LET ME KNOWの10曲 ⑨ Isolation / Joy Divison
目まぐるしい1年で大きく成長したLET ME KNOW 結成は2023年の11月、今年5月に配信された「偽愛とハイボール」でブレイク。そして夏フェスの大舞台でも堂々たるステージを見せ、9月に配信された「初なfeeling」で新境地のダンスミュージックに挑む。目まぐるしい1年で大きく成長したLET ME KNOW。彼らの音楽性を深掘りしてゆく連載インタビューもいよいよラスト前の第9回。今回はバンドの屋台骨であるドラムスのLyoが登場。彼の言葉からミュージシャンとしての矜持を感じて欲しい。挙げてくれた1曲はジョイ・ディヴィジョンの「アイソレーション」。
悩んで、痛みを感じる部分の答えを探すために音楽を続けている ―― ポストパンク期を代表するバンド、ジョイ・ディヴィジョンの「アイソレーション」を挙げてもらっていますね。
Lyo:なんていうんですかね… 僕が挙げたバンドというのは、どこかに暗さを持っているというか… その暗さの権化がジョイ・ディヴィジョンだと思います。『コントロール』というイアン・カーティス(ジョイ・ディヴィジョンのボーカル、23歳で死去)の自伝映画を観た時に女性関係で苦しんでいる場面があって、そこでイアン役のサム・ライリーが痛々しくこの曲を歌っているシーンの残像が鮮明に自分の中に残っています。
―― LET ME KNOWの曲にも痛みを感じます。普通に恋愛を歌っているだけではないと。
Lyo:そうですね。特に僕とKen_Mは “めっちゃハッピー” のような曲はあまり好きではなくて。そういう部分も挙げている曲に共通点があると思います。悩んで、痛みを感じる部分の答えを探すために音楽を続けているのかもしれません。
―― 痛みを感じるという人間味がロックの本質なのかもしれませんね。
Lyo:「アイソレーション」もそうですが、音源を聴くとジョイ・ディヴィジョンのビートというのは無機質で人間味がないという印象があります。ただライブは人間味があってあの感じがいいなと思ってしまう。
―― そういう音楽に影響を受けたLET ME KNOWが、聴く人をハッピーにさせているというのも面白いですね。そこがブレイクする理由なのかと。色々な音楽の影響を受けて、それを練って自分たちの音楽を作っているということだと思います。
Lyo:もっとブレイクしたいですね。
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悩んで、痛みを感じる部分の答えを探すために音楽を続けている ―― 2023年の11月に結成ですよね。この1年間はどうでしたか?
Lyo:手応えはあります。「偽愛とハイボール」があれほどまでにみんなが聴いてくれるとは思ってもいなかったので。ただ、遅かれ早かれ、そういう結果になることを考えながら曲を作ってきました。
―― 話は変わりますが、他のメンバー2人、MattyさんとKen_Mさんをミュージシャン、プレイヤーとしてどのように見ていますか?
