えっ!? と声が出てしまった。瞬時に全身の力が抜けていくのを感じた。脱力感が僕の体を支配し、しばらくは何も手につかなかった。4月22日未明、フェイスブックで訃報のニュースに接した時のことだ。そう、プリンスが死んだ。
私的な話で恐縮だが、80年代とは僕の15歳から24歳までの期間を指す。音楽に限った話ではなく、この期間に体験した様々な出来事は僕の感受性を膨らまし、成長の礎となってきた。リアルタイムで接したかどうかではなく、50年代のジャズも、60年代のフラワームーブメントも、70年代のアメリカンニューシネマも、僕は全部80年代に体験した。同時に、リアルタイムのシーンも追っかけていたわけだから、なんでそんなに時間があったんだろう?とも思うが、好奇心はもちろん、吸収力や咀嚼力が今よりも優れていたのだろう。
そんな僕の80年代、リアルタイムのシーンで突っ走っていたクリエイティヴの塊のようなミュージシャン、それがプリンスだった。彼が80年代に発表したアルバムは10枚、年1枚ペースの驚異的なスピードである。当時の音楽シーンはプリンスの一挙手一投足に注視しながら、固唾を飲んで見守っていた感はあったし、その期待にたがわず、発表する作品全てがハイクオリティだった。大げさではなく「革命」的なアルバムを連発していた。
1980 ダーティ・マインド
1981 戦慄の貴公子
1982 1999
1984 パープル・レイン
1985 アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ
1986 パレード
1987 サイン・オブ・ザ・タイムズ
1987 ブラック・アルバム(発売中止になり正式にリリースされたのは94年)
1988 LOVESEXY
1989 バットマン
僕の場合、1984年のパープル・レイン以降「次はいったいどんなアルバムになるんだろう!?」なんて、期待と想像を膨らませながら新作を渇望し、レコードに針を落とす度に高揚させられた。こんな「ストーリーと実が伴った音楽体験」ができたことは本当に幸せだったと思っている。ありがとうプリンス… 感謝してる。
2016.04.24
AppleMusic
Information