「ベストヒットUSA」40周年記念:小林克也インタビュー
『ベストヒットUSA』40周年を記念して小林克也さんにインタビュー! 放送開始当時、ラジオ、CM、スネークマンショーと多忙を極めていた克也さんがVJを引き受けるまでの経緯や、逸話、そして、80年代洋楽黄金期のミュージックビデオクリップや、現在のアメリカンチャートについてなど、長きに渡り第一線で活躍する音楽の伝道師ならではの盛りだくさんな内容のロングインタビューになりました。
放送開始から40年。洋楽番組の金字塔 ベストヒットUSAとは
スタートは1981年4月4日、放送開始から40年の長寿番組
音楽を聴く時代から観る時代へ――
1981年8月1日、ニューヨークに拠点を置くアメリカのケーブルテレビチャンネルMTV開局。24時間ポピュラー音楽のビデオクリップを流し続けるメディアの開局は、ポピュラー音楽の歴史から見てみても最も革命的な出来事だった。そして、この開局の4か月前、1981年4月4日、『ベストヒットUSA』の放送がスタートしている。
番組の主軸は、カウントダウン形式に紹介される当時のヒット曲のビデオクリップ。それまでマニアックな傾向で語られることが多く、敷居の高かった洋楽に対する意識を覆した。番組開始以前、洋楽に親しむ主体はラジオであり、1981年当時、洋楽アーティストの “動く姿” を目撃できるTV番組は極めて少なかったはずである。
このような状況の中、『ベストヒットUSA』の果たした役割は極めて大きい。お茶の間への橋渡しだけではなく、ミュージシャンやクリエイターたちにも大きな影響を与えた。テンポの良い軽妙なナレーションは、カジュアルでありながら個々の楽曲に潜む本質を見逃すことなく視聴者に語りかけていた。そのスタンスは、40年間という長きに渡り番組の顔として牽引し続けたVJ小林克也の功績によるところが大きい。
ラジオDJとして多忙を極めていた小林克也を起用
放送開始当初、ラジオDJとして名を馳せ、“スネークマンショー” としても活躍するなど、多忙を極めていた克也氏は、当初、番組VJのオファーを断ったという。
子どもの頃からFENを通じて音楽に親しみ、英語に精通した克也氏にとって、ラジオこそが自分のフィールドワークだった。しかし、番組側の熱望により、出演を許諾するものの克也氏は「番組は持って半年だろう」と思ったことを後に述懐している。
現在はBS朝日にて絶賛放送中
地上波での放送は1989年9月30日に終了。まさに80年代を駆け抜けた音楽番組であったが、その後もCSチャンネルなど様々な形態で復活。2003年からはBS朝日で放送をリスタートさせ、現在も継続中だ。
現在は毎週金曜日、深夜0:00~0:30放送。
放送開始当初の正式タイトルは『Bridgestone Sound HighwayベストヒットUSA』だった。ブリヂストン一社提供。1980年に「十代から二十代をターゲットにした洋楽番組を作りたい」という企画からスタート。もちろんここには、豊かな時代の幕開けと共にドライブミュージックに相応しい楽曲を放送するという存在意義もあった。
レコードがドミノ倒しになる映像と共に流れるオープニングテーマ曲、ヴェイパー・トレイルズの「Don’t Worry Baby」の軽快なメロディと共に聴こえてくる克也氏の「ベストヒットUSA!こんばんは小林克也です」というオープニングは、まさしく80年代という新たな時代の幕開けに相応しい爽快さがあり、これは洋楽が日本人の生活レベルに浸透していく象徴だった。
「ベストヒットUSA」人気の4コーナー
番組は至ってシンプルな形で進行してゆく。放送開始から主軸となっているコーナーは以下の4つ。
HOT MENU
これからのヒットが予想される話題のアーティストをピックアップ。
COUNT DOWN USA
当初は、米誌『ラジオ&レコーズ』のランキングデータを元にしたラジオオンエアチャートを紹介。現在では『ビルボード』誌のポップチャートに基づくランキングを発表。
STAR OF THE WEEK
小林克也によるアーティストへのインタビュー。
TIME MACHINE
ミュージックシーンの過去の象徴的なヒット曲を、映像と共に振り返るコーナー。アーティストの説明や当時の音楽背景についても小林克也が解説。
シンプルな構成だった故に、楽曲の素晴らしさに気づかされる場面が多い。これが番組の長寿の秘訣だったと思う。克也氏のナレーションは極力主観を挟まず、事実事象を客観的に紹介。つまり、紹介された音楽をどのように受け止めるかは、視聴者に委ねられていた。今もその基本的なスタンスは変わらず根強い人気を誇っている。
(文:本田隆)
番組概要
BS朝日「ベストヒットUSA」
毎週金曜 深夜0:00~0:30放送
1981年にテレビ朝日で始まった伝説の洋楽番組。2003年からBS朝日で放送中!パーソナリティー/番組VJは、放送開始時から現在まで変わらず小林克也。
「ベストヒットUSA」40周年&傘寿記念イベント・ライブレポート
2021年3月27日、小林克也さん80歳の誕生日に開催された記念イベント「小林克也&ベストヒットUSA DOUBLE CELEBRATION ECSTASY NIGHT!!!!」のライブレポートをお送りします。
【ライブレポート】これぞ音楽の伝道師「小林克也 80歳 & ベストヒットUSA 40周年」記念イベント「ベストヒットUSA」の書き下ろし新記事
-
NEW!
祝40周年「ベストヒットUSA」小林克也のVJスタイルはクリエイターへのリスペクト!
written by 宮木宣嗣 -
考察:音楽に映像は必要か?「ベストヒットUSA」で気づいたテレビと音楽の相性
written by 福岡智彦 -
小林克也か湯川れい子か?「ベストヒットUSA」は「全米トップ40」ともろ被り!
written by KARL南澤 -
80年代洋楽メタルブームを加速させた「ベストヒットUSA」の功績!
written by 中塚一晶 -
洋楽じゃ視聴率はとれない?定説をくつがえした「ベストヒットUSA」の登場!
written by 喜久野 俊和 -
小林克也のドミノ倒し、YMOからナンバーワン・バンドに至る怒濤のアーリー80s!
written by 彩