ブラジルで過ごした最後の年、私は高校1年生。当時は生徒数に対して教室の数が足りず、生徒たちは午前の部と午後の部に分かれて学校に通っていました。午前の部に通っていた私は6:30から12:40まで休憩もなくびっしりと授業を受け、10:30に15分の休憩しかない学校生活を送っていたのです。 ただ、宿題はほとんどなく午後は暇だったので、家にあった英語教材に載っている音楽 〜そこにあったのは「雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin' On My Head)」や「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」など、60年代~70年代に流行したヒット曲〜 の歌詞を見ながら歌うのが大好きでした。 しばらくすると、それだけでは物足りなくなり、テープに録音していた80年代のヒット曲を聴いて、その歌詞を「耳コピー」するようになっていったのです。もちろん、当時の私の英語力、リスニング力では、ハチャメチャな英語の歌詞カードになってしまうのですが、それを満足そうに完成させて周りの友だちに見せたり、「これ知ってる? 一緒に歌おう!」と半分強制?同意を求めながら歌ったりする、ちょっと変わった高校生でした(笑)。当然ながら、英語力のある友だちからは「これ、違うよっ!」と英語の間違いを指摘されたりもして、一生懸命耳コピーをした歌詞なのにちょっと複雑な気持ちになったりしたことも思い出します。 ある時、大親友だった同じクラスのダニに、私が作った “ある曲” の歌詞を見せました。後に彼女は微生物の研究者になるのですが、当時からもとても頭が良く、英語力もあったと思いますが、「ちょっと変わった友だち(=私)」の変なお願いを快く受け入れて、一緒にその曲を歌ったりもしてくれました。ただ、その題名だけが分からず、後日改めて彼女に聞いてみると…… 「それ、スパンダー・バレエのトゥルーっていう曲よ!」 なんと、彼女は私の間違いだらけの歌詞カードを家に持って帰り、父親の前で歌まで歌って題名を教えて貰ったそうです。なんて良い友だちなんだろう! いま現在も、地球の真裏にいる大親友とは連絡を取り合ったりしています。彼女のお子さんの名前の漢字を私が考えたり、ブラジルに帰った時もタイミングをみて会ったりしています。あの時、私を否定せず、広い心で私を受け入れてくれたおかげで私は英語に興味を持ったり、楽しく勉強できたのだと思い、彼女にはとても感謝しています。 ♪I bought a ticket to the world, but now I've come back again 不思議なことに、この歌詞の一節は今の私たちを表しているかのようで、まるで私たちの未来を予想していたかのようです。スパンダー・バレエのトゥルー、この曲は私にとって、彼女の優しさを思い出させる曲であると同時に、私が一生彼女の親友でいたいと思わせる大切な一曲なのです。
2016.09.14
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