4月7日

司会は大橋巨泉!クイズ番組「世界まるごとHOWマッチ」のゴージャスさ

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TBS系のクイズ番組「世界まるごとHOWマッチ」第1回が放送された日
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ファンファーレから始まる人気番組「世界まるごとHOWマッチ」


新型コロナウイルスの影響で、気軽に海外へ行けない日々が続いている。テレビ番組にもその影響は大きく、『アナザースカイ』は放送終了。『日立 世界ふしぎ発見!』は、裏番組の『出没!アド街ック天国』と被りそうな国内ネタが増加。子ども時代、数々のバラエティ番組で海の向こうに想いを馳せた身としては、ほんと切ない。

80年代、海外の話題を扱った華やかなクイズ番組として忘れ難いのが『世界まるごとHOWマッチ』だ。世界のさまざまなモノの値段を当てるというシンプルなクイズ番組なのだが、意外な値段に驚くと同時に、現地の人々の生活を垣間見るのが楽しかった。タイはバーツ、ドイツはマルク、ソ連はルーブルなど、この番組でさまざまな国の通貨も覚えた。

オープニングから、やたらとゴージャス感があったことも印象深い。まず、ファンファーレが鳴り響き、ビッグバンド演奏のオリジナルテーマ曲が流れる。音楽を担当したのは、数々のテレビ番組のテーマ曲を作り、歌謡曲のアレンジャーとしても活躍した前田憲男。『世界まるごとHOWマッチ』の音楽も、前田らしいビッグバンドでスイングジャズ調のアレンジが印象的だ。

テレビ界の帝王・大橋巨泉、石坂浩二を “兵ちゃん” 呼び


そして、ゴージャスなテーマ曲をバックに華々しく登場するのが、司会の大橋巨泉。60年代から80年代、芸能界には数々の大物がいたが、“大物中の大物”“テレビ界の帝王”といえるのが巨泉ではないだろうか。本人がよく言っていた「野球は巨人、司会は巨泉」という言葉通りの大活躍だった。『世界まるごとHOWマッチ』はゴルフ、『クイズダービー』は競馬、『ギミア・ぶれいく』は英会話、『11PM』はジャズ、料理、麻雀など…… 巨泉の番組には彼の興味や特技、幅広い趣味が反映されていたように感じた。

巨泉も音楽担当の前田も、昭和9年生まれの芸能人の親睦会「昭和九年会」メンバー。他にも、石原裕次郎、長門裕之、愛川欽也、玉置宏など、とにかく大物が多かった。60~80年代の芸能界は昭和九年会が牛耳っていた、といっても過言ではないのでは。

巨泉の大物ぶりは、番組の進行にも表れていた。レギュラー解答者だった1枠の石坂浩二を「兵ちゃん」と呼んでいたのは忘れられない。この番組によって、石坂浩二の本名が兵吉であることを知った人も多いのでは。もう一人のレギュラー解答者で、一回り以上歳の離れた2枠のビートたけしのことは、もちろん「たけし」と呼び捨て。

正直、「巨泉っていつもえらそうだな」とは思ったが、二人に親しみを抱いていることは伝わってきた。それに、巨泉・兵ちゃん・たけしの掛け合いが番組名物でもあり、私もこれを楽しみにしていた。

これぞゴージャス! 正解金額をピタリ当てた「ホールインワン賞」の賞品は?


テーマは世界、音楽はビッグバンド演奏のオリジナル、そして司会は当時の “The King of MC” 大橋巨泉。そりゃゴージャスなわけである。さらに、正解の金額をピタリ当てると「ホールインワン賞」、金額が最も近い人に与えられる「ニアピン賞」、金額が桁外れにずれていると「ロストボール」…… と、ゴルフに例えるのもゴージャス感を強めるのにひと役買っていたように思う。おまけに「ホールインワン賞」の賞品は、世界一周旅行なのだから。

ナレーションを担当した小倉智昭の出世作になったことにも触れなければならない。のちに、“大物” 司会者となった小倉だが、師匠であった巨泉を超えられなかったのは、本人の力量云々の前に時代のせいもあるのだろう。準レギュラー枠から外国人タレントを輩出したことも、印象深い。一番の人気者だった “カリフォルニア州弁護士ケント・ギルバート” が、右派論客になるとは誰が予想しただろうか。

インテリで、多趣味で、国際派だった大橋巨泉。生きていたら、今のテレビ番組になんと言うのだろうか。予算の削減でゴージャスな番組制作が難しくなったうえに、海外取材も思うようにできず、動画配信サービスに押されがちな現在のテレビ界。巨泉のような、大物然としたテレビスターはもう出てこないのだろうか、とちょっと寂しくなってしまう。

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2022.03.30
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カタリベ
1967年生まれ
平マリアンヌ
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