1980年は中学2年の自分が狂ったように映画を見始めた年。
この年の夏休み映画はインパクトがあった。『スター・ウォーズ / 帝国の逆襲』に、宇宙戦艦ヤマトの一応の完結編『ヤマトよ永遠に』、小松左京原作の『復活の日』と大作の目白押し。
そんな中、規模的には落ちるが、柳沢きみおの同名漫画の映画化『翔んだカップル』は見逃すワケにはいかなかった。
というのも、同作は薬師丸ひろ子の初主演作だったから。
デビュー作『野性の証明』を見て以来、彼女のファンになった自分には、後の『戦国自衛隊』の “子供のような武士” 役でのチョイ役出演では物足りず、当時やたらとひろ子情報が載っていた月刊誌『バラエティ』を購入しては初主演を務めるという『翔んだカップル』を心待ちにした。
この雑誌には同作のシナリオも掲載されていて、うっかり読んでしまった自分は映画を見る前に見た気になっていたが……
しかし映画の妙味はシナリオでは描かれていない部分にあったりする。ここからは薬師丸と離れて音楽の話へ。
『バラエティ』誌によると、ルイスというバンドの「ボーイズ」と、H2Oなるデュオのナンバー「ローレライ」が重要な曲になるという。どちらもメジャーデビュー曲。
個人的にはエンディングテーマの前者の方がメロディアスで好みだったが、後に人気が出たのは「想い出がいっぱい」のヒットを飛ばす後者の方だった。
それらよりも衝撃を受けたのが、共演の鶴見辰吾がヘッドフォンで聴いていた、とっても乱暴な曲の方。
ブンブン、ブブンブーン!
というフレーズが今まで聴いたことのないような声で歌われるこの曲こそRCサクセションの「ブン・ブン・ブン」。
数秒ほど流れた程度だったが、こんな音楽が日本にあるのかと仰天した。この頃から自分は映画の一方で狂ったようにロックにのめりこむのだが、振り返るとこの年の夏はその扉が開かれたときだったのかもしれない。
2016.08.07
YouTube / NORIGONM
Information