1981年3月に出されて大ヒットに至った大滝詠一のアルバム『A LONG VACATION』からちょうど1年後のリリース。1981年10月には先行シングルとなった「A面で恋をして」が「さらばシベリア鉄道」との両A面扱いでリリースされヒット中。松田聖子に提供した「風立ちぬ」も同月のリリース、さらにアルバム『風立ちぬ』にもタイトル曲を含む5曲を提供。12月には『ヘッドフォン・コンサート』を開催するなど、『A LONG VACATION』ヒットの余韻が冷めやらぬ中で実に精力的な活動をしていた様子が窺える。
大滝詠一が思い描いていた第2期ナイアガラ・トライアングルの展開
新生ナイアガラ・トライアングルによる『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』と共に、アルバム収録曲である大滝詠一「ハートじかけのオレンジ」、佐野元春「彼女はデリケート」、杉真理「夢みる渚」のシングルもそれぞれ同時にリリースされている。佐野の「彼女はデリケート」は沢田研二に提供され、1980年12月発売のアルバム『G.S.I LOVE YOU』に収録されていた曲のセルフカバーになる。
杉の「夢みる渚」は、もともと竹内まりやのシングル用に書かれた曲だったという。同じく収録曲の「ガールフレンド」も竹内まりやに書いた「目覚め(Waking Up Alone)」を元の松山猛の歌詞から自身の歌詞に書き換え、改題したセルフカバー。ちなみに大滝のシングル「ハートじかけのオレンジ」のカップリングはアルバムには未収録のノヴェルティソング「ROCK'N'ROLL退屈男」であった。
大滝は第2期ナイアガラ・トライアングルでの展開を、1980年には既に思い描いていたという。松田聖子のアルバム『風立ちぬ』の楽曲に『A LONG VACATION』の5つのパターンを当てはめたのと同様に、大滝は『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』でも「雨のウェンズデイ」タイプの「Water Color」。「恋するカレン」タイプの「白い港」。「FUN × 4」タイプの「ハートじかけのオレンジ」。「カナリア諸島にて」タイプの「オリーブの午后」と、4曲を書き下ろした。「オリーブの午后」は女の子とデュエット出来るように高めの女性キーにしたのだそうだ。よって大滝のボーカルにもなんともいえない甘味がある。
大滝のリリースはこのあとも6月にインストゥルメンタル・アルバム『NIAGARA SONG BOOK』 が、10月には『NIAGARA CM SPECIAL Vol.2』と活発に続き、トライアングルからちょうど2年後の1984年3月には、ロンバケ以来3年ぶりとなる大滝の新作フルアルバム『EACH TIME』がいよいよリリースへと至る。トランジットも豊かなナイアガラの旅が潤沢に続く幸福な時代だった。