グラミーの最優秀男性ロックボーカル賞「ジェシーズ・ガール」
わが青春のリック・スプリングフィールド、なんて言うとちょっと大袈裟かもしれないけど、高校時代、僕はそれほど彼を聴きまくっていた気がする。
リック・スプリングフィールドは、1981年、全米No.1ヒットの「ジェシーズ・ガール」でいきなり僕の前に現れた。日本では無名だった彼だけど、その曲の良さはもちろん、ルックスのカッコ良さ、PV が MTV でもヘビーローテーションされるなど、僕が彼のファンになるには時間は掛からなかった。
当然、この「ジェシーズ・ガール」が収録された同名のアルバム『ジェシーズ・ガール(Working Class Dog)』を借りに友&愛(当時の僕の住んでいるエリアにあった貸レコード屋です)に自転車を飛ばすことになるわけだけど、聴いてみるとこれまたビックリで、アルバムとしての完成度がなんとも高く、全ての曲が実に素晴らしい。
オーストラリアからアメリカに渡った彼は、しばらく不遇な時代が続いていた苦労人だったわけだけど、このアルバムでグラミー賞の最優秀男性ロックボーカル賞を受賞し、ついに一流のアーティストとして成功を手にすることになる。
全米アルバムチャート2位!前作を超えた「アメリカン・ガール」
そして『アメリカン・ガール(Success Hasn't Spoiled Me Yet)』は、1982年に発売されたリック・スプリングフィールドの6枚目のアルバム。大ヒットしたアルバム『ジェシーズ・ガール』の次に発売されたアルバムだ。既に読者の皆さんもご存じの通り、このアルバムも実に素晴らしく、事実、全米チャート2位を記録する(前作のジェシーズ・ガールは7位)。
そう、リック・スプリングフィールドは、一発屋で終わることなく、見事に前作を超えるアルバムを世に送り出すことに成功する。
当時の僕はこのアルバムを聴き終えた時、「一発屋で終わらなくて良かったぁ~」と、何故か上から目線で安心したことを覚えている。『ジェシーズ・ガール』と『アメリカン・ガール』の2枚のアルバム、どちらが良いかの甲乙はつけ難い。でも、どちらか選べと言われれば、個人的には『アメリカン・ガール』だ。
理由はちょっとひねくれているかもしれないけど、シングルカットされていない「内気な俺(How Do You Talk To Girls)」と「ジャスト・ワン・キッス」という2曲があるから。『アメリカン・ガール』からシングルカットされている3曲ももちろんお気に入りだけど、この2曲がサイコーなんです(エンベットした動画はこの2曲です)。
アルバム2枚で1つの作品? 原題から推察するリックの気概
さて、リック・スプリングフィールドの出世作『ジェシーズ・ガール』と『アメリカン・ガール』。この2枚、“実は2枚で1つの作品ではないのか” というのが僕の自論。
どちらのアルバムジャケットにも彼の愛犬(?)のブルテリヤが登場している、という単純な理由ではない。原題を見てみると「Working Class Dog」と「Success Hasn't Spoiled Me Yet」、直訳すると「労働者階級の犬」と「成功はまだ私をダメにしていない」となります。
つまり、僕の意訳では、「これでどうだ、この野郎」と「な、オレは一発屋じゃなかっただろぅ」となります。長い不遇の時代から抜け出すことにやっと成功した彼の、当時の気持ちがもの凄く伝わってくるのだけど、間違った解釈かなぁ~?
※2016年9月13日に掲載された記事をアップデート
2020.03.23