オーストラリアのバンドって、なんか野暮ったいし、オジサンだし、カッコよくない。
メン・アット・ワーク、ミッドナイト・オイルなど、数々のオージーバンドが活躍していた80年代、UKびいきだった私は、そんな偏見を持っていた。
え、このバンド、オーストラリア出身なの? やだ、音もルックスもカッコいいじゃん!
と、オージーバンドへの偏見を取っ払ったのがインエクセスだ。1984年には、『フロムエー ライブアライブ 明日のスーパースターたち』という、新人バンドが日替わりライブを繰り広げるイベントの1バンドとして、初来日。
インエクセスの日本初ライブに行った私の目は、ボーカルのマイケル・ハッチェンスに釘付けになった。ギラギラしていて、自信たっぷりで、世界の女は俺のもの! みたいな感じ。
今でもはっきり覚えているのが、歌っているときの歩き方。お尻の右のほっぺと左のほっぺをこすり合わせるように、お尻をキュッ、クネッとさせて歩く。でも、それがなんともセクシー。たしか第2のミック・ジャガーなんて、言われてたっけ。
87年には、名盤『キック』をリリース。アメリカでも人気バンドとしてのし上がる一方、モテ男ハッチェンスは、カイリー・ミノーグやスーパーモデルなど、数々の美女と浮き名を流す。
やってるなぁ、やっぱりロックスターはこうでなきゃね、と私は思ったものだ。英国のテレビ司会者ポーラ・イエーツをボブ・ゲルドフから略奪したときは、なぜ、そこいった? と思ったが、略奪ってのが彼らしいというべきか。
だが、97年11月、ハッチェンスは、シドニーのホテルで遺体となって発見される。ホテルのドアにベルトをくくりつけ、全裸で首を吊ったとされているが、私は彼の自殺を信じない。
私生活ではいろいろ問題を抱えていたとはいえ、あんなに自信満々な男性が自ら命を絶つなんて、ありえない。第一、彼の最期に相応しくない。
そういう性癖があって、うっかり事故に… というほうがハッチェンスらしいと私は思うのだ。
※2017年4月22日に掲載された記事をアップデート
2018.11.22
YouTube / INXS
YouTube / INXS
Information