3月6日

帰ってきた「シャボン玉ホリデー」タモリが、チェッカーズが、原田知世が!

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かつて日比谷に “三信ビルディング” という瀟洒なビルがあった。

1984年の秋、自分はその2階の一室にあった渡辺プロダクションの映像部に通うこととなる。当時、渡辺プロの本社は有楽町の松井ビルを経て、麻布台の偕成ビルへ移っていたのだが、会社創業の地である三信ビルの一室はあえて残し、テレビ番組制作の部署として機能していたのである。

映像部が設立される前は “スタッフルーム” と呼ばれ、取締役だった松下治夫氏を長としてスタート。映像部となってからは、『みごろ! たべごろ! 笑いごろ!!』のプロデューサーだった前原雅勝氏が部長となり、網井雄三氏や勝田哲夫氏ら、かつて様々な人気歌手やタレントのマネージャーを務めた渡辺プロ生え抜きのベテラン社員たちが顔を揃えていた。

「ヒーコー」や「ルービー」など業界言葉が普通に飛び交うその部屋で、自分が最初に関わった番組は、毎年恒例の年末特番『ちびっこ紅白歌合戦』だった。

「鈴木、おまえはまず “こちびつ” だ!」と言われて、本家の紅白歌合戦の曲をリサーチしつつ、資料集めの日々。となりの三井ビルの地下にあった「ラッキー商会」というレコード店で音資料用のレコードを買う際に渡辺プロと名乗ると、厳しそうな女主人の表情が途端に柔和になり、割引もしてくれた。

そこがかつて渡辺プロ友の会とも提携しており、昔から深い関わりのあるレコード店であることを後から知る。映像部のプロデューサーたちはみな強面ながら優しく、毎日のようにランチをごちそうしてくれたし、たまに渡邊晋社長が訪れ、美味しそうにビールを飲みながら創業の地を懐かしむ光景を、畏れ多くも間近で窺うという恩恵を蒙ることもあった。

1929年に建てられた歴史あるビルは雰囲気抜群で、戦後ビルがGHQに接収されていた時代にオープンしたというレストラン「ニューワールドサービス」も素敵な店だった。六本木にあった「ハンバーガー・イン」などと同様、極めて早い時期から日本でハンバーガーやソフトクリームを提供した店であったという。客人が訪れた際の打合せの場として使うことも多く、皆何かというとホワイトボードに “N.W.” と書いて入り浸り、第二のスタッフルームの様に使わせてもらっていた。

その後、2005年にビルの解体が発表され、2007年に惜しまれつつ姿を消してしまうのだが、ニューワールドは最後の最後まで営業しており、いよいよ閉店が間近に迫った頃に当時の仲間と再訪して20年以上前の懐しい日々に想いを寄せた。

さて、その三信ビルにまだ出入りしていた85年の冬のある日、久々に訪れたスタッフルームで『シャボン玉ホリデー』のリメイク版が作られることを知る。

ハナ肇とクレージーキャッツ結成30周年、そして番組開始25周年記念の特番として「木曜スペシャル」枠で放映されるとのこと。しかし残念ながらその時自分は『クイズ・ドレミファドン!』に派遣されたばかりで、そこにスタッフとして参加することは叶わなかった。今ならば何が何でも志願したであろうが、二十歳そこそこの身では無理であった。

収録スケジュールを聞いた上で、せめて麹町の日本テレビのスタジオへ見学に行くのがやっと。同期の友人がADを務めているのをスタジオの片隅で羨ましく眺めたことを憶えている。リメイクとはいえ、間近にいながら伝説のバラエティ番組に関わることが出来なかったのは、一生の痛恨事なのだ。それでも新たに参加した原田知世、チェッカーズ、タモリがシャボン玉の世界で躍動する姿を生で見られたのは幸せだった。

クレージーキャッツの面々は85年10月にフジテレビで放映された結成30周年記念番組『アッと驚く! 無責任』に続いて再び結集し、70年にグループを脱退していた石橋エータローも駆け付けた。ザ・ピーナッツの特別出演も囁かれたが、結局は声だけの出演となった。しかしながら完全引退していた二人が参加したのは画期的なことだったといえる。

青島幸男に中尾ミエ、なべおさみに小松政夫と、かつてのレギュラー陣も顔を揃えて往年のコントが繰り広げられた。エンディングはもちろん「スターダスト」。ザ・ピーナッツの役どころの中尾ミエと原田知世が歌っているところにハナ肇が入ってきて締め括られる。最後には番組の中心人物だった亡きプロデューサー・秋元近史に捧げるというテロップが用意されたのは涙ものだった。

大瀧詠一氏のおかげですっかりクレージーキャッツの音楽に魅了されていた自分にとっては、奇しくも放映日に彼らの新曲「実年行進曲」がリリースされるという最高のおまけもついた。発売当日、レコードをラッキー商会で買い求めたのはもちろんである。

番組放映から32年となる2018年3月末、長らく工事が進められていた三信ビルと三井ビルの跡地に「東京ミッドタウン日比谷」がグランドオープンする。2月4日に閉館してしまう「TOHOシネマズ日劇」の代わりに、東京都心最大規模という2300席のシネコン「TOHOシネマズ日比谷」もオープンするそうだ。

かつての有楽座や日比谷映画に通った日比谷の映画街が復活することは少々楽しみではあるが、重厚なアールデコ調のビル群が聳えていた頃の風景はいまだに忘れられない。新しいビルにどんなに洒落たカフェやレストランが並ぼうとも、ニューワールドに勝る店は出来る筈もなかろうと思うとちょっと淋しい。

新しもの好きとしては当然オープン日には訪れると思うが、その時にはきっと昔日の面影ばかりを追い求めてしまうに違いない。



※編集部より:東京ミッドタウン日比谷のグランドオープンの日付に間違いがあることをご指摘頂きました。2018年3月末と確認の上、修正致しました。

2018.01.23
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カタリベ
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