そして11月25日には森山達也、ベーシストの北里晃一書き下ろしによるエッセイ集『Hey!Two Punks The Mods : The Early Days 博多疾風編』がシンコーミュージック・エンタテイメントより発売される。本書は、モッズのレコードデビューまでの博多時代、つまり1976年から1980年までの博多を舞台に繰り広げられる笑いあり、涙ありの青春物語だ。
『Hey!Two Punks The Mods : The Early Days 博多疾風編』は、デビューアルバム『FIGHT OR FLIGHT』のキャッチコピーでもあった “不退転のロッカー” という称号のままに突き進んでいったモッズが持つ硬質なイメージとは違う。ロックンロールに恋焦がれ、アマチュアからプロデビューを夢見る等身大の2人がこの1冊の中に凝縮されている。
これまでモッズが届けてくれた音楽には、悩み傷つくティーンエイジャーの心にダイレクトに響く共感性があった。そしてファンが年を重ねていく中、モッズの音楽もそんな変化に寄り添ってくれた。僕にしても「SHE'S THE C」の「♪だけど何をやればいいのだろう オイラ日に日に気分がひどくなる」や「TEENAGE BLUE」の「♪もろく壊れやすい ティーンエイジ ドリーム 時は冷たく次の秒を刻む」を聴いて “俺のことを歌っている!” と思った。もうひとりじゃないと思った。
そしてあれから40年以上の年月が経ち、『Hey!Two Punks The Mods : The Early Days 博多疾風編』を読んで思った。“俺たちと同じじゃん!” と。人生の中で憧れ続けたバンドが、また一歩自分に寄り添ってくれる。それは嬉しくてたまらないのだ。そう思えるのは僕だけじゃないはずだ。ティーンエイジャーの時と同じようにモッズは今も寄り添っていてくれる。そして、この本を書くにあたり、立ち止まり、青春を振り返った森山、北里は、その先に見据えるモッズに寄り添っているのだろう。