2024年 5月31日

【杉山清貴インタビュー】③ 未来へと続く音楽の旅!一時期は NewJeans にもハマってた?

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杉山清貴&オメガトライブの40周年ツアー「〜FIRST FINALE TOUR 2024〜 “LIVE EMOTION”」最終公演日(NHKホール)
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杉山清貴&オメガトライブ ファイナルツアー
〜FIRST FINALE TOUR 2024〜 “LIVE EMOTION” テレビ初独占放送!
放送日時:7月28日(日)よる8時~(歌謡ポップスチャンネル)

林哲司のメロディやサウンドが自分のルーツ


コンスタントなアルバム制作に毎年のライブツアー、そして他のアーティストとの積極的なコラボレーション。ソロデビューから38年を迎えた杉山清貴は今も意欲的な活動で音楽ファンを魅了し続けている。インタビューの第3回は楽曲の創作方法や近年の音楽観、そして年々拡大するリスナーへのメッセージなどをお届けする。

―― 前回は若手アーティストとのコラボなど、多彩な作家陣を迎えた最新アルバム『FREEDOM』(2023年)の制作に関するお話を伺いました。これまでに28作のオリジナルアルバムを発表し、多くの楽曲を生み出してきた杉山さんですが、作詞や作曲における杉山流のパターンというのはあるのでしょうか。

杉山:自分で作って歌う場合、基本は曲先ですね。僕はサウンド志向なので “こういうサウンドをやりたい” というところから始まります。作曲に関してはやはり林哲司さんの影響が大きくて、林さんのメロディやサウンドが自分のルーツになっている。オメガ時代にめいっぱい勉強させてもらいましたので、林さんと出会っていなかったら、そんなに作曲していなかったかもしれません。

―― 今も歌い継がれる傑作を次々と提供されて、学びが多かったと。

杉山:そうです。当時の林さんのデモテープは本当にシンプルで、ギターを弾いて「♪ラララ〜」って歌うか、ピアノを弾いて歌っているか。僕はそのあとに譜面をもらって、ギターを弾きながらコードやメロディを覚えていったんですが、そうすると “こういうコード進行を使うと、こういうメロディができるんだ” ということが分かるわけ。ですから林さんからは相当盗ませてもらいました(笑)



影響を受けた作詞家は松本隆


―― ディスコグラフィを拝見すると、作曲のみの作品もあれば、自身で作詞を手がけているものもあります。作詞をほかの作家に依頼するときの基準のようなものがあるのでしょうか。

杉山:曲を作っているとき、言葉のフレーズが同時に出てくることがあって、“これをそのまま広げたいな” と思ったときは自分で詞を書きますし、そうじゃないときはほかの方にお願いをします。たとえば「realtime to paradise」(1987年発売のセカンドアルバム表題曲 / 作詞:大津あきら、作曲:杉山清貴、編曲:佐藤準)はサビの「♪Realtime Realtime to Paradise」が作曲したときに出てきたフレーズなんですが、大津さんには “これを使っていただいてもいいですし、全く違う言葉に変えていただいても構いません” とお伝えしました。

―― 先ほど作曲については林さんの影響が大きいというお話が出ました。作詞についてはいかがでしょう。

杉山:(オメガの作詞を数多く手がけた)康珍化さんと言いたいところですが、ああいうストーリー性のある詞は僕にはなかなか書けなくて…。あえて挙げるとすれば松本隆さんかもしれません。はっぴいえんど以降、好きなアーティストの作詞クレジットを見ると大抵 “松本隆” でしたから。

―― 今回のインタビューの第1回で日本語特有の表現について話が及びましたが、松本さんの詞はそれに通じる花鳥風月を描いた作品が多いような気がします。

杉山:実を言うと、若い頃は英語のほうが分かりやすくてカッコいいと思っていました。情報量も多くて、英語なら “I love you” と3つの言葉で好意を伝えられる。便利なので困ったときは英語を乗せることがよくありました。でも最近は “やっぱり日本人には日本語だよな” と。かつて “I love you” をはめていたような3つの音にどういう日本語を乗せるかを考えるようになりました。

