3月21日

日本最古の現役バンド【THE ALFEE】の要はベーシスト「桜井 賢」その理由は?

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1974年デビュー、今年50周年を迎えるアルフィー


日本最古の現役バンドであるTHE ALFEE(以下、アルフィー)が、2024年にデビュー50周年を迎える。

彼らが1974年8月、「夏しぐれ」でレコードデビューした時は自作曲を歌うことはできず、B面の「危険なリンゴ」とともに作詞:松本隆、作曲:筒美京平が手掛けている。「夏しぐれ」はヒットしなかったが、松本=筒美は同じ年にレコードデビューした太田裕美の楽曲も手掛け、「木綿のハンカチーフ」などの一連のヒット曲を世に送り出し、その後の音楽シーンに大きな足跡を残していく。ちなみに、当時のグループ名表記はTHE ALFEEではなくALFIEでメンバーも4人だった。

彼らがデビューした1974年は、小坂明子「あなた」、グレープ「精霊流し」、山本コウタローとウイークエンド「岬めぐり」、かぐや姫「赤ちょうちん」、海援隊「母に捧げるバラード」などのフォーク色の強い曲がヒットしていて、こうした流れに乗る形でアルフィーをポップ・フォークグループとして売り出そうとしたのだろう。

アルフィーは当初4人組だった


アルフィーの前身は桜井賢が高校生時代に結成していた3人組グループ、”コンフィデンス” だ。コンフィデンスはサイモン&ガーファンクルの曲などをレパートリーとしていたが、1972年に別のフォークグループから坂崎幸之助が加わり4人組となる。

同年、コンフィデンスは小室等が音楽を担当した映画『愛こんにちは』のサウンドトラックアルバムに参加し、このアルバムから「昼下がりの夢」(作詞:白石アリス、作曲:小室等)がシングルリリースされている。この「昼下がりの夢」では坂崎幸之助がリードボーカルをとっているが、アルバムに収録されている「愛よこんにちは」(作詞:かぜ耕二、作曲:小室等)では桜井賢がリードボーカルをとっている。

1973年、桜井賢らは明治学院大学に進学。同時期、坂崎幸之助は、高見沢俊彦と知り合う。高見沢俊彦はハードロック志向が強かったが、ビートルズやフォークロック系のCSN&Y(クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング)なども好きだったため2人は意気投合。そして坂崎に誘われて高見沢が参加したコンフィデンスはレコードデビューのチャンスを得て、ALFIEと改名する。

アルフィーの出発点にある多彩な音楽系譜


こうしたグループ結成の流れを振り返ると、アルフィーにはその出発点からサイモン&ガーファンクルに象徴されるアメリカン・モダンフォークソングや日本のフォークソングの流れ、ブリティッシュ・ハードロック、さらにはCSN&Yに象徴されるコーラスサウンドなど、多彩な音楽系譜が集積されていることがわかる。

日本でもCSN&Yやウッドストック・フェスに象徴される欧米のロック・ムーブメントの影響を受けた若者は多かった。しかし、そうした洋楽テイストの強いグループがレコードデビューに際して、彼らが本来持っていた洋楽的テイストを活かすのではなく、日本的なポップ歌謡グループとして売り出そうとすることは、当時の日本のレコードビジネスの常とう手段でもあった。

1960年代後期に、欧米のロックグループの影響を受けた若いバンドをグループサウンズ(GS)として売りだしたり、アメリカン・フォークソングの影響を受けたグループをカレッジ・フォークとしてプロモートするなど、洋楽の新しいコンセプトに影響を受けたムーブメントをあくまでも歌謡曲のバリエーションとして消化しようとする意識が強かった。



デビューにあたってガロの再来を期待されていた


1972年に「学生街の喫茶店」をヒットさせたガロもCSN&Yの繊細なハーモニーに影響を受けた洋楽指向のコーラスグループだ。しかし「学生街の喫茶店」は作詞:山上路夫、作曲:すぎやまこういち という歌謡ポップス系作家の作品で、この曲によってガロはポップフォーク・グループというイメージで受け取られることになる。しかし、こうした “成功” はガロのメンバーにとっては必ずしも本意ではなかったようで、ライブではヒット曲を歌いたがらなかったというエピソードもあった。

