HISは学生服やセーラー服を衣装としたノベルティ色の強いユニットで、翌1991年7月19日にアルバム『日本の人』をリリース。シングルカットされたタイトル曲「日本の人」は、1985年に細野が発表したオリジナル・ソロアルバム『コインシデンタル・ミュージック』に収録されていた「中国の人」に忌野が歌詞をつけた曲だった。RCサクセションの活動休止直後ということもあり、話題となってオリコンアルバムチャート最高7位のヒットとなっている。HISとしての活動は同年で休止するが、2005年には14年ぶりに再集結。坂本名義のシングル「Oh, My Love ~ラジオから愛のうた~」をリリースした。
アンビエントにはまっていた時期ながら、1996年にはコシミハル(越美晴 / vo、key)とのユニット “swing slow” を結成。アルバム『swing slow』をリリースした。本作は、アンビエントの世界にいた細野をポップスの世界に引き戻した作品。カバー曲の「I’m Leaving It All Up To You」では、細野がエルヴィス・プレスリー風に歌うなど、自身のルーツである50’sサウンドを現代風にリメイクしている。ちなみに2001年にNHKで放送された『細野晴臣イエローマジックショー』で、本アルバム収録の「Good Morning, Mr. Echo」を披露している。
そして、1990年代の最後に登場したのが、久保田麻琴(vo、g、key)とのユニットである “Harry & Mac” だ。1999年に唯一のアルバム『Road to Louisiana』をリリース。1970年代ニューオーリンズやスワンプ・サウンドを基調に完成させた作品で、細野もヴォーカル、ベース、ギター、鍵盤、アコーディオン、ハーモニウムなど、プレイヤーとしての原点に戻った生演奏がたっぷり。現在のルーツミュージックを中心とした音楽性へつながるような、米国音楽への憧憬が浮かび上がってくる。
コシミハルとの『swing slow』がポップスの世界に引き戻した作品ならば、久保田麻琴との『Road to Louisiana』は細野を生演奏の世界へ引き戻した作品。この2つのユニットは継続されなかったが、その後の細野の音楽家として大きな転機となった重要作品となった。そして、環太平洋モンゴロイドユニットは、2000年代に入ってからも活動を続け、奉納演奏のDVDを付属した書籍『神楽感覚:環太平洋モンゴロイドユニットの音楽世界』を2008年に刊行。細野が参加したバンドで、10年以上継続して定期的に活動した唯一のグループとなっている。