アルバム発売とほぼ同時に開催されたコンサートツアー『INTO THE DANCING SUN』のコンサートグッズにも、ジャケットをイメージしたイラストが使用されており、筆者も当時、スウォッチやネクタイなどのグッズを購入したのを憶えている。
ユーミンからの “時代への警告” でアルバムはスタート
『THE DANCING SUN』が発売された翌年の1995年。1月には阪神大震災、3月には地下鉄サリン事件などもあり、バブル崩壊後の日本に暗い影が押し寄せていた。そんな世の中を予見していたかのようなロックナンバー「Sign of the Time」でアルバムはスタートする。
恋人たちのすれ違いを歌った内容ではあるが、ユーミンからの “時代への警告” とも深読みをすることができる。アルバムの1曲目にはポップで軽快なナンバーが収録されることが多いのだが、「Sign of the Time」のようなマイナーコードのロックナンバーが収録されるのはとても珍しい。コンサートで頻繁に歌われる曲ではないが、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』に出演した際に、オープニングナンバーで歌われたのはこの曲である。
キリンラガービールのCMソングとして起用された「GET AWAY」
2曲目に収録されている「砂の惑星」はワールドミュージックのエッセンスが色濃く出た1曲だが、ドラマ『私の運命』の前期主題歌として起用され、ドラマと共に話題になっている(後期主題歌は「命の花」)。「砂の惑星」はコンサートではエキゾチックな演出で歌わることが多く、2003年の『YUMING SPECTACLE SHANGRILA Ⅱ〜氷の惑星〜』や、2018年のツアー『TIME MACHINE TRAVELING THROUGH 45 YEARS』での大掛かりな演出で観客を魅了した曲だ。
3曲目の「Good-bye friend」はドラマ『君といた夏』の挿入歌に起用された曲で、サビのメロディは「Hello, my friend」と同じだが、まったく印象の違う1曲になっている。アイルトン・セナへの鎮魂歌として作られた曲としても有名である。
5曲目の「GET AWAY」は、キリンラガービールのCMソングとして起用された1曲だが、荒井由実時代の「きっと言える」や「中央フリーウェイ」を彷彿させるような非常に難解なコード進行だ。しかし聴いている人にはその難解さを感じさせないところはさすがユーミン!ちなみにキリンラガーのCMソングは「情熱に届かない〜Don't Let Me Go」「無限の中の一度」「二人のパイレーツ」に続く起用になる。
苗場プリンスホテルCMソングとして起用された「Oh Juliet」
6曲目はミリオンセラーになった「Hello, my friend」。ドラマ『君といた夏』の主題歌に起用されユーミンの代表曲だ。Spotifyにおける松任谷由実のトップトラックは断トツでこの曲なので、若いリスナーからも広く愛されている1曲ということだろう。