2月11日

スティクスの運命を変えてしまった「ドモ アリガト ミスター・ロボット」

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photo:FANART.TV  

「ドモ アリガト ミスター ロボット」と聞いて、皆さんは何を連想するだろうか?

80年代の数ある洋楽の中でも、ひと際異彩を放ったあの曲が浮かんだ皆さんも多いはず。そう、「ミスター・ロボット」は、よくも悪くもスティクスの運命を変えてしまった1曲だ。僕はそんな「スティクス=ミスター・ロボット」というイメージにずっと違和感を抱いてきた。

なぜなら彼らは、僕が初めて生で観た洋楽ロックバンドで、特別な思い入れがあるからだ。

82年1月、初の全米ナンバーワンを獲得したアルバム『パラダイス・シアター』発表後の来日公演。アルバムのコンセプトをシアトリカルな演出で再現した完成度の高いショウは、僕にロックのライヴならでは魅力を教えてくれた。

それから1年ほどで届けられた待望のニューシングルが「ミスター・ロボット」だった。当時初めて聴いた時の衝撃は忘れられない。

ヘンテコな日本語を織り交ぜた歌詞とロック色の薄いテクノポップ調のアレンジ。

収録アルバム『キルロイ・ワズ・ヒア』の、大仏のようなルックスのロボットが並んだ微妙なフロントカヴァー。

あまりのバンドの変貌ぶりに僕は全身から力が抜けていった。この曲のコンセプトは彼らが来日した際に、日本の工場で稼働するロボットをテレビで見てヒントを得たというのだから皮肉なものだ。

僕の失望とは裏腹に、「ミスター・ロボット」はその強烈なインパクトでたちまち話題沸騰。全米3位とヒットチャートを駆け上がり、商業的な意味では十分な成功を納める。けれども一方で、その印象があまりに強すぎたことが災いし、後々まるで一発屋のようなイメージを与える結果となってしまった。

結局、これ以降はメンバーの脱退など不運も重なり、以前の勢いを取り戻すことはできなかった。

確かにスティクスは結成以来キャリアを重ねる中で、音楽性を常に変化させてきたバンドだ。それでも「ミスター・ロボット」は、ちょっと「やりすぎた」のだと思う。テクノ風のアレンジはどこか付け焼刃だったし、何より我々日本人には、あの日本語の歌詞は唐突すぎて不自然なものにしか聞こえなかった。

もし、『パラダイス・シアター』に続く作品が「ミスター・ロボット」でなく、前作の延長線上にある普通の楽曲だったとしたら、日本で未だに絶大な人気を誇るジャーニーやTOTO辺りと並び称されるステータスで、スティクスは語られていただろう。

プログレッシブでメロディアスな音楽性、美しいコーラスワーク、各メンバーのキャラの絶妙なバランスと、日本人受けする要素を存分に兼ね備えた彼らは、決して両者と見劣りすることがなかったからだ。

「ミスター・ロボット」のみでスティクスを知る大多数の皆さんにも、彼らが持つロックバンドとしての本来の魅力や、多彩な音楽の数々にぜひ一度は触れていただきたいと心から願うばかりだ。

特に『クリスタル・ボール』以降の5作品はアメリカン・プログレ・ハードの名作揃い。アップルミュージック等のストリーミングサービスで気軽に聴くことができるので、これからもレコメンドしていきたいと思う。


P.S. 実に14年ぶりの新作が6月に発売される。メンバーもすっかり様変わりしたが、原点に立ち返ったような彼ららしいロックは健在だ!

2017.06.02
28
  YouTube / AORHeaven2


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1965年生まれ
goo_chan
私にとって最初のStyx体験はアルバム「Corner Stone」からのシングル「Babe」でした。彼らを日本でメジャーに押し上げた名曲ですが、この曲もある意味Styxとしては傍系の楽曲でした。このグループ、どうもそういう傾向があるのでしょうね。
2017/06/06 18:16
0
返信
1968年生まれ
中塚 一晶
「ベイブ」を最初聴いたとき、いい曲なんですがソフトになったなあ〜と思いました。「レディ」も異質でしたし、おつしやる通り、シングルは別モノと考えてるかも知れませんね。
2017/06/07 19:07
1
1967年生まれ
時の旅人
「ミスターロボット」全米3位ですか。。。確かに「試合に勝って勝負に負けた的」な違和感がありましたね。新作楽しみです。
2017/06/02 17:40
0
返信
1968年生まれ
中塚 一晶
そうですね〜、試合には勝ったのですが。。紆余曲折を経て、未だに現役なのは嬉しい限りです。
2017/06/03 11:39
0
カタリベ
1968年生まれ
中塚一晶
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