12月5日開催【昭和アニソン大合唱 vol.1】④
現役アイドルが語る熱い昭和愛
Re:minder clubが主催する『昭和アニソン大合唱 vol.1』は、1970年代のアニメソングを特集する。目指すのは当時を知るコア層の集いではなく、世代の垣根を越えてアニソンの合唱体験を共有するイベントだ。そして、そのコンセプトを体現するゲストとして、アイドルグループ・東京女子流の新井ひとみが “昭和カルチャー研修生” として参加する。
日本武道館公演を経験したグループの副リーダーであり、ソロでは “80年代風アイドル" として活動している。プライベートでも ”平成生まれの昭和好き“ として、昭和カルチャーへの関心が強く、知識を貪欲に深めようとしている。そんな新井ひとみへのインタビューを2回にわたってお届けしよう。まずは、昭和カルチャーに関心を持ったきっかけと、昭和アニメとの接点について語ってもらった。
新井ひとみの “昭和愛” に満ちたプライベート
ーー 新井ひとみは、忙しいアイドル活動のなかで、休日を昭和カルチャーへの渇望感や好奇心を満たす時間に充てることもあるという。
新井ひとみ(以下:新井):お休みの日は、ステンドグラスのあるようなレトロ喫茶や、食品サンプルが飾ってある飲食店、昭和の雰囲気が残る商店街や建物を巡ることがあります。そうした場所の古い看板のデザインにも魅力を感じますね。それから、アンティーク雑貨の掘り出し物や、中古レコードを探しに出かけることもあります。1日かけて昭和スポットをハシゴすることもあって、たとえば、ある日は赤羽 → 合羽橋 → 銀座と巡ったこともあります。
ファッションも真似したくて、高円寺の古着屋さんで昭和っぽい古着を買って、同じ趣味の友だちと写真を撮り合ったりもします。それから、たまに新宿の地下街で古本屋さんのポップアップが出ているんですね。そこに昔のアイドル映画のパンフレットが並んでいて、見つけるとついつい買ってしまいます。昭和的な雑貨を集めている人のインスタを見るのも好きですね。
ーー 生活全般に昭和のテイストを取り入れているだけではなく、1人のアーティストとしては、昭和の音楽にも積極的にアプローチしている。
新井:何より私は昭和の楽曲が大好きです。聴きやすくて、テンポ感がよくて覚えやすい曲が多いですよね。一度聴けば二度目は鼻歌で歌えるようになります。だから、今回、『昭和アニソン大合唱 vol.1』に “昭和カルチャー研修生” として参加できるのがとても嬉しいです。昭和のアニメについてはまだそんなに詳しくないのですが、知らない曲との新しい出会いがありそうで、それが本当に楽しみなんです。
新井ひとみが昭和カルチャーに触れた原点
ーー 平成を駆け抜け、令和でも活動するアイドルは、スマホを手にする以前の幼い日に、昭和の音楽に出会っていた。その経験が、のちの活動の礎となったのだ。
新井:私が昭和的なものに関心を持つようになったきっかけは、おばあちゃんとのカラオケです。幼い頃、おばあちゃんが歌を教えてくれていました。最初は童謡ですよね。やがて、一緒にカラオケに行くようになるのですが、おばあちゃんはいつも私の知らない曲をいろいろ歌っていたんですよ。でも、子どもだったので、それがいつの時代の曲なのかなんてわかりませんでした(笑)。それからしばらくのブランクがあります。
東京女子流のメンバーとしてデビューしたのは12歳のときでした。デビュー後のあるとき、テレビを観ていたら山口百恵さんの「秋桜」が流れてきました。“あ、この曲、聴いたことがあるな。そうだ、おばあちゃんが歌っていた曲だ!” と気づいたんですね。昭和歌謡を取り上げる番組だったので、“そうか、おばあちゃんが歌っていたのは昭和の歌だったんだ” と理解できました。それ以降、昭和という時代が自分のなかで少しずつ大きくなっていったんですよね。
ーー 昭和のアニメソングとの出会いは意外なかたちだった。無意識に頭のなかにメロディが、歌詞が焼き付いていたのである。
新井:子どもの頃、いとこのクルマに乗せてもらうことがよくありました。そのクルマでは、なぜかいつも同じCDばかり聴いていたんですよ。当時はなにもわからなかったのですが、今考えてみると、昔のアニメソングのコンピレーションアルバムだったんでしょうね。『科学忍者隊ガッチャマン』の曲も入っていましたから(笑)
そのCDのなかに大好きな曲があって、いつも歌っていたので、大きくなってからも歌詞がずっと頭に残っていたんです。そして、あるときネットで検索しました。「♪そばかすなんて きにしないわ」という歌詞です。そう、『キャンディ♡キャンディ』の主題歌だとわかったんです。堀江美都子さんが歌っていることも、初めて知りました。堀江さんはいろいろなアニメソングを歌っていらっしゃいますよね。『キャンディ♡キャンディ』の曲は今でもカラオケで歌うので、イベントでは皆さんと合唱したいと思っています。楽しそうですね!
