9月5日

西城秀樹デビュー50周年企画!80年代初期のライブ盤「BIG GAME」が奇跡のリリース

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西城秀樹のライブアルバム「BIG GAME ’80 HIDEKI」発売日
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ヒデキの真骨頂はライブにあり!これを証明する4枚のアルバムが復刻


「ヒデキはロックンローラーであり、彼の真骨頂はライブにある」…… そのことを示してくれる西城秀樹のライブアルバムが11月24日、4枚同時にリリースされる。デビュー50周年を記念して、2021年から始まった旧作アルバムの復刻企画第6弾で、第5弾は2022年暮れだったから、実に1年近い準備期間がかかったことになる。おそらく、今回復刻される4枚がすべて ”初CD化" ということもあるのだろう。一部の曲はBOXセットでCD化済みだが、ライブ全体の模様は当時出たアナログ盤を買わないと聴けなかった。ファンとしてはまさに「待ってました!」である。復刻を実現させたスタッフには深く感謝したい。

4枚のラインナップは、80年代前半のライブ盤『BIG GAME』シリーズ。

『BIG GAME ’80 HIDEKI JUMPING SUMMER in STADIUM』



『BIG GAME ‘81 HIDEKI JUMPING SUMMER in STADIUM』



『BIG GAME ’82 HIDEKI SUMMER in OHMUTA』



『BIG GAME ’83 HIDEKI FINAL in STADIUM CONCERT』



「BIG GAME」とは、ヒデキが毎年行っていた全国縦断サマーツアーのタイトルで、終了後、スタジアムでの大規模なライブを収録したアルバムがリリースされるのが常だった。今回の『BIG GAME ’80』と『BIG GAME ’81』は後楽園球場、『BIG GAME ’83』は大阪球場ライブの音源で、どっちの球場もなくなっちゃったなぁ……(すみません、野球ファンでもあるのでしんみり)

ヒデキはいったいどんなライブを演っていたのか?


もう聴いているだけで胸アツになるけれど、80年代、ヒデキはいったいどんなライブを演っていたのか、後楽園球場で行われた『BIG GAME ’80 HIDEKI JUMPING SUMMER in STADIUM』を例にとってご紹介しよう。オープニングがいきなり、レインボーの「アイズ・オブ・ザ・ワールド」ですよ! そこから怒濤の洋楽メドレー7連チャン。そのまま英語で歌わず、歌詞を日本語にして歌っているのもヒデキらしい。ファンに “思い” を伝えるための配慮だし、ヒデキ流に翻訳された歌詞のほうが情感を込めやすいからだ。

2曲目「ロスト・イン・ハリウッド」もレインボーの曲で、どんだけリッチー・ブラックモア好きやねん。ここで最初のMCが入る。「こんばんはー! やって来たぞ〜! 後楽園球場、第3回目! みんな雨の中、本当にありがとう! 去年も、雨だった!(会場笑い)今年も雨だけど、みんな風邪引くなよ!(会場オー!)この広い空間を、俺たちのエネルギーで埋め尽くそうぜ!(会場オー!)」…… なんだろう、この一体感は。

「3回目」というのは、後楽園球場でのサマーライブが3年目という意味で、初回が1978年。翌1979年の2回目が、豪雨の中で行われた伝説のライブだ。雷鳴が轟く中、あまりの雨の激しさに泣く泣く帰るファンもいたが、ヒデキは最後まで歌い続けた。1980年の会場にいた観客の中には、前年、雨の中で熱唱するヒデキをずぶ濡れになりながら最後まで見守ったファンも大勢いたわけで、いわば “戦友" のようなものだ。この感覚は屋根付きのドーム球場じゃ味わえないぞ。

3曲目は、AORシンガー、トニー・シュートのカバーで、この年に日本でも流行った「アイランド・ナイト」。しっかり最新のヒット曲も押さえつつ、4曲目「オールナイト・ロング」は再びレインボー。ヒデキのハードロックへの傾倒ぶりがわかる。しかも歌いっぷりがまた熱い。かと思うと、5曲目にパーシー・スレッジの「男が女を愛する時」なんかも歌って、一転じっくり聴かせているのがヒデキらしいバランス感覚だ。6曲目「待ちくたびれて」はヒデキの曲っぽく聴こえるが、実はフォリナーのアルバム曲だったりする。なんとも心憎い選曲だ。

