そして、同じく挿入歌として彩りを添えた「DEVOTION」。 “献身” という2文字で表すにはあまりにもせつなく悲しい獠とアンジーの運命を描いていく。献身とは? 尽くすとは何か? この曲を聴くたび、冒頭の「♪No No No, No No No」と繰り返されるワードはどこにかかるのだろうかと意味を深読みしてしまう。悲しみを背負った運命に対してのNo。戦うこと、争うことへのNo。一見否定的なNoという言葉の繰り返しが、聴くほどに “希望” に聞こえてくる。それこそが、この曲の持つ力強さなのだといつも思う。
最も熱いバトルシーンで流れた「Angie」
さらに、今回の作品で初CD化となった「Angie」。この曲は物語の最も熱いバトルシーンの見せ場で流れた楽曲で、しっかり聞き込みたいと思っているファンも多いはずだ。獠とアンジーの宿命を壮大に描き、2人が抱えた運命を曲に消化させている小室哲哉による神聖なレクイエムのようでもある。昨年から続くライブツアー『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜DEVOTION〜』で、この曲を歌い上げた宇都宮のパフォーマンスが、曲に溶け込み深く心に響いたことを思い出させる。
そして「Get Wild」「STILL LOVE HER(失われた風景)」と楽曲は続く。アニメ『シティーハンター2』のエンディング曲であり、2019年公開の『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』でも起用された「STILL LOVE HER(失われた風景)」。「♪二階建てのバスが追い越してゆく」という具体的な歌詞によって、聴き手はこの曲をより自分の物語のように捉えることができるのだなとしみじみ思う。木根尚登の泣きのハーモニカの音色も優しい。
時代を超えていくTM NETWORK
これからTM NETWORKはいよいよアリーナツアーへと走り出す。そして5月15日にはトリビュート+オリジナル2枚組アルバム「TM NETWORK TRIBUTE ALBUM -40th CELEBRATION-」も発売される。B'zが「Get Wild」を、松任谷由実 with SKYEが「Human System」をカバーすると発表されると、その錚々たる参加メンバーにネットも騒然だった。