世間では、私たちはバブル世代と数えられ、その経験を話すと「うらやましい」と言われ、人格を評価されると「やたら元気」「イケイケ」という、何ともあいまいな評価が下される。そんな世代ですから、社会人2~3年目の私でも、今では決してできないような経験もさせてもらいました。その中から「いかにもバブル」なエピソードを1つ。
当時、「世界最大の客船」と言われたイギリスの豪華客船「クイーン・エリザベス2(QE2)」に宿泊したことがあります。当時のマスコミが大騒ぎしていて、テレビや雑誌などがこぞって取り上げ、いわゆる「豪華客船」の代名詞となっていました。
もちろん自費のはずがなく、勤務していた広告会社の仕事の絡みで招待されたのです。バブル期は、取引先との懇親旅行やゴルフコンペなどがやたら多く、「今週はA社のコンペ、来週はB社の招待旅行、再来週はコンペ2回」なんていう離れ業をこなした時期もありましたから、一体、いつ仕事していたんでしょうね(笑)
乗船時には、スタッフが大人数でお出迎え。すっかりVIPな気分です。高い天井の吹き抜けのホールを抜けるとバーラウンジやダンスホールがあり、どこからかピアノが流れてきます。う~ん、ますますいいぞ! さっそく同行者(カミさんと友人カップル)とカクテルで乾杯! 海外旅行気分です。夜には、カジノにも行ってみました。ルーレットやポーカーなどでは、外国人がディーラーを務めていて(当然か)、タキシードが格好いい。海外のカジノに行った経験などありませんでしたから、まるで映画のようでした。
客室は、ちょっと残念。2人部屋でしたが、かなり狭くて息苦しい感じ。ベッドは、自分の身長(182㎝)だと、足がつっかえて寝れません。「俺は、イギリス人より背が高い!」と放言して、マットを床におろして寝ることにしました。おそらく2等船室だったと思うので、それなりだったのでしょう。
さて、お待ちかねのディナータイムでは、豪華なゲストが登場しました。あのハイ・ファイ・セットです。山本潤子・山本俊彦(夫婦)と大川茂さんのコーラスグループで、デビュー曲は『卒業写真』、そうユーミンです。。その後も、『冷たい雨』や『中央フリーウェイ』などユーミン作品をバシバシヒットさせていましたので、これらの曲は、(私たちの世代は)どちらかというとユーミンよりも、ハイ・ファイ・セットの方が耳慣れています。ナマで聴く歌声は、それはそれは美しく、QE2に宿泊するという稀有な経験をしている若造には、完成されたハーモニーが、ガツンと来ました。
食事の前のショーでしたので、それほど長い時間ではなかったと思いますが、前述の3曲はもちろん、『フィーリング』なども披露されました。中でも特によかったのが『素直になりたい』。それまで、ハイ・ファイ・セットには、あまりダンスのイメージがなかったものですから、軽快なリズムに乗って3人がステップする姿を見て、随分と印象が変わったのを覚えています。
恋はいつも Rhythm & Blues
揺れる心 Upside down
そんな出だしから曲も軽快。名曲です。リリース時には腕時計のCMでも使われており、多くの人が耳にしていたでしょう。
残念ながら、ハイ・ファイ・セットは、1994年に解散してしまいましたが、近年でも、山本潤子さんをテレビで観かけることがあります。相変わらずの歌声で、ついつい聞き入ってしまうのは私だけではないでしょう。ただし、「QE2=素直になりたい」と紐付けているのは、私だけかもしれません。
素直になりたい / ハイ・ファイ・セット
作詞・作曲:杉真理
編曲:井上鑑
発売:1984年(昭和59年)1月21日
2016.09.19
YouTube / LEGACY80s
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