アルフィーは、デビューにあたって、彼らにガロの再来を期待されていた部分はあったと思う。実際彼らはガロのようにCSN&Yなどのムーブメントに強く影響されていたし、ガロのレパートリーも好んでいた。もし、デビュー曲の「夏しぐれ」や同じ作家陣によるセカンドシングル「青春の記憶」(1975年)がヒットしていたら彼らはガロと同じようなジレンマを抱えていたかもしれない。しかし、そのデビューが芳しいものではなかったために、ガロとは違う苦労を経験することになる。

武道館ライブの成功が引き金で「メリー・アン」が大ヒット


アルフィーは1975年にセカンドシングルと同じタイトルのファーストアルバム『青春の記憶』をリリースするが、メンバーの脱退があり桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦の3人編成となる。そして、レコード会社との契約も切れ、研ナオコやかまやつひろしのバックバンドなどをしながら自分たちのスタイルを模索していく。

1979年、バンド名の表記をALFEEとしてシングル「ラブレター」(作詞・作曲:高見沢俊彦)で再デビュー。しばらく大ヒット曲は出なかったがライブでの動員数は確実に増えていき、1983年8月には、ヒット曲無しでの日本武道館ライブを成功させる。実はこの年の6月にシングル「メリー・アン」をリリースしていたのだが、この曲が大ヒットしたのは武道館ライブの成功が引き金になっていた。

再デビューしたアルフィーは演奏スタイルを大きく変化させていき、高見沢俊彦(エレキギター)、坂崎幸之助(アコースティックギター)、桜井賢(エレキベース)という楽器編成となり、さらにドラムス、キーボードにサポートメンバーを加えてサウンドに厚みと幅広い表現力を持たせ、唯一無二の世界をつくりあげていった。



高見沢俊彦、坂崎幸之助の対照的なダイナミズム


現在のアルフィーのサウンドは、高見沢俊彦のハードロックテイストあふれるエレクトリック・ギターと坂崎幸之助のフォークテイストにこだわったアコースティックギターの対比によって生み出されているというイメージが強い。

さらに高見沢俊彦はアルフィーの楽曲だけでなく、他の歌手への楽曲提供をおこなったり、ロック色を前面に打ち出したソロワークなどを積極的に展開しているし、坂崎幸之助も加藤和彦、北山修とザ・フォーク・クルセダーズの再結成に参加したり、多くのフォーク系ミュージシャンとのコラボをおこない、日本のフォーク界で一目置かれる存在になっている。

だからアルフィーというグループの魅力は、この対象とも言えるベクトルを持つ2人のダイナミズムから生まれると言うイメージを持つ人が多いだろう。もちろん、それは間違いではない。けれど、実はアルフィーという他に類を見ないグループの核になっているのは、もっとも地味に見える桜井賢なのだと思う。

アルフィーの核となっているのはオリジナルメンバーの桜井賢


実際、桜井賢は他の2人と違って、アルフィー以外の活動には一切興味を示していないし、グループでもアクティブな2人についていく存在のように感じるかもしれない。

しかし、アルフィーの歴史をコンフィデンスの時代にまで振り返ると、桜井賢こそがオリジナルメンバーであり、彼が傾倒したサイモン&ガーファンクル、さらにCSN&Yのエッセンスがアルフィーの原点であり、軸になっていると感じられる。

そして、高見沢俊彦、坂崎幸之助が大胆に音楽性を広げるアプローチを行い、さらに幅広いソロ活動が出来るのも、彼らにとっての原点を桜井賢が守り続けているからなのかもしれない。

アルフィーのアンサンブルにおいても、高見沢俊彦と坂崎幸之助の個性的プレイを融合させてひとつの世界としているのが桜井賢のベースであり、音楽性なのだ。その意味で、桜井賢こそがアルフィーを成立させている要である。

そして、アルフィーの特長は、3人のメンバーがそれぞれリードボーカルをとり、さらにコーラスワークも完璧だということ。このスタイルもCSN&Yから受け継いだものと言えるだろう。実際、3人がそれぞれ歌ってみてメインボーカルを決める曲もあるという。

その中で、桜井賢は「暁のパラダイス・ロード」「メリーアン」「星空のディスタンス」などのブレイク時期のシングル曲でリードヴォーカルを担当している。そのためアルフィーを桜井賢のヴォーカル曲で知り、桜井賢のヴォーカルにアルフィーらしさを感じている人も多いと思う。これもまた、桜井賢をアルフィーの要と感じる理由のひとつかもしれない。



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2024.01.20
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カタリベ
1948年生まれ
前田祥丈
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