Re:minder club が主催するイベント『昭和アニソン大合唱 vol.1』が、いよいよ12月5日(金)に開催される。しかも今回は1970年代にフォーカスするイベントだという。いやあ、なんと素晴らしい企画だろう!
そこで今から、『昭和アニソン大合唱 vol.1』にピッタリの3曲をご紹介するわけだが、知る人ぞ知るマニアックな曲より、その世代の人なら誰でも歌えるような曲を選ばねばなるまい。そしてここで唐突に独断をかますわけだが、1970年代のアニソン界は二大 “神” 作曲家・菊池俊輔先生と渡辺宙明先生の時代であったと言わせてもらおう! というわけで、まずは天国の両先生に敬意を表し、1曲ずつ紹介しよう。
ささきいさおのアニソンデビュー曲「たたかえ!キャシャーン」
たたかえ!キャシャーン / ささきいさお・作詞:竜の子プロダクション企画文芸部
・作曲:菊池俊輔
・1973年10月2日〜1974年6月25日『新造人間キャシャーン』(フジテレビ系)主題歌
のちに、『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』『ゲッターロボ』など、多くのアニソン史に残る名曲を歌い、“アニソン大王” の名をほしいままにしたささきいさおのアニソンデビュー曲だ。もう全編サビと言いたくなるような疾走感に満ちた曲で、心をひとつに大合唱したときの歓喜は想像に難くない。菊池俊輔先生による独特の哀愁を帯びた曲は “菊池節” と呼ばれるが、この曲も「♪うまれかわった 不死身の体」の部分で、いったんメロディーが哀愁に満ちたものとなる。
昭和のヒーローソングには、自らの青春を犠牲にして悪と戦う宿命に生きなければならない哀しみの滲む曲が多かったが、この曲はその中でも白眉。合唱する際も、この部分は思い切り哀愁を込めて歌っていただきたい。“ええっ、オレ湿っぽい曲は苦手だなぁ” と言うなかれ。ヒーローの哀愁だけでなく、ヒーローの力強さを表現することも忘れない菊池節である。
その後に待つ「♪フレンダー・ジェット!」の雄叫びに続き、「♪新造人間キャシャーン キャシャーン キャシャーン」といった “キャシャーン三連発” を恍惚となりながら歌いきるのだ! しかも、3番の三発目は「♪キャシャーーーーーン」と、いつまで伸ばすねん!と突っ込みたくなるほどのロングトーンだが、ここも心ひとつに、会場が一体となって全員酸欠になるぐらい、とことん歌いきってほしい。
水木一郎アニキによる雄叫び曲の代表格
おれはグレートマジンガー / 水木一郎、コロムビアゆりかご会・作詞:小池一雄
・作曲:渡辺宙明
・1974年9月8日〜1975年9月28日『グレートマジンガー』(フジテレビ系)主題歌
こちらは先年惜しまれつつ天に召された、水木一郎アニキによる雄叫び曲の代表格。“この曲知ってる知ってる!” などと油断してはいけない。前奏はティンパニ2発、いきなり「♪ダッシュ!ダッシュ!」の雄叫びで幕が開くので、出遅れないように心の準備を怠りなく。その後も息つくヒマもなく「♪ダンダン ダ ダン!」と雄叫びが続くので覚悟してかかってほしい。
この曲の歌詞は、タイトルが示す通り主人公のロボット、グレートマジンガーの独白で構成されている。だから、この曲は自分が巨大なグレートマジンガーになったつもりで、歌詞を噛みしめながら歌っていただきたい。
特に最後の歌詞がステキなのだ。「♪おれはグレート!」ときた。つまり、“おれは偉大だ!” と言い切ってしまうのである。こんなことを恥ずかしげもなく言えるのはトランプ大統領ぐらいではないか? いやそれは違う! この曲を知っている人の大半は、おそらく既に半世紀ほどの人生を走ってきた人たちであろう。そこには、つらいことも苦しいこともあったはずだ。。でも、今もみんな頑張って生きている。そう、生きているだけで “グレート” なのだ。だから心の底から自信を持って、「♪おれはグレート」と歌おう。そして「♪グレートマジンガー」と歌い切ろう!
バカボンのパパになり切ってスッキリしよう!
天才バカボン / アイドル・フォー・作詞:東京ムービー企画部
・作曲:渡辺岳夫
・1971年9月25日〜1972年6月24日『天才バカボン』(日本テレビ系)主題歌
ラストは前の2曲とは毛色の違った曲を紹介しよう。皆さんはアニソンを歌うとき、何を求めるだろう。それはきっとカタルシス、つまり、浄化作用ではないだろうか? ヒーローやヒロインになった気分でしばし熱唱し、そして歌い終わった時には、他のジャンルの曲では味わえない開放感が全身に満ちているはずである。
この曲もしかり。さぁ、バカボンのパパになり切ってスッキリしようではないか! というか、歌えばイヤでもそうなるのだ! 冒頭の歌詞からして「♪西から昇ったおひさまが 東へ沈む」と、とんでもないことを歌い出す。しかし全ての結論は「♪これでいいのだ」に行き着く。ホントに “それでいいのか?” などと疑ってはならない。私たちは日々の生活の中で、仕事やら人生やら人間関係やら、さまざまなことで ”これでいいのか?” と思い悩む。あの選択は果たして正しかったのだろうか? なぜ私は恋人に振られてしまったのだろうか?
しかし、あらゆる苦悩に対して、バカボンのパパはただ一言だけを言う、「♪これでいいのだ」と。これは、この世の中で自分を取り巻く全ての存在を超越した者だけが発することのできる最強の一言といえる。半世紀を生きてなお、さまざまなことに思い悩み続けている私たちと違い、バカボンのパパは “41歳” にして自らを全肯定する境地に至っている。だから、せめて私たちもこうありたいという思いを込め、声を限りに歌おうではないか!
これでいいのだ
これでいいのだ
誰にも文句は言わせない。そう、これでいいのだ!
《公演概要》
昭和アニソン大合唱 vol.1
▶ 開催日時:12月5日(金)18:00 OPEN / 19:00 START
▶ 出演者:新井ひとみ(東京女子流)、コスプレ声ちゃん、DJ BLUE ほか
▶ チケット:
ライブポケットにて前売券発売中▶ 料金:前売 ¥4,980 / 当日 ¥6,000(税込み)*ワンドリンクオーダー要
▶ 会場:LOFT9 Shibuya(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 1F)
▶ 主催:Re:minder club(昭和アニソン大合唱実行委員会)
▶映像提供:株式会社トムス・エンタテインメント
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2025.10.31