山下達郎のカバーを自分流に歌いこなす





洋楽メドレーが終わっても、自分のヒット曲はまだ演らないヒデキ。8曲目はなんと「BOMBER」。そう、山下達郎のカバーである。当時同じRCA所属だったとはいえ、意表を突かれる選曲だ。ヒデキの懐の広さを感じずにはいられないし、ちゃんと自分流に消化して歌いこなしているのもさすが。じゃあ9曲目は? というと、また洋楽に戻って「ジュライ・モーニング」。ユーライア・ヒープですよ! 幅が広いにも程がある。てことは、山達ってヒデキの中では「洋楽枠」だったのね。

11曲目になって、ようやく自分の曲を歌うヒデキ。自分で作詞・作曲を手掛けた「ツイスト・ガール」だ。大好きな男へけなげに愛を寄せる女の子の気持ちを、軽快なツイストに乗せて歌い上げる。「♪瞳の奥に私を お願いうつして 二人の愛をハートで 確かめたいの」。ファンもノリノリ。

12曲目は、お待ちかね!「HIDEKI DISCO SPECIAL」。シングル「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」のB面に収録されているディスコアレンジのヒットメドレーだ。

「炎」〜「君よ抱かれて熱くなれ」〜「ブーツをぬいで朝食を」~「激しい恋」~「ブーメラン ストリート」~「ジャガー」~「傷だらけのローラ」~「ラストシーン」~「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」~「ブルースカイ ブルー」。

これをライブで演られたら、もうたまらんですよ! ファンの熱気は最高潮に。

自分がいいと思った曲、ファンに聴かせたい曲を歌うんだという強い意志


13曲目「Good-Bye Blue Train」は自分の元を去っていく彼女を駅で見送る曲で、スタジアムライブに欠かせない曲だ。14曲目からは「俺たちの時代」「エンドレス・サマー」「ホップ・ステップ・ジャンプ」と当時のヒットメドレーでガンガン攻めて、お待ちかね!「YOUNG MAN」。「あ・つ・く・な・れ! Y・M・C・A」という呼びかけがアツい。この瞬間、後楽園のファンとヒデキは、憂鬱など吹き飛ばして1つになった。

普通はこの「YOUNG MAN」で最後を締めくくるじゃないですか。前年最大の国民的ヒット曲なんだし。でも、ここからがヒデキなんだな。続く「アレイキャット」はダウン・タウン・ブギウギ・バンド、さらに「トレビの泉」は、イタリアのバンド、イ・サント・カリフォルニアのカバーである。ジャンルなんて関係ない。自分がいいと思った曲、ファンに聴かせたい曲を歌うんだという強い意志。どんな曲を歌おうと、ファンを楽しませる自信と実力があるからこそできることだ。

ここで感極まって、涙まじりにスタッフとファンに感謝の言葉を述べたあと、「オレは嬉しい! 本当にありがとう! これからも一所懸命歌うよ! ありがとう!」と絶叫するヒデキ。「一緒に歌ってくれ!」と呼び掛け、最後にファンと熱唱したのが、ロッド・スチュアートの「セイリング」。ラララだけのハミングだが、ヒデキとファンの一体感が伝わってきて、グッと来る。

ボーカリスト・ヒデキの圧倒的な “歌の力”


このアルバムがCDで聴けるようになったのも嬉しいけれど、他の3枚もアツい。『BIG GAME ‘81 HIDEKI JUMPING SUMMER in STADIUM』はオリジナル盤に未収録だった音源が多数追加されたため、元は1枚だったのが2枚組になった。

注目は『BIG GAME ’82 HIDEKI SUMMER in OHMUTA』。1982年は、恒例だったサマーライブ盤の発売がなかった年。空白を埋めてくれるこのアルバムは、この年の8月に福岡県大牟田市で行われたコンサートを収録したもので、リリース自体今回が初。なんでも倉庫から奇跡的に音源が発掘されたそうで、ファンにとっては嬉しいサプライズだ。山下達郎の「ラブランド・アイランド」なんかも歌ってたりして。

『BIG GAME ’83 HIDEKI FINAL in STADIUM CONCERT』は、10年間続いた大阪球場ライブのラストイヤー分を収録。ヒデキが万感の思いを込めた「ありがとう大阪スタジアム」は涙モノだ。

4枚聴いてみてあらためて感じたのは、演奏のクォリティの高さと、なによりボーカリスト・ヒデキの圧倒的な “歌の力” だ。ライブというのは、アーティストが歌を一方的に聴かせるんじゃなく、オーディエンスと心を結び合う場だ、とヒデキは歌で教えてくれている。今回初CD化された4枚で、稀代のエンターテイナーであり、ロックンローラーだったヒデキの「熱さ」を、特に若いファンにも味わってほしい。


Information
https://www.110107.com/s/oto/page/hideki_50th
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2023.11.21
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カタリベ
1967年生まれ
チャッピー加藤
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