私的にため込んだ外国人社長宅、父娘で骨肉の覇権争いをする老舗家具店…。もう新作がつくられることはないのに、一介の会社員である私は、ついついそんな妄想をしてしまう。

2019.01.20
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  YouTube / 若造昭和之
 

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カタリベ
1967年生まれ
平マリアンヌ
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