10月1日

スティーリー・ダンのファン必聴♪ わが青春の「想い出のスニーカー」

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スニーカーのアルバム「想い出のスニーカー」全米リリースがリリースされた日
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全米ではトップ40入りがやっとだったのが、日本では大きなタイアップもないのに結構ヒットした。そんな忘れられないアーティストが今回紹介するスニーカー。

レコード会社の戦略として考えられたのでは? と思ってしまうくらい爽やかでベタなグループ名。サウンドも洗練された音づくりと軽やかなメロディー満載。メロウなバラードも数曲散りばめられ、いい意味で売れ線。FM中心に日本ではヒットしました。アルバム “Sneaker” もシングル “More Than Just The Two Of Us” も邦題は『想い出のスニーカー』。ウーン、入っていきやすいですね(笑)。

ただジャケットは AOR を想起させるようなお洒落な風景写真やイラストに差し替えられることもなく(当時はありがちでした)、スニーカーを作る工房を描いた割と渋いもの。今では AOR の隠れた名盤とされるこのアルバムも当時は “大量消費ポップス” っぽい匂いを個人的には感じてしまい、スルーしてました。

81年に発表されたこの『想い出のスニーカー』。80年代後半にドナルド・フェイゲン、スティーリー・ダンにはまって、AOR を総ざらいしようと思ってようやくちゃんとアルバムを聴いてみました。

「はー、発売時にもっとちゃんと聴いておくべきやった!」

これが思わず漏れた感想。

まず、スニーカーという名前はスティーリー・ダンの4枚目のアルバム『うそつきケイティ(Katy Lied)』に収録された「バッド・スニーカーズ」からとられたということをこの時に知りました。そしてこのアルバムのプロデュースはドゥービー・ブラザーズのジェフ・バクスター。スティーリー・ダンの初期メンバーでもあります。

そしてアルバム冒頭の「ドント・レット・ミー・イン」。これはスティーリー・ダンのコアなファンならご存知の名曲。とはいっても正式には未発表。どういうことかと言うと―― 72年にスティーリー・ダンがメジャーデビューする前に音楽出版社に売り込むために、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーが作ったデモ音源が、80年代中頃になってインディーのレーベルから出回りました。多くの種類があり “The Early Years” とか “Old Regime” といったタイトルでリリースされたものが有名です。そのアルバムに収録されているのが「ドント・レット・ミー・イン」。プロデューサーやこの楽曲のチョイスから、スニーカーがかなりのスティーリー・ダン・マニアだということが見てとれます。

フェイゲン&ベッカーらしいメロディーながら、どこかキレのないデモ音源と比べるとスニーカーのヴァージョンはまるで TOTO がスティーリー・ダンをカヴァーしているかのような出色のアレンジ。シングル「想い出のスニーカー(More Than Just The Two Of Us)」もメロディーは甘いものの、コーラスやストリングスアレンジで甘くなり過ぎずグッと堪えているところが素晴らしい。

他にもデイヴィッド・フォスターが参加している楽曲もあったりしてアルバム全体のクオリティーはなかなかのものです。とは言えバンドとしてひとつ抜きんでるための個性みたいなものがやや欠如していたのか、残念ながらスニーカーは2枚目のアルバムを出した後解散してしまいます(2003年に再結成)。

ところで、メジャー、マイナーに関わらずこうした魅力の再発見、参加ミュージシャンの繋がり、カヴァーのアレンジなどを楽しめるのが AOR の面白さなんですよね。

AOR 人気が日本で高いということ(北欧でも高いようです)はなんとなく頷けますし、現在でも AORコンピレーションが発売されたり、廉価盤のリイシューシリーズに繋がっていくことは喜ばしい限りです。たまに、こういったコンピレーションに「想い出のスニーカー」が収録されていたりしますが、「ドント・レット・ミー・イン」も是非ということを最後に付け加えさせていただきます。

2018.05.08
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  YouTube / sneakertokyo


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