6月1日

デビュー45周年!アイドル河合奈保子の魅力を引き出す “純愛2部作” と “挑発2部作”

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河合奈保子の転機になったシングル2部作


1980年といえば、山口百恵が引退して松田聖子がデビューしたトップアイドル新旧交代の年として知られるが、新しい才能が続々と登場した “アイドルの当たり年" でもあった。その1980年デビュー組のなかで、アイドルとして一世を風靡しながらも、シンガー、そしてアーティストへと成長を遂げたのが河合奈保子である。

愛らしいルックスや楽曲に惹かれ、彼女の歌声を繰り返し聴いていた方も多いのではないだろうか。そんな河合奈保子のシングル曲を時系列で振り返ると、テイストが似た2曲を連続してリリースしていた時期があることに気づく。そして、その “2部作” が転機となり、彼女の新たな魅力が開花していったのではないかと私は考えている。ということで、河合奈保子にとって転機となった “シングル2部作" を切り口に、そのアイドルとしての魅力を探りたい。

「17才」と「スマイルフォーミー」で開花したキャラクターとボーカル


最初の転機は、デビュー2年目の1981年にリリースされた「17才」と「スマイル・フォー・ミー」である。この2曲は河合奈保子の初期ヒット作。特に「スマイル・フォー・ミー」は彼女の代表曲として知られるが、明るく清楚なキャラクターとボーカルがこの2曲で磨かれていったように思う。

1981年は、早くもトップアイドルへ駆け上った松田聖子の一強時代。他のアイドルは聖子に追随する個性が持てず、大きく水をあけられていた。そんな年にリリースされたこの2曲は、河合奈保子が等身大の自分を歌うようなド直球のアイドル歌謡。これがピタリとハマった。

最初の「17才」は、10代後半の揺れ動く恋心を自問自答する青春ソング。そしてそれを明るく発展させた「スマイル・フォー・ミー」は、ひたむきで純粋な愛を元気よく歌い上げた恋愛ソング。どちらも疾走感あるアップテンポのサウンドが、伸び伸びと跳ねるように歌う彼女のボーカルにマッチしている。いわば、この2曲は “純愛2部作” 。河合奈保子の清楚で瑞々しい魅力を引き出すことで、松田聖子とは違うアイドル像を示し、聖子に次ぐ2番手の地位を確立する転機となった。





「エスカレーション」と「UNバランス」で見せたキャラ変


次の2部作は、1983年にリリースされた「エスカレーション」と「UNバランス」である。特に「エスカレーション」は河合奈保子全シングルの中で最大の売上を記録し、低迷しかけた人気を揺り戻した実績のある曲。ただ私には、この2曲が連続リリースされたことで彼女がキャラ変し、大人の女性の魅力を開花させたように思えてならない。

というのも1983年は、前年にデビューした中森明菜がトップアイドルへと駆け上がり、松田聖子との2強を形成した時代。小泉今日子や早見優といった “花の82年組" が頭角を現し、女性アイドルは百花繚乱の時代に突入していた。前年に竹内まりやが提供した「けんかをやめて」でニューミュージック路線に舵を切った河合奈保子だったが、この競争に勝ち抜くには劇的な変化が必要だった。

そんな年にリリースされた「エスカレーション」と「UNバランス」は、作曲家に筒美京平、作詞家に売野雅勇を起用し、これまでの清純で明るい河合奈保子の印象を一変させた。両曲で歌われるのは、淋しさを我慢できずに男性を挑発する女性。大胆すぎるビキニで男性を挑発する「エスカレーション」では、「♪口づけていいのよ あなた」と内心で叫ぶ。

続く「UNバランス」では「♪あなたの背中思わず抱いた」と行動を起こし、「♪おとなしい子じゃいられないほど あなたが好きよ…」と、清楚なキャラクターを自ら壊す。そう、この2曲は “挑発2部作” だ。20歳を迎えた彼女から大人の女性の魅力を引き出す転機になった。そして、これ以降の河合奈保子は作品性を重視したシンガーとしての側面を強めてゆく。





明るく伸びやかなボーカルで歌っていた河合奈保子


このように、アイドルとしての河合奈保子の魅力は、1981年の2部作で見せた清楚な瑞々しさと、1983年の2部作との劇的なギャップに表れているのではないか。今にして思えば、デビュー当時、明るく伸びやかなボーカルで歌っていた河合奈保子の存在は、松田聖子とは異なるテイストのアイドルとして、とても大きかった。そして、節目ごとにキャラを変化させつつもアイドルとしての個性を保ち、多様なアーティストの曲を歌い上げた彼女の歌唱力は、今も色褪せない魅力として多くのリスナーの心に刻まれている。

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2025.06.07
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カタリベ
1966年生まれ
松林建
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