Lyo:Kenは職人気質です。死ぬほど音を突き詰めるので。傍で見ていると苦しそうですね。“産みの苦しみ” を体現しています。Mattyは、ムードメーカーだなと思います。愛されるべく生まれてきたなというのを感じます。フロントマンとしての天性のキャラクターがありますね。いつも等身大ですね。
―― Mattyさんのそういう部分はステージングにも表れていますよね。空いばりしてないというか。そういった部分も新しいタイプのロックバンドだなと思いました。大袈裟ではなく、昔のロックバンドのステレオタイプ的なものがLET ME KNOWで変わるのではないかと思いました。
Lyo:それは嬉しいですね。“ロックとはこうあるべき” というのを変えていきたいと思っていますので。自分の中でロックというのは貫くことかな、と思っています。ロックの概念というのは人それぞれ違うと思いますが、元々ある概念を持ってくるのではなく、自分の中にある “ロックとはこうあるべき” というものを時代の流れに屈せず、やり続けるものだともいます。例えばタトゥーとかも音楽をやっている人たちが自分の主張として入れていることが多いと思います。僕は逆にタトゥーを入れないことを永遠に守り続けることが自分のロックだと思っています。“自分はこういう人間です” というのを曲げないのがロックなのかなと。
―― ミュージシャンを続けていくと、様々な音楽に影響を受けて変わっていく部分もありますよね。
Lyo:もちろん音楽的に変わっていくところはあります。それでも “ここはブレていないよね” という部分が必要かと。それが何かはまだわからないですけど。こういう話をメンバーとよくするのですが、逆に “これは絶対にやってはいけないよね” という部分があって、僕らの場合は、犯罪をしないという(笑)。当たり前なんですけど。
―― そこは大事だと思います。ロックだからアウトローでいいんだというのも古い価値観ですよね。
Lyo:そうですね。決められた中で最大限のことをやるというのがあるべき姿だと思っています。常識とはこうあるべきだ、ロックとはこうあるべきだというのを一度全て取っ払いたい。そこからいいものを作っていきたいというのがあります。
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未完成な部分があるけれど、その中で、ライブでは120%出し切っています ―― 最近、ライブを重ねていますが、そういう手応えはありますか?
Lyo:まだまだ行けるなという感覚があります。合宿をして7〜8曲のアレンジを詰めてやったこともありました。それでも未完成な部分があるけれど、その中でライブでは120%出し切っています。これって永遠に終わらない課題だと思うので、メンバーみんなで今より良くしていこうという思考を持って取り組んでいきたいです。
―― こういう人にLET ME KNOWの音楽を知って欲しいというのはありますか?
Lyo:自分たちのルーツを知っている人に刺さって欲しいです。“ここから影響を受けているんだ、クスッ” と思ってもらえたら嬉しいですね。
―― 逆に、シンプルにメロディがいいっていう人にも聴いてもらいたいですよね。
Lyo:それはもう大前提で、それプラス、僕らのバックボーンを知っている人にも聴いて欲しいです。
―― そういう部分も含め、もっと上に行けるという確信はあるわけですね。
Lyo:その辺はちゃんと確信があって、今のメンバーと組みましたので。
ロックアイコンになりたい。ロックの新しい指標になりたい ―― これからどんなバンドにしていきたいですか?
Lyo:ロックアイコンになりたいですね。ロックの新しい指標になりたい。今はロックスターが出にくい時代というのがありますが、そこであえてアイコンになりたいですね。自分たちが影響を受けた音楽的なルーツをしっかり踏襲しながら新しい音楽を作る。それと、僕らが掲げている “ノスタルジックモダン” というワードを象徴するバンドでありたいです。
―― ポストパンクとか、ニューウェイヴとか、そういうワードと同じように “ノスタルジックモダンといえばLET ME KNOW” という先駆者になりたいということですね。
Lyo:そうです!そういう風になれたら一番嬉しいですね。
―― 例えばニューウェイヴもギターポップもブリットポップも打ち出し方が違うだけで、全部繋がっていますよね。だけどそれぞれに個性があってムーブメントになっていきました。LET ME KNOWのノスタルジックモダンも同じように感じます。だから先駆者であると。今までの日本のロックにはなかった流れですよね。
Lyo:やはり海外で通用するバンドになりたいとずっと思っているので。そこで新しい潮流を作っていきたいですね。
―― 最後にファンにメッセージをお願いします。
Lyo:大衆音楽をやるというのは、音楽をあまり聴かない人たちに届けていかなくてはならないという使命がありますよね。まだ届いていない人たちがたくさんいる中で、僕らの音楽を聴いてくれる人には “聴いてくれてありがとう” という感謝しかないです。最初に聴いてくれた人がいるからこそ、僕たちは頑張れるし、僕たちの音楽が広がっていけると思うので。
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2024.11.11