5月31日

田原俊彦「シャワーな気分」これぞ和製マイケル、最高のダンサブルナンバー!

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田原俊彦のシングル「シャワーな気分」がオリコンチャート初登場で1位を記録した日
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圧巻のダンスパフォーマンス!激しく踊って歌えるアイドル


ひと言でいってカッコよかったよね。田原俊彦(以下、トシちゃん)の「シャワーな気分」。やっぱりディスコ系はトシちゃんに限るよね。1980年代前半、ビジュアル的に “魅せる” 領域に行ってるアイドルっていったら、もう彼しかいなかったしさ。

トシちゃんの場合、どうしても「うたヘタ」っていう見方もあるようだけど、そんなことない! だって、これだけ激しく踊って歌えるってのは、大変なもんだよ。それに、あれだけ踊りながらリップシンク、いわいる “口パク” に逃げず、いつも生で歌っていたっていうのは、今考えると凄いことだったんだよな。

この「シャワーな気分」の2つ前のシングル「ラブ・シュプール」はミュージカル風、1つ前のシングル「ピエロ」はやや渋め路線… と、ハードなダンスナンバーからはやや離れた曲だった。それだけに、久々のハードダンスチューンであったこの「シャワーな気分」のパフォーマンスは特にハデだった!そんな印象が強いですね。

とりわけ圧巻だったのは、後年も語り草になる『ザ・ベストテン』1983年7月7日放送分。「シャワーな気分」というタイトルよろしくスタジオにシャワーを降らせ、その中での熱唱。加えて「♪ 頭の中の~」から続くCメロの最後の「♪ 絵になるだろう~」でマイクを真上に放り投げ1回転しながらシャツを脱ぎ捨て、次の瞬間マイクを見事にキャッチ。そのまま続きを歌うなんて離れ業なパフォーマンス。あれは本当に凄かった!

1983年に発売、YAMAHA「DX7」の登場で変化してゆくサウンド


アイドルポップス含め、いわいるヒット曲のサウンドは、83年がターニングポイントだったという印象が強い。この時期の前後ではヒット曲のサウンドが全体的に大きく変わっているんだよね。これは特に YAMAHA「DX7」の登場によるシンセサイザーの普及が大きかったんだろうな。ウィキペディア情報では、DX7 の発売は1983年5月。…とすると、上記のようなヒット曲のサウンドが変化した時期とちょうど符号する。

80年代特有のエッジが立った鋭角的なサウンド。シンプルなんだけど、それ以前のシンセ特有の機械的な無機質音ではなく都会的でカッコいいサウンドなんだよね。加えて軽いコロコロとした親しみやすいプリセット音。これらの “音” は82年まで、少なくともアイドルポップスにはなかったサウンドですよ。

以前、自分のブログ(※1)で、80年代でも83年3月までのヒット曲は70年代のオマージュ、本当の80年代の幕開けは83年4月以降のヒット… と書いたんだけども、それは当時のヒット曲の、これらのシンセを多用したサウンドの変化という面から感じたところが強いですね。

筒美京平の目論みは和製マイケル・ジャクソン?


「シャワーな気分」もご多分に漏れず、サウンドはそれまでのトシちゃんの曲と大きく変わりましたね。82年のトシちゃんのダンスナンバー「誘惑スレスレ」と比べても違いが分かりますね。この曲はソウルフルな印象が強く、70年代の香りが濃い典型的なディスコミュージック。一方「シャワーな気分」は、同じダンスナンバーでも「誘惑スレスレ」のような70年代的な香りはしないんだよな。

筒美京平氏の、トシちゃんと組む時のダンスものに対する入れ込みの強さは、かなりのものでしたからねぇ。トシちゃんの歌う筒美作品は、82年の「君に薔薇薔薇…という感じ」を手始めに、続く「原宿キッス」とファンキーなダンスチューンが続いた。そこで意識するのは、時代的にマイケル・ジャクソンだったわけで。筒美氏としては、トシちゃんを和製マイケルにしたかったのではないか… というのは一般的な見方ですよね。

興味深い考察もあって、稲増龍夫&ポップス中毒の会の本『歌謡曲完全攻略ガイド'68-'85』で、榊ひろと氏の評によると、(マイケル・ジャクソンのアルバム)『スリラー』の中でも一番ファンク度の高い「P.Y.T」をサウンドのヒントにしている。「だけ だけ~」というAメロのリフはクイーンの「バック・チャット」…とある。

「P.Y.T」も「バック・チャット」も1982年の曲だ。それゆえに「シャワーな気分」が70年代の香りがしないというのも当然だったかもしれない。と同時に、この「シャワーな気分」でトシちゃんを和製マイケルに… という筒美氏の目論みも結実したんではないか… とも思えますね。

アレンジャーは大村雅朗、印象に残るブラスの使い方


さて、「シャワーな気持ち」のアレンジャー大村雅朗氏は、この83年は大活躍で、一番アブラが乗ってた時期ですね。この年の大村氏といえば、どうしても「SWEET MEMORIES」を筆頭に松田聖子の一連の大ヒット曲のアレンジという印象が強い。いわいる “メロウ” なイメージですね。

だから、ハードなダンサブルナンバーであるこの曲のアレンジは、聖子ちゃん用に施した “メロウ” なアレンジとは全く異なる大村氏の新しい一面を見せてくれた印象がある。

先述の「歌謡曲完全攻略ガイド'68-'85」で榊ひろと氏は、この曲での大村氏のアレンジについて、リンドラムの特性を生かした最高のグルーヴ感を聴かせてくれる… と述べている。個人的にはトシちゃん、女性コーラス、ブラス、リズムセクション、この4パートのコンビネーションに独特のグルーヴを感じるな。その中でも、当時ブラスをやってたということもあるからなんだろうけど、どうしてもブラスの使い方に意識が行ってしまったし、一番印象に残ってるんだよね。

とくに、最後の「♪ シャワー~」… と余韻を残しながら、“体言止め” のようにスパッと終わる力強いブラスの終わり方。これがいいんだな。余計な印象が残らなくて。


Song Data
■ 田原俊彦 / シャワーな気分
■ 作詞:三浦徳子
■ 作曲:筒美京平
■ 編曲:大村雅朗
■ 発売:1983年5月18日
■ 発売元:キャニオン
■ オリコン最高位:1位
■ 売上枚数:26.1万枚

■ かじやんの THE HITCHART HOT30 最高位:4位
■ HOT30 ランクイン期間:1983年5月16日~8月8日付



※1:本文にありましたブログ『かじやんのヒット曲&チャートレビュー』は、こちらからご覧いただけます。


2020.05.30
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カタリベ
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