―― 日本語は人称代名詞や語尾で表現のニュアンスが変わるので面白いという方もいます。

杉山:確かに英語では “I” と “You” しかないけれども、日本語ではいろんな表現がありますよね。英語を知れば知るほど、逆に日本語の面白さが分かるようになりました。



YouTubeで新しい扉が開いた


―― ここからは最近の音楽シーンについて伺います。近年のアルバムでは若い才能と積極的に交流している杉山さんですが、最近はヒップホップにも目覚めたとか。

杉山:コロナ禍のYouTubeで人生が変わりました(笑)。ステイホーム期間中に観始めたら、次々とオススメが出てきて、いろんな音楽との出会いがあったんです。ヒップホップは一生聴くことはないだろうと思っていたのに、いざ聴いてみたら好きになっちゃって。昔は “日本語でラップをやるのはどうなんだろう” と思っていましたが、今は “めっちゃいいじゃん!” と(笑)

―― YouTubeで新しい扉が開いたと(笑)

杉山:はい。アニメもコロナ禍を機に観るようになって、今も5〜6本の作品を並行して視聴しています。アニメといえば海外のファンは吹替版じゃなくて、字幕版で日本語のまま観たいという人が多いそうです。

―― 日本のアニメは今すごいことになっていますよね。海外のアニメイベントでは日本語でアニソンを合唱しているようですし。杉山さんはアニソンも聴かれますか?

杉山:聴きますよ。最近のアニソンは音楽として独立していて、時代の変化を感じますね。

―― 昔は作品名や主人公の名前を連呼するのがお約束でしたが、今はそうじゃないですよね。機会があればアニソンにもトライしたいという想いは。

杉山:いや〜、どうでしょう。アニメもアニソンも好きですけど、新しい時代の新しい世界ですから、若い人たちに任せた方がいいんじゃないでしょうか。

―― 杉山さんの声はアニソンにもマッチすると思うので、そうおっしゃらずぜひ!

杉山:なにかできたら面白いですけどね。

―― K-POPなども聴かれますか?

杉山:一時期NewJeansにハマっていました。楽曲も可愛いじゃないですか(笑)

―― NewJeansはつい先日、松田聖子「青い珊瑚礁」や竹内まりや「プラスティック・ラブ」をカバーして話題になりましたが、そのうちオメガの曲も歌うかもしれません。もしそうなったらコラボとかいかがでしょう(笑)

杉山:さすがにそれはないでしょう(笑)

南佳孝とのジョイントライブとオメガツアーの最終公演




―― コラボといえばここ数年、南佳孝さんと2枚のアルバムを制作して、ジョイントライブも開催されています。

杉山:佳孝さんと初めてお会いしたのは35年くらい前。そのときはビートルズをセッションしたんです。彼はそれまでビートルズをハモったことがなかったらしくて “杉山くんがメインをとってくれたら、僕はハーモニーの練習ができる” と(笑)。そこから仲良くなって、2016年以降、毎年ジョイントライブをするようになりました。今年は8月18日に鎌倉プリンスホテルで開催されます。

――『南佳孝&杉山清貴 Half & Half SEASIDE LIVE 2024』ですね。杉山さんは現在アコースティック・ソロツアーで全国を廻っていますが、それらに加えて9月15日と16日には地元のパシフィコ横浜で『The end of 40th anniversary ~えっ、またやるの!? オメガトライブ~』を開催。オメガツアーの最終公演という位置づけですが、何か仕掛けを考えているのでしょうか。

杉山:現時点では何も決まっていないんですよね。

―― ということはセットリストが変わる可能性もありそうですね。

杉山:どうでしょう(笑)。オメガの場合、メンバーがある時期になると “こんな感じはどう?” とアイデアを出してくれるので、僕としてはラクなんです。みんな同じ感性を持っていて、“あ、いいね!” って同意できることばかりなので、いつもお任せしているような状況で。

―― 今から楽しみですが、今回のツアーは追加、再追加を重ねてきました。パシフィコ横浜が本当のファイナルということになりましょうか。

杉山:今年はね(笑)

―― ということは来年以降も期待できそうですね!

