2019年 2月13日

ユーミンが紡いできた歴史と文化、苗場の SURF&SNOW に行ってきた!

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苗場プリンスホテルで松任谷由実の「SURF&SNOW in Naeba vol.39」が開催された日(6日目)
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photo:CAPITAL VILLAGE  

22歳の私が生まれる17年も前からやっていたコンサート。私が憧れた80年代から今日まで、紛れもなく存在してきた、“あの頃” の記憶が「そこ」にはある。

『SURF&SNOW in Naeba vol.39』へ行ってきた。ユーミン、39回目の苗場プリンスでのコンサートだ。ほんの少しでもその時代の「におい」を感じてみたいと、私は友達を誘って苗場へと向かった。

キャリーケースには、メルカリで買ったバブル期のスーツと、母のシャネルのバッグ、祖母のジバンシィのヒールを詰めた。友達は黄緑のスーツとエルメスのスカーフを詰めた。これを着て、苗場プリンスを闊歩するのである。

ユーミンのライブと言えば、12月にデビュー45周年記念の『TIME MACHINE TOUR』をさいたまスーパーアリーナに観に行っている。だけど、今回『SURF&SNOW in Naeba』に足を運んでわかったことは、やっぱり “苗場は別物” ということだ。ユーミンにとって、そしてユーミンの音楽をそばに置いて日々を過ごした人々にとって、そこは特別な場所なのだ。

私がそれを感じたのは、苗場名物のリクエストコーナーだった。客席の中から選ばれた人が舞台に上がり、歌って欲しい曲をリクエストし、その曲に関するエピソードを語るというもの。数々の甘酸っぱい大人の思い出が披露されてきたであろうこの企画、私が行った日に選ばれた男性は、苗場のコンサートが25回目だという強者だった。

当時、付き合っていた彼女と初めて苗場にデートに来てから、なんと! 今日もその彼女(奥さん)と一緒に来ていると言うではないか。大人が照れながらそんな話をする姿は、なんだか新鮮で、楽しくて、こちらも幸せになってしまう。プロポーズも、この苗場でコンサートが終わったあとにしたのだと言うから、ときめきは頂点に達する。

そんな彼のリクエストは「真冬のサーファー」。彼がウィンドサーフィンをやっていた頃、彼女が車で彼のことを待っていた… というエピソードからのリクエスト。ユーミンと一緒にマイクを持って思いっきり歌う彼の姿は、本当に素敵で、私が憧れた80年代の記憶を分けてもらえた気がした。やっぱりこの世代の人たちの恋愛には「ユーミン」があって、「ユーミン」が繋いできた愛や絆があるのだ。

思えば、私たちの世代にとって愛を埋めてきたのは IT であった。いつでも連絡できるチャットや、カップルとしての愛の形を周囲に証明できる SNS、恋愛の手段としてのアプリ。電子の文明が人の心を繋いできた。

だけど、昭和の恋愛を埋めてきたのは文化だったんだと思う。音楽や時代がつくっていた、あの雰囲気、甘い匂い。音楽を聴いて募る思いや、こんなことをしてみたいというシチュエーション。ユーミンが曲を作れば日常の風景もロマンチックに変わった。そういうキラキラとした “あの頃” を生きていた人々を羨ましく思う。

彼らの輝かしい青春には「ユーミンの描いた世界」が欠かせないキーワードになっている。ユーミンは音楽を作るのとともに、文化を作ってきた。アンコールで「雪だより」を歌った時のユーミンの言葉を私は忘れない。

「この曲は、SURF&SNOW というアルバムの中で最初に作った曲です。その頃まだ日本には冬のリゾートソングがなくて、当時の私が、雪というものに真摯に向き合って作りました。それをここに立つと思い出します」

それを聞いて、改めてユーミンという人がこの雪のリゾートを作り上げたことを実感する―― そして39年もの間、この場所でコンサートをしてきたという、続けることの凄さ。

苗場のコンサートに何十回も通っている人は多い。彼らにとって、ユーミンにとって、苗場に来るということは、年に一度、リゾートに集まるということ。39年続いたコンサートには命が宿っている。


 赤いダウンに 腕をとおしたら
 それは素敵な 季節のはじまり


「雪だより」の歌い出しにあるように、苗場のコンサートは、「素敵な季節」の始まりを告げてきた。その「素敵な季節」を作ったのは紛れもないユーミン自身なのだけど。


 いっしょにすべる約束を
 忘れずにありがとう
 すぐに たずねてゆくわ
 まぶたが痛いほどの
 白い村へ


この曲は私が感じた会場のイメージそのものだ。ユーミンやファンにとって、このコンサートは「いっしょにすべる約束」なのだ。毎年冬に届く、ユーミンからの雪だより、それが『SURF&SNOW in Naeba』なんじゃないだろうか。

『TIME MACHINE TOUR』では「まだまだやりたい演出やライブがある」と明るく語っていたけれど、ユーミンは苗場のライブの最後に、「これからも、ずっと、ここに立ち続けたいです」と言った。そして、「私が生涯最後に立つステージはここだと決めています」とも言った。

それは切実な言葉だった。私は生きている限りエンターテイナーとしての魂を燃やし尽くすユーミンが大好きだ。昔より声が出てなくても、それがなんだというのだ。そこに彼女が立つのを私は見に行きたい。

かつて彼女が、「才能は母乳なので出し続けなくてはならない」という発言をしたけれど、それを死ぬまで出し切ろうという彼女の生き方を見ると、生きるってこういうことか… と思い知らされる。私はそういうエナジーをユーミンからもらっていて、私がアルバム『REINCARNATION』に強い思い入れがあるのはそこにルーツがあると思う。

39年間「続ける」ということ。
そこに「集まる」人達がいること。
ユーミンが紡いできた歴史と、文化。

来年、ユーミンからの雪だよりは40年目を迎える。甘く切ない冬のリゾートを、私は次の冬も味わいに行く。

2019.02.17
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  YouTube / 松任谷由実


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カタリベ
1996年生まれ
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