レコード会社の戦略として考えられたのでは? と思ってしまうくらい爽やかでベタなグループ名。サウンドも洗練された音づくりと軽やかなメロディー満載。メロウなバラードも数曲散りばめられ、いい意味で売れ線。FM中心に日本ではヒットしました。アルバム “Sneaker” もシングル “More Than Just The Two Of Us” も邦題は『想い出のスニーカー』。ウーン、入っていきやすいですね(笑)。
そしてアルバム冒頭の「ドント・レット・ミー・イン」。これはスティーリー・ダンのコアなファンならご存知の名曲。とはいっても正式には未発表。どういうことかと言うと―― 72年にスティーリー・ダンがメジャーデビューする前に音楽出版社に売り込むために、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーが作ったデモ音源が、80年代中頃になってインディーのレーベルから出回りました。多くの種類があり “The Early Years” とか “Old Regime” といったタイトルでリリースされたものが有名です。そのアルバムに収録されているのが「ドント・レット・ミー・イン」。プロデューサーやこの楽曲のチョイスから、スニーカーがかなりのスティーリー・ダン・マニアだということが見てとれます。
フェイゲン&ベッカーらしいメロディーながら、どこかキレのないデモ音源と比べるとスニーカーのヴァージョンはまるで TOTO がスティーリー・ダンをカヴァーしているかのような出色のアレンジ。シングル「想い出のスニーカー(More Than Just The Two Of Us)」もメロディーは甘いものの、コーラスやストリングスアレンジで甘くなり過ぎずグッと堪えているところが素晴らしい。