杉山:再結成しているバンドではないので、メンバーの気持ちやスケジュールが合ったときにやる可能性はあります。もう60代半ばですから、老後の楽しみとして自由にやらせてくださいという感じですね(笑)。ただ今年はハードなスケジュールになっているので、来年は少しゆっくりしたいかな。

パワーの源はボディボード


―― いつも素晴らしいボーカルで我々に力を与えてくれる杉山さんですが、パワーの源は。

杉山:ボディボードですかね。30歳のときにやる機会があってハマってしまったんですけど、海に入ると肺活量が上がるし、体力もつく。ボディボードと出合ったことで “自分には海がある。これからは海を歌っていけばいいんだ” と迷わなくなったし、いいことずくめです。

―― 最近はどれくらいの頻度でやっているのですか。

杉山:この夏はほぼ毎日。2〜3時間やっても大丈夫です。

―― それはすごい!

杉山:毎年2回、種子島に1週間ほど波乗りをしにいくんですが、以前は半年ぶりに海に入ることもあったんです。でもそのペースだと体力が落ちてしんどくなる。しゅっちゅうやっていないと身体じゅうが痛くなって、それが治って調子がよくなった頃に帰るはめになるわけです。一緒にやっているサーファーの同級生からも “せっかく海の近く(鎌倉)に住んでいるんだから、もっとやった方がいいよ” と言われて、時間があれば海に入るようになりました。

―― 生命の母と言われる海なので、入るだけでもパワーを貰えそうな気がします。

杉山:そうですね。以前は波がないとやる気がしなかったんですが、最近は波がなくても海に入って、浮かんでいるだけのこともあります。

―― 肺活量だけでなく体幹が鍛えられてボイトレ代わりになりそうですね。

杉山:ボイトレは今まで習ったことがないんです。自分のスタイルが出来上がっているので、もういいかなと。とはいえ調子の悪いときはやはりあるので、そういうときは無理をしないように歌っています。

海風のように景色と一緒に流れていくのがオメガの楽曲




―― 40年以上、聴き続けているリアルタイム組から最近ファンになった令和世代まで、リスナー層を拡大しているオメガですが、読者に向けてメッセージをお願いできますでしょうか。

杉山:自分で言うのもなんですが、オメガというのは本当によくできたバンドで、楽曲も素晴らしいものばかり。当時は “オメガのサウンドは癖がなくて清涼飲料水みたいだ” と言われたこともありましたけど、僕はそれがよかったんじゃないかと思っているんです。暑苦しく押し付けるのではなくサラサラっとしている。それこそ海風のように景色と一緒に流れていくのがオメガの楽曲。そういうのっておそらく時代に関係なく聴き続けることができるものじゃないかなと。特にギミックが効いた仕掛けがあるわけでもなく、素直にカッコいい作品に仕上がっているので、そういうところをこれからも聴き続けていただけたら嬉しいです。

―― 時代を選ばない音楽だと。

杉山:そうです。(レコーディングに参加した)一流のスタジオミュージシャンたちの素晴らしいプレイがあってのもので、そういう作品はなかなか作れない。洋楽をベースにした日本独特のメロディとサウンド、そして素晴らしい演奏、そういったエッセンスがたくさん詰まっているから海外の方にも刺さるのかなと思います。

―― まだオメガの曲をあまり聴いていない若い読者に入門編としておススメのアルバムがあれば。

杉山:まずは1枚目の『AQUA CITY』(1983年)。“きゅうてぃいぱんちょす” が目指した、カリフォルニアの匂いがするウエストコースト風の曲が多いので僕らの原点と言えます。そこから時代に色づけられていって1つのピークを迎えたのが「ふたりの夏物語」が入っている4作目の『ANOTHER SUMMER』(1985年)。両方オススメで、どちらを先に聴いていただいてもいいと思います。



―― ソロワークスに関してはいかがでしょう。

杉山:ソロに関しては時代によってやっていることが違うし、人によって好き嫌いがあると思うので、いちばん新しいアルバムを聴いていただくのがいいかなと。サウンド的にも新しいですしね。

―― 楽しいお話をありがとうございました!

こういう声で歌えたら――。オメガ時代から憧れの杉山さんは融通無碍でカッコよく、さらなる活躍を確信したひとときでした。アニソン、絶対に合うと思います!


【杉山清貴インタビュー】① 40周年ツアーのオメガトライブとシティポップの魅力を語る

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