新井ひとみと「魔法の天使クリィミーマミ」の遭遇
ーー 祖母やいとこの影響で、幼少時から昭和ソングに触れていた新井ひとみは、カバー曲でソロデビューを果たした。1983年(昭和58年)7月に日本テレビ系で放送が始まった『魔法の天使クリィミーマミ』の主題歌「デリケートに好きして」である。ここに、昭和アニソンとの明確な接点が生まれた。
新井:東京女子流の活動と並行して、ソロでもデビューさせていただくことになって、“80年代風アイドル” というコンセプトが決まりました。スタッフの方がどんな曲を歌うべきか考えているときに、私の歌声が太田貴子さんに似ているという話が出たらしいんです。そこから、「デリケートに好きして」のカバーをやらせていただくことになりました。とてもかわいい曲で、衣装や髪型もマミちゃんを徹底的にコピーして歌うことになりました。そのとき『魔法の天使クリィミーマミ』のアニメは全話観て、夢中になりました!
ーー『魔法の天使クリィミーマミ』は、主人公の小学生・森沢優が、魔法の力で16〜17歳のアイドル・クリィミーマミに変身する設定だ。
新井:実際、アイドル活動をしている私は、衣装を着てメンバーと一緒にステージに立つことで、普段の自分とは違う姿に変身しているように思います。そこは作品と共通しているなと思いつつ、私はプリンセス的なものに憧れがあるので、マミちゃんのようなひらひらの衣装に惹かれました(笑)。主人公の優ちゃんが変身するときに呪文とポーズがあるんです。“パンプルピンプルパムポップン ピンプルパンプルパムポップン!” って。それを振り付けに落とし込めないかなとか、いろいろ工夫して自分なりに完成させました。
ーー『魔法の天使クリィミーマミ』に向き合った新井ひとみは、作品のなかで描かれている風景にも魅力を感じた。
新井:先ほどもお話しましたが、私はレトロ喫茶を巡るのが大好きで、ネットで調べて気になるお店はGoogleマップにピンを打って、できるだけ足を運ぶようにしています。物語の中で、優ちゃんの実家は喫茶店ではないですが、クレープ屋さんなんですよね。今ではなかなか見かけない雰囲気のかわいいお店で、そこも私にとっても憧れのポイントでした。
ーー クリィミーマミを完コピすることで、本家とも接点ができた。それは、新井ひとみにとって嬉しい出来事だった。
新井:「デリケートに好きして」をカバーしたことがきっかけで、クリィミーマミの声優でもある太田貴子さんとお会いする機会にも恵まれました。まずYouTubeチャンネルで共演させていただき、その後は太田さんのライブにゲストとして呼んでもらったんです。しかも、アンコールでは「デリケートに好きして」とエンディング曲「LOVEさりげなく」を一緒に歌うことができました。まさに夢がかなった瞬間でした。
あ、それから、太田さんのライブでは、ハッピにハチマキ姿のファンの皆さんがものすごい量の紙テープを投げていたことが印象強いですね。 “これが昭和アイドルの親衛隊なんだ!” と実感し、もう興奮しました(笑)
ーー 明日掲載予定の後編では、新井ひとみの昭和ポップス、そして『昭和アニソン大合唱』に対する好奇心と熱き思いについて、具体的なエピソードを織り交ぜながらたっぷり語ってもらいました。
《公演概要》
昭和アニソン大合唱 vol.1
▶ 開催日時:12月5日(金)18:00 OPEN / 19:00 START
▶ 出演者:新井ひとみ(東京女子流)、コスプレ声ちゃん、DJ BLUE ほか
▶ チケット:
ライブポケットにて抽選販売受付中(10/1 18:00〜10/14 23:59)
▶ 料金:前売 ¥4,980 / 当日 ¥6,000(税込み)*ワンドリンクオーダー要
▶ 会場:LOFT9 Shibuya(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 1F)
▶ 主催:Re:minder club(昭和アニソン大合唱実行委員会)
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2025.10.12