『THE BEST OF 大橋純子 1974-1984』(ユニバーサル)は、彼女がデビュー時に所属していたフィリップス・レコードに残された音源からのセレクトで、CD2枚に33曲が収録されている。そしてこちらのアイテムは、フィリップス時代の大橋純子の最初のディレクターであった、本城和治が選曲を行っている。
『THE BEST OF 大橋純子 1974-1984』にはデビュー曲の「鍵はかえして!」(1974年)から大ヒット曲の「たそがれマイ・ラブ」(1978年)、「シルエット・ロマンス」(1981年)、さらにはフィリップスからの最後のリリースとなった「恋はマジック」(1984年)までのシングル曲が収められている。さらに、4枚目のアルバム『CRYSTAL CITY』(1977年)からの「落日風景」、9枚目のアルバム『Tea For Tears』(1981年)からの「テレフォンナンバー」といった、ファンに人気の高いアルバム曲も選曲されている。
さらにセカンドアルバム『ペイパー・ムーン』(1976年)に収められていた「愛の祈り(Still a Boy)」も収められているが、英語詞で歌われていたオリジナルバージョンに対して、今回は日本語による未発表テイクが収められている。
アダルティなポップス・シンガーのイメージを託された大橋純子
『THE BEST OF 大橋純子 1974-1984』をトータルで聴くと、大橋純子というシンガーのスタイルが構築されていくステップ、およびその表現の幅の広さを追体験することができる。
『THE BEST OF 大橋純子 1974-1984』には大橋純子&美乃家セントラル・ステイション名義の最初のアルバム『RAINBOW』(1977年)から、「シンプル・ラブ」「フィール・ソー・バッド」「レイニー・サタデイ&コーヒー・ブレイク」「ラストナンバー」。続く『CRYSTAL CITY』(1977年)から、「クリスタル・シティー」「落日風景」「FUNKY LITTLE QUEENIE」が収録されていて、一気にファンク・ソウル色を強めていった様子をうかがうことができる。
ちなみに、「たそがれマイ・ラブ」に続くシングル「サファリ・ナイト」(1978年)、「あなたにはわからない」(1979年)、「燃え尽きて」(1980年)が大橋純子名義。「ビューティフル・ミー」(1979年)、「カナディアン・ララバイ」「OOH BOY」、(1980年)が大橋純子&美乃家セントラル・ステイション名義のシングルとなる。これらを聴き比べてみるのも『THE BEST OF 大橋純子 1974-1984』の楽しみ方のひとつだろう。
ちなみに、『THE BEST OF 大橋純子 1974-1984』には、「夏女ソニア」のカップリング曲だった「A LOVE AFFAIR」(大橋純子のソロ歌唱)。そしてもんたよしのりとの2曲目のデュエット曲で、大橋純子のフィリップス・レコードでの最後のリリースとなった「恋はマジック」(1984年)も収録されている。