ジュリーが2017年夏から行なったデビュー50周年ツアー『50周年記念LIVE 2017~2018』。私はこのツアーに結局行けず、一人ハンカチの端っこをかじってよよと泣いていた(イメージ)。タイガース時代からのヒット曲、50曲ノリノリでオンパレードなどと聞くにつけ、恨み(?)晴らさでおくべきかと、次なる機会を狙っていた。 そんなボヤッキーな私に福音がやってきたのは春の始め頃。2018年の夏はジュリー70歳を祝った全66公演に及ぶ古希ツアーがスタートするという… もう行くっきゃない! 友達に頼み込んで手に入れたのは、2018年7月6日(金)、武道館のチケットだった。沢田研二 70YEARS LIVE『OLD GUYS ROCK』ツアー初日! きゃああああ! 夏が燃える! ジュリーと武道館といえば、映画『太陽を盗んだ男』からの最高のバディ! 観るっきゃない! ジュリーのコンサートの開演時間は早い。午後5時である。当日午後2時半、私は早々と武道館隣のカフェ「喫茶武道」でカウンター席の窓から物販の列を見守っていた。隣に座る筋金入りファンはおしゃべりが止まらないようで、こわっぱ同然の新参者の私は興味津々で耳を傾けた。 「またハワイツアーしないかしら?」 「新しいバンドメンバーは?」 「大野克夫バンド参加かしら?」 「ピーは?」 「カズ君はくるの?」 いや、カズ君って誰? 謎が残った。 そのうち、開場を待つ列が増え始めた。ファン層は50~70代、私より歳上に見える錚々たるソルジャー、タイガースの頃からジュリーを応援し続ける女性たちだ。男性は1割ほどでこれにはびっくりした。待ちきれず早めに列に並ぶと、雨が降ってきた。傘が嫌いなので使わずにいたら、「奥様! 奥様!」と言って推定60代マダムが傘を差し出してくれた。なんという慈しみ! ジュリーファン素晴らしい! 話を聞くと、東日本大震災以後、毎年3月11日にリリースされる CD を聴いてファンになったらしい。2017年の50周年公演も一人で2回行ったそうだ。「もう2時間半立ちっぱなしですよ!」だって。期待が高まる! 私は1980年頃のジュリーが特に好きだと言うと、彼女はその頃はフォークを聴いていたんだって。列が動き出し「よいジュリーを!」とエールを送り合い、お礼を言って別れた。 武道館に入ったのは4時半頃。2階の2列目だ。やっと席に着き、ステージを確認した途端、口をあんぐりと開けてしまった。 ちょっと待って! 何これ? マイクが2本とアンプ? ブラックで統一されたステージ上にあったのはそれだけだったのである。もともと本公演は360度展開で全方位に観客が入る、という情報は得ていたけれど…。 後ろの席の人が叫んだ。「じゃあやっぱりカズ君と2人?」―― カズ君の謎が割れた。 後から聞いた話だが、ジュリーは10年ほど率いた鉄人バンドというバックバンドを2017年の50周年ツアーで解散したそうだ。新しいバンドはどうなるか、往年のファンは誰もがこのバンドのメンバー予想に嬉々としていたのだ。 カズ君は鉄人バンドの柴山和彦というギタリストで、ジュリーとのコンビは長く、作曲なども多数手がけているという。まだ到着しない筋金入りファンの友達にステージのことを連絡してみたら、「噂はあった。カズ君と2人かも」と返信が返ってきた。 ヤバい。 怒涛の緊張が走る。激しい鼓動が私を叩く。激しいプレッシャーが私を襲う。周りは古参のツワモノばかりである。 【1】 70歳のお祝いに伴い、ヒット曲満載のお祭りライブを予想! 【2】 ライブは2時間半立ちっぱなし! 【3】 ジュリーの艶やかなスーツが楽しみ! そんな超超超… 超ミーハーな浮かれ気分でこのステージに望んでいる私、どうする?? どうなる?? まさか四面楚歌?? (続く)
2018.08.04
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