リレー連載:2000年代ドラマ主題歌特集 ▶ 何度でも / DREAMS COME TRUE
▶ 救命病棟24時 第3シリーズ
▶ 主演:江口洋介、松嶋菜々子
▶ 放送期間:2005年1月11日〜3月22日
▶ 放送局:フジテレビ系
阪神淡路大震災から10年後に放送された「救命病棟24時 第3シリーズ」 1995年1月17日午前5時46分に発生した兵庫県南部地震は、後に阪神淡路大震災と言われるようになった。私事で恐縮だが、兵庫県宝塚市にある筆者の実家でも、食器棚が倒れ、壁が剥がれ、ひびが入り、家族は幸い無事ではあったものの、道を挟んだ近所のアパートは倒壊した。学生時代に何度も車を運転していた阪神高速道路の高架が国道43号線の道路上にぐにゃっと崩れ落ちている様を、当時住んでいた千葉県の自宅でテレビニュースで見た時には、何が起こったのかが最初理解できなかった。あれから31年経っても時々あのおぞましい映像を思い出す。
「何度でも」は、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災からちょうど10年後、2005年1月から3月までフジテレビ系で放送されたドラマ『救命病棟24時 第3シリーズ』主題歌としてDREAMS COME TRUEの吉田美和と中村正人が2005年に書き下ろした楽曲である。このドラマでは、ほぼ毎回、ドラマの最初に黒地に白文字で、以下のテロップが概ね15秒間流れる。
2004年8月、政府はマグニチュード7クラスの東京直下の地震が30年以内に発生する確率は70%と発表しました。
このドラマは「都市における大規模災害時の救急医療」という人命に関わる課題を医療の側から取り上げ、関係諸団体の協力を得て企画立案されたものです。
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災の教訓が生かされているのだ。ドラマのエンディングには “関係諸団体” として神戸市内の病院も実名でクレジットされている。実際、非常に重い内容だ。劇中では2005年1月に発生した “第二東京大震災” で東京は被災し、高度救命救急を担う「東都中央病院高度救急救命センター」は被災直後電気もガスも水も失い、野戦病院と化した。患者だけでなくそこで働く医療従事者も被災者であり、それぞれ問題を抱えた。
「何度でも」は誠実な応援歌そのもの メインキャストのひとりである松嶋菜々子が演じる小島楓は被災し負傷した婚約者を目の前で救えなかった。他の医師、看護師、登場する人々だれもが様々な苦悩と直面しながら業務に従事していた。また発災から時間が経つにつれて、病院としての機能、被災した人々の生活が徐々に回復していく様も描かれるが、それに伴いありとあらゆるトラブルが発生する。スタッフをやりくりし、過酷な状況に追い込まれる中で、登場する医療従事者たちは患者を救おうと奮闘する様が描かれる。
毎回エンディングクレジットに載せて歌入りの「何度でも」が流れるが、その他にドラマの中でこの主題歌が大々的に流れるということはそれほどない。暗い中で光が見えるような場面で、ピアノと弦のインストゥルメンタルバージョンが静かに流れる程度で、それもオンエアされた11回の中でも数えるほどだ。ただし、ドラマを見ていると、この曲の歌詞がセリフの中で使われている場面は多い。“ここは「何度でも」の歌詞の一部だ!” とピンときていた方もいたのではないだろうか。
吉田美和の歌声は、歌のはじまりにおいては聴く人の背中をさするような優しさを感じさせ、歌が進むにつれて少しずつ強さを増し、励ますような歌声に変わる。歌詞は希望を忘れず、一緒に頑張って、叫べ!と一緒に叫び、聴く人の苦しみを一緒になってもがいてくれる。よく軽々しく使われる “寄り添う” なんていう上澄みのような言葉で表現されるレベルではない。もっともっとずっと誠実に一緒に、あなたと一緒に何度でも立ち向かっていくよ、そんな応援歌そのものだ。2コーラス目の「♪前を向いてしがみついて胸かきむしってあきらめないで叫べ!」以降はもう完全に “最後まであんたと一緒に行くよ!” モードだ。
この先も躓いて傷ついて傷つけて
終わりのないやり場のない怒りさえ
もどかしく抱きながら
どうしてわからないんだ?伝わらないんだ?
喘ぎ嘆きながら 自分と戦ってみるよ
ラップのように歌われているこの部分が、とくにドラマ上での後半部分とリンクしている、そう筆者は思っている。
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ストリーミング累積再生数が1億回を突破 さて、そんなふうに戦っている歌ではあるが、最後は生きること、蘇ることがテーマとなり、明るさをみせて終わるのだ。吉田美和の歌声もやわらかい光を含んで終わっていく。事実ベースでは、1995年1月に被災した神戸の街は驚異的な復旧・復興を遂げ、その年の年末には神戸ルミナリエを開催できるほどになった。ドラマにおいても、江口洋介が演じる進藤一生が神戸の新聞社から2年後の神戸の写真を取り寄せ、これがモチベーションアップにつながり、最終回では被災した病院の2年後の姿が描かれる。そんな明るい未来を思わせるのが、この曲のエンディングだ。
10000回だめで 望みなくなっても
10001回目は 来る
きみを呼ぶ声 力にしてくよ 何度も
明日がその10001回目かもしれない…
そう、何度でも、何度でも、君を呼ぶことで、暗い場所から明るい未来が顔を出してくるかもしれない。希望を持つことが、生きていくことには必要なのだ。YouTubeで配信されているDREAMS COME TRUEのライブ音源においても、希望を持ったベイビーズ(ファン)たちが腕を振り上げて「何度でも」を一緒に歌っている様子が見ることが出来る。これを見ると、筆者自身も “がんばろう” と思うのだ。
この楽曲は、その後2007年に映画『Mayu-ココロの星』主題歌、2013年には住友生命のCMソングにも起用された。2011年3月には東日本大震災発生後の被災者へのエールとして全国のラジオ局でオンエア、またコロナ禍がはじまった2020年4月には日本赤十字社とユニバーサルミュージックが主催した全国の医療従事者を応援するためのプロジェクトのメッセージソングにも起用されている。「何度でも」はファンの間でも人気が高く、2015年のドリカムワンダーランドではリクエスト1位を獲得。2026年1月にはストリーミング累積再生数が1
億回を突破している。
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2026.06.17