出会ったときが新曲!世代を超えてつなぎたい50年前の名曲 ▶ タイトル:新創世紀
▶ アーティスト:ゴダイゴ
▶ 収録アルバム:新創世紀
▶ アルバム発売日:1976年1月25日
ソロ作から始まったゴダイゴのファーストアルバム「新創世紀」 今から50年前の1976年7月25日、ゴダイゴのファーストアルバム『新創世紀』がリリースされた。このアルバムの中でも白眉といえる楽曲が、20分以上にわたる組曲形式の「新創世紀」である。
初期のゴダイゴは、英語の歌詞で歌われる洋楽指向の楽曲作りと高い演奏力を持ち、映画やテレビドラマのサウンドトラックも多く手がける、通好みのバンドとして知られていた。特にこの『新創世紀』は、日本のプログレッシブ・ロックの初期を代表するアルバムと言われている。
アルバム『新創世紀』は、すべての作詞を奈良橋陽子が英語で書き、作曲はすべてタケカワユキヒデ。アレンジはミッキー吉野が手がけている(「憩いのひととき」のみタケカワと石川鷹彦との共同編曲)。前年の1975年にレコーディングされているが、録音を始めた時点では、ゴダイゴはまだ結成されていなかった。
もともとは、ミッキー吉野グループをバックに、タケカワユキヒデの2枚目のソロアルバムとして制作が進められていた。ところが制作の過程で、タケカワ、ミッキー吉野、スティーヴ・フォックス、浅野孝已、原田裕臣の5人でゴダイゴが結成され、このアルバムがそのままゴダイゴのファーストアルバムとなったのである。当初のドラムは原田裕臣だったが、レコーディング中に脱退したため、浅野孝已の実弟・浅野良治が後任に入り、1977年にトミー・スナイダーへ交代したという流れだ。
ちなみに、アルバムA面のうち4曲が、長谷川和彦監督の映画『青春の殺人者』のサウンドトラックとして使用されている。また、「僕のサラダガール」はカネボウのキャンペーンソングとして先行シングル発売されており、彼らの初のヒット曲となった。『新創世紀』には別アレンジで収録されている。
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プログレの大曲の流れを汲むB面丸ごとの叙事詩 この『新創世紀』を語るうえで欠かせないのが、プログレッシブ・ロックである。プログレッシブ・ロックは、1960年代後半のイギリスで誕生したジャンルで、コンセプトを重視したアルバム制作、技巧的で複雑な楽曲、前衛的な作風と、それを体現する卓抜した演奏力が特徴だった。クラシックやジャズからの影響も大きい音楽であり、代表的なバンドとしてはピンク・フロイド、キング・クリムゾン、エマーソン・レイク・アンド・パーマーらが挙げられる。イエスやジェネシスのように、後にポップな作品を発表していくバンドも、初期はプログレバンドとして人気を博していた。
1970年代に入ると、日本でもプログレッシブ・ロックを指向するバンドが登場し、四人囃子、コスモス・ファクトリー、ファー・イースト・ファミリー・バンド、マジカル・パワー・マコらが1973年から1975年にかけてアルバムを発表している。ゴダイゴの登場はこれに続くものだった。
英国のプログレッシブ・ロックでは、大曲や組曲形式の作品が多く作られている。イエスの「危機」、エマーソン・レイク・アンド・パーマーの「タルカス」など、アナログLPの片面収録時間の制約ギリギリの中で、己の創造性と演奏テクニックを追求した大曲を発表している。ゴダイゴの「新創世紀」はまさにこの流れを汲んだ大曲だった。
そして組曲「新創世紀」だが、B面を丸々使った組曲形式の壮大な叙事詩で、サウンド、楽曲構成など、ゴダイゴのプログレ的な要素は、この「新創世紀」に最も強く現れている。この組曲は、もともとタケカワユキヒデがアマチュア時代に書いた「The Piled Blocks」が原曲だった。アルバム発表の前年に行われたタケカワの全国ツアーで既に披露されており、その模様は2017年にリリースされたタケカワの『Passing Pictures BOX』に一部が収録されている(1975年4月25日の渋谷公会堂での公演のライブ音源)。
内容は「いにしえの女王とその三人の息子たちの葛藤劇」を描いたもので、「三人の息子たち」とはキリスト、マホメット、釈迦を意味する。この曲に関しては歌詞の対訳の代わりに粗筋的なコメントが載せられている。
「誕生」から「釈迦の歌」まで6パートで聴く物語 組曲のためいくつかのパートで構成されており、それぞれストーリーに沿ったタイトルが付けられている。「CREATION(誕生)」は、静かなピアノのアルペジオでスタートし、メリハリのある演奏で、最後はピアノで締める。続いて「QUEEN’S SONG(女王の唄)」は一転してアップテンポになり、タケカワのボーカルと女性コーラスで歌われる。「LOVER’S LAMENT/SACRIFICIAL BLUES(恋する男の嘆き)」ではまたしても曲調が変わり、ブルースをベースにした曲調で、ミッキーの奏でる鍵盤楽器の音色がその印象を強くする。
後半の「MOTHER AND SON(母と子)」は1曲の中にアップテンポとバラードが収まった構成の曲で、最後のギターソロが際立って印象深い。これに続く「THE HUDDLE(男たちの凱歌)」は、組曲中最も盛り上がるパートになっており、浅野孝已のスピード感溢れるギターソロが聴きどころ。コメントに「いよいよ時が来たのです。戦いの時」とある通り、全体にアグレッシブで勢いのある演奏が圧巻。そしてラストを飾る「BUDDHA’S SONG(釈迦の歌)」はメロディアスなバラード曲。ミッキーのピアノ&オルガンと浅野のギターの絡みも聴き逃せない。
サウンド面やメロディーに関しては、他のプログレバンドの楽曲よりも、かなりポップな仕上がりになっている。タケカワがもつ生来のポップセンスと、ミッキー吉野が目指した日本の新たなロックの在り方が合致した結果と言えるだろう。緩急のついたドラマチックな構成は、聴いていて全く飽きることがない。
この「新創世紀」1曲を聴くだけでも、50年前に、ここまでスケールの大きな楽曲を生み出していたゴダイゴというバンドの偉大さを改めて確認できる。日本のロックが洋楽に比肩する位置までたどり着こうとした情熱の高さは、今も古びることはなく日本のロック史に燦然と輝いているのだ。
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2026.11.03