2025年4月、80歳を迎えたエリック・クラプトンの日本武道館公演が開催される。1974年以来、半世紀にわたって日本のステージに立ってきたクラプトンの魅力とは何なのか。今回、Re:minder では『来日記念!これだけは聴いておきたいエリック・クラプトンの名作アルバム』と題して5枚のアルバムを紹介する。まず最初は、1968年リリースのブリティッシュ・ロックの名盤、クリーム『クリームの素晴らしき世界』(Wheels of Fire)から。
そのクリームが1968年にリリースした3枚目のアルバムが『クリームの素晴らしき世界』(Wheels of Fire)だ。当初はライブ演奏を含む2枚組アルバムでリリースすることが計画されていたが、最終的には1枚目がスタジオ録音、2枚目がサンフランシスコのウィンターランドとフィルモアでのライブという構成となった。
「荒れ果てた街」(Deserted Cities Of The Heart)と「政治家」(Politician)も重要曲で、共にブルース作。「荒れ果てた街」はアップテンポの8ビートのナンバーだが、途中に3/4拍子が挿入されるプログレッシヴな構成。本アルバムではDマイナー・キーだが、『ライヴ・クリーム Vol.2』(1972年)では、Eマイナー・キーで収録されており、より攻撃的なサウンドに変化している。「政治家」はブルース進行のナンバーで、クラプトンはC#マイナーペンタトニックスケールで2本のリードギターをダビング。それぞれが関連性の無いフレーズが重なり、サイケデリック色を濃くしている。
世界での総売上が3,500万枚以上
ハウリン・ウルフのカバー「スプーンフル」、ミシシッピ・シークスのカバー「トップ・オブ・ザ・ワールド」、アルバート・キングのカバー「悪い星の下に」(Born Under a Bad Sign)はブルースのスタンダード。この3曲は3人のみの演奏で、トリオならではのインタープレイを堪能できる。
ブルース色が強い中、ベイカーも「時は過ぎて」(Passing The Time)や「ねずみといのしし」(Pressed Rat and Warthog)など4曲を提供。互いにバンドのイニシアチブを握るべく個性的な楽曲を提供した。クラプトンはあくまでもギタリストとして、のびのびとしたプレイを披露。なお、2本のアコースティックギターのアンサンブルが印象的な「おまえの言うように」(As You Said)は、2本のギター共ブルースがプレイ。ブルースがハーモニカとボーカルを担当した「列車時刻」(Traintime)とともに、クラプトンは不参加だ。