Re:minder clubが主催する『昭和アニソン大合唱』は、みんなが主役であり、飲食を楽しみながら “座って大合唱” しようという新しいスタイルの音楽イベント。12月5日(金)東京・渋谷のLOFT9Shibuyaにて開催!現在一般前売りチケット受付中だ。
今回が初開催となる『昭和アニソン大合唱』は、1970年代のアニメソングをクローズアップ。みんなで集まって語り合えるライブイベントの素晴らしさをぜひ体験して欲しい。ということで、今回のコラムはイベントの第1部に行われる《セツナ系エンディングを深掘り》コーナーにちなんで、1970年代の ”エモくて切ないアニメソング” を紹介しよう。
「アンデルセン物語」エンディング曲「キャンティのうた」に隠された秘密
キャンティのうた / 増山江威子、ヤング・フレッシュ・作詞:井上ひさし / 山元譲久
・作曲:宇野誠一郎
・1971年1月3日〜1971年12月26日『アンデルセン物語』(フジテレビ系)主題歌
『アンデルセン物語』は『カルピス漫画劇場』(後の世界名作劇場シリーズ)の枠で、日曜のゴールデンタイムに放送されたファミリー向けのアニメ番組だ。魔法の国の妖精キャンティと相棒のズッコが、アンデルセン童話の中に飛び込んで “魔法カード” を集めてゆく物語。キャンティが憧れる “魔法大学” に入学するためには、良い行いをすると現れるこのカードを101枚集めなくてはならないのだ。
アンデルセン童話の主人公と出会い、その行く末を見守りつつ次の新しい童話の世界へ向かってゆくキャンティとズッコ…。エンディングで流れる「キャンティのうた」は、幼心にも物悲しさを感じさせる曲だったが、そんなノスタルジアに駆られた理由を理解したのは大人になってからのことだった。
いつか知らないところで
あなたと あなたと出会ったの
(中略)
いつか知らないままに
あなたと あなたと別れたの
いまはどこ?
物語の最終回―― “マッチ売りの少女” を救えず、悲しみに暮れるキャンティ。だけど立ち上がり、ズッコと一緒に空へ飛び立つ……。ここで、今まで放送では使われなかった「キャンティのうた」の2番が流れ、1年間を振り返る回想シーンに切り替わる。エモすぎるエピローグの演出である。そう、「キャンティのうた」の歌詞は、物語で出会った人たちとの思い出そのものを歌ったものだと、この時初めてわかるのだ。
「魔女っ子メグちゃん」メグの内面に寄り添った「ひとりぼっちのメグ」
ひとりぼっちのメグ / 前川陽子・作詞:伊丹亮一郎
・作曲:渡辺岳夫
・1974年4月1日〜1975年9月29日『魔女っ子メグちゃん』(NETテレビ系)主題歌
『魔女っ子メグちゃん』は、『魔法使いサリー』を第1作とする “東映魔女っ子シリーズ” の7作目だ。魔界の次期女王候補であるメグが人間界で生活し、家族のやさしさや、学園生活で芽生える友だちとの絆を通して成長してゆく物語だ。そして、このアニメのエンディングで流れる曲が「ひとりぼっちのメグ」である。
オープニング曲では小悪魔的なメグが演出されているが、エンディングでは本編ではあまり触れられない、メグの寂しげな内面が描かれている。
あの子のなみだは
わたしのなみだ
そう、ここがエモいポイントなのだが、普段は活発で明るい普通の女の子であるメグだが、本当は魔女で人間ではないという複雑な思い。そんなメグの孤独に寄り添うために、作曲の渡辺岳夫は敢えてタンゴの曲調を選んだのではないか。
タンゴとはアルゼンチン発祥のダンス曲である。スタッカート(跳ねる音)を使って情熱を帯びたメリハリのあるリズムを特徴とする。タンゴの旋律には哀愁と切なさを込めるのが定番であり、それはメグの心に秘めた寂しさを表現するのにしっくりとハマる。そう、「ひとりぼっちのメグ」は、渡辺岳夫の音楽的素養の広さとセンスの良さが盛り込まれた飛び切りの楽曲なのである。
勇気と希望を感じさせる「キューティーハニー」エンディング曲
夜霧のハニー / 前川陽子・作詞:伊藤アキラ
・作曲:渡辺岳夫
・1973年10月13日〜1974年3月30日『キューティーハニー』(NETテレビ系)主題歌
お色気シーンの刺激が強すぎて、親と子が一緒に観て楽しむには少々ハードルが高かった『キューティーハニー』。ただ、主人公の如月ハニーに内蔵される空中元素固定装置というマニアックさや、犯罪組織パンサークローとの攻防で、父親の如月博士や親友の夏子も命を落とすシリアスな展開も含め、子供の持つ大人心を刺激してくる奥深いアニメだったのはいうまでもない。
前章の「ひとりぼっちのメグ」同様、この「夜霧のハニー」でも主人公の孤独が表現されている。人間の心と感情を持つアンドロイドという存在に葛藤するハニー。けれど、たった1人でパンサークローに立ち向かうことを決めたのもまたハニーなのだ。“愛の戦士” と名乗るハニーは、孤高の戦士として、その複雑な胸中は誰にも打ち明けない。
誰かが呼んでる ハニー
夜空をこえてくる
ふり向けば ひとり
暗いやみばかり
あれは あれはいつのこと
ふたりで 見上げた星
曲の前半は、戦士の休息を思わせるムーディーな曲調。甘い歌声と切ないメロディがフランスのシャンソンのようでもあり、不思議と温かくロマンチックな雰囲気に包まれてしまう。ハニーの心を曇らせる物悲しさを、美しい旋律がゆっくりと払拭してゆく。そして、この後の展開がエモいポイントである。曲の印象をガラリと変えるパートが挟まれるのだ。
いいの これでいい
そうよ こうなると
知っていたわたし
緩やかなシャッフルの曲調から一転、しっかりと8ビートが刻まれる。やさしくも力強さを感じさせるメロディは、孤独な宿命を受け止めたハニーが奮い立つ勇気と希望を感じさせる。今まで曲中にセリフが入るアニメ曲はあったけれど、1曲のなかに違う曲調を挟む楽曲は、日本の歌謡曲全体を見渡してもなかなか見当たらない。このような凝った曲の構成は、哀愁のエンディング曲を作らせたら天下一品、渡辺岳夫の独壇場といえよう。
1970年代のアニメでは、オープニング曲で物語の大筋や必殺技などを描き、エンディング曲では主人公の内面が描かれることが多かった。ということで、この『昭和アニソン大合唱 vol.1』を通して、オープニング曲はもちろん、エンディング曲に注目してもらえると嬉しい。令和のアニソンとはまた違う楽曲の贅沢さにきっと気付くはずだ。
《公演概要》
昭和アニソン大合唱 vol.1
▶ 開催日時:12月5日(金)18:00 OPEN / 19:00 START
▶ 出演者:新井ひとみ(東京女子流)、コスプレ声ちゃん、DJ BLUE ほか
▶ チケット:
ライブポケットにて抽選販売受付中(10/1 18:00〜10/14 23:59)
▶ 料金:前売 ¥4,980 / 当日 ¥6,000(税込み)*ワンドリンクオーダー要
▶ 会場:LOFT9 Shibuya(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 1F)
▶ 主催:Re:minder club(昭和アニソン大合唱実行委員会)
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2025.11.14