8月12日

全曲英語詞!洋楽になったオフコースのロック「Back Streets of Tokyo」

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オフコースのアルバム「Back Streets of Tokyo」がオリコン1位になった日
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ライヴエイドで歌った「ENDLESS NIGHTS」


35年前の1985年7月13日、ライヴエイドにオフコースも出演した。前年1984年に4人で再スタートを切ったオフコースは、ラウドネス、矢沢永吉、佐野元春と共に日本からVTRで出演。その模様は全世界に流れた。この内英語で歌ったのは既に海外進出を果たしていたラウドネスと、オフコースであった。

オフコースが歌ったのは「ENDLESS NIGHTS」。小田和正の作曲でこの年の5月22日にリリースされたシングル「たそがれ」の英語版だった。

ライヴエイドから2週余り後の8月1日(CDは22日)、「ENDLESS NIGHTS」も収められたオフコースの全曲英語詞アルバム『Back Streets of Tokyo』がリリースされた。4人オフコース2枚めのこのアルバムは、12日付のオリコンチャートで見事1位に輝く。オフコースにとって通算7枚め、そして最後のNo.1アルバムとなった。

プロデューサーはグラミー受賞大物エンジニア、ビル・シュネー


4人になったオフコースはアメリカ進出を目指しトライを続けていた。一度作ったデモテープはアメリカのレコード会社に認められず、改めて作られたのがこのアルバムだった。

プロデュースは、オフコースとは1980年の『We are』からエンジニアを担当しているビル・シュネーとオフコースとの共同。シュネーはスティーリー・ダンとの仕事で1978年と80年の2回グラミー賞の最優秀録音賞を獲得した、ボズ・スキャッグスやシカゴ、ホイットニー・ヒューストン等との仕事でも名を馳せた大物である。オフコースのアルバムをプロデュースするのはこれが初めてだった。やはりアメリカを視野にシュネーが前面に出たのであろう。音はより硬質に、洋楽に近くなっていた。

シュネーの紹介で、マイケル・マクドナルドやスティーブ・ペリー(ジャーニー)等と共作の実績のあるランディ・グッドラムが作詞を担当。結果、今回は満足が行くアルバムが完成したので、アメリカでの契約は成立していなかったが先に日本でリリースされることになったのである。

既発曲を英語詞に変えたアルバム「Back Streets of Tokyo」


全8曲のうち4曲は、前年の4人オフコース最初のアルバム『The Best Year of My Life』の曲。この内5曲めの「EYES IN THE BACK OF MY HEART」は、4人オフコースのファーストシングルでもある「君が、嘘を、ついた」の英語版だが、残りの3曲はアルバムトラックであり、うち1曲が松尾一彦(ギター)の作曲である。

そして残り4曲のうち3曲は、この年1985年にリリースされたシングル曲である。2曲め「SECOND CHANCE」は2月21日にリリースされたシングル「call」の、3曲め「LOVE’S DETERMINATION」は「たそがれ」のB面・松尾作曲「LAST NIGHT」の、そして8曲め「ENDLESS NIGHTS」は「たそがれ」の英語版である。

ベーシックトラックは元の曲のものを使用し、そこに英語のヴォーカルを乗せ、オーヴァーダビングしたりリミックスしたりという手法が採られたが、実は「ENDLESS NIGHTS」は例外だった。

今回この原稿を書くにあたって初めて知ったのだが、「ENDLESS NIGHTS」を日本語訳したのが「たそがれ」だったそうだ。小田和正がソロになっても歌い、2004年にシングル「まっ白」のカップリングでセルフカヴァーもしたこの名曲は、実は英語の方がオリジナルだったのである。

この曲だけはこのアルバムのために書かれた曲だったのだ。ちなみにアルバムタイトルはこの曲の歌詞から採られている。

さて、残る1曲、6曲めの「MELODY」だが、実はこの曲はオフコースの1981年のアルバム『over』の、小田によるアルバムトラック「哀しいくらい」の英語版だった。つまりこの曲だけは5人時代のオフコースの曲だったのである。当然ながらベーシックトラックも新録音。5人時代に敬意を表してかイントロや間奏ではキーボードが大胆にフィーチャーされ、オリジナルとかなりアレンジは変えられている。

実は前年1984年のシングル「緑の日々」のB面にも「CITY NIGHTS」という、「哀しいくらい」の英語版が収められている。前述のデモテープから収録されたらしいが、小田がこの曲にいかに愛着を持っていたかが分かる。曲の展開も巧みな、英語のタイトル通りメロディの豊かな佳曲である。小田はやはり2007年にシングル「ダイジョウブ」のカップリングでこの曲をセルフカヴァーしている。

英語になったことで見えてきたロックナンバーとしての素顔


80年代、オフコースは男が聴くものではないという空気は確かにあった。ご多聞に漏れず、僕もオフコースの曲の良さは気になっていたのだが、なかなか踏み込めなかった。

そして4人になったオフコースは歌詞がより生々しくなっていた。特にシングルの「君が、嘘を、ついた」「call」は結構ストレートで、二十歳前後のあんちゃんには荷が重かった。

そんな中、歌詞もソフトで否定しようのない名曲「たそがれ」が世に出て、続いて英語版の「ENDLESS NIGHTS」も出た。そして前述のあからさまな2曲も英語詞になったアルバム『Back Streets of Tokyo』が出た。これならばと僕は初めてオフコースのアルバムをリアルタイムで購入してみた。

歌詞カードには訳詞も付いておらず、正直な話、僕はこの8曲で何が歌われているか未だによく分かっていない。僕が聴いたのはバンドとしての実力であり、曲そのものだった。

まずは『The Best Year of My Life』の4曲。80年代らしくシモンズのドラムが入ったり打ち込みもあったりときらびやかながらも、演奏も確かなウェルメイドなロックであった。アルバムトラックが主ながらこの充実。5人の頃とは様変わりしたが、4人オフコースも確かに歩みを進めていることがよく分かった。この後『The Best Year of My Life』を購入し聴き比べてみたことは言うまでも無い。

そして日本語から英語になったシングル曲は確実に魅力を増した。はっきり言ってしまおう、「EYES IN THE BACK OF MY HEART」も「SECOND CHANCE」も日本語から離れたことで優れたロックナンバーとしての素顔を見せることになった。特に前者に関しては後年小田和正も日本語詞の力みについて認めている。そしてこの2曲は、小田のソロでは取り上げられたことが無いのである。

ロックバンド・オフコースを最も味わえるアルバム


そして「MELODY」のお陰で、僕は「哀しいくらい」の収められた『over』にも手を伸ばした。「言葉にできない」も収められたこのアルバムは、5人時代の終わりを告げるアルバムなのにもかかわらず充実していた。こうして僕は遅まきながらオフコースの沼にはまっていったのである。

『Back Streets of Tokyo』は契約にはたどり着かず、オフコースのアメリカ進出は幻に終わった。しかし僕にとってこのアルバムはオフコースの高い音楽性に目を向けさせてくれた重要な1枚だ。

いや、はっきり言ってしまおう。曲数が少ないこともあるが、僕はこのアルバムが曲の平均レベルも高く、4人オフコースのベストだと思っている。ロックバンドとしてのオフコースを最も堪能出来るアルバムなのだ。

特に男性諸氏、虚心坦懐に一度洋楽のようにこのアルバムを耳にしてみてはいかがだろうか。ファン歴35年を迎えた僕は思う。

2020.08.11
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カタリベ
1965年生まれ
宮木宣嗣
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