1983年、米ビルボードのチャートをイギリスのアーティストが席巻した。いわゆる “第二期ブリティッシュ・インヴェイジョン”。
デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、ユーリズミックス… 当時UKロックにのめりこんでいた高校生の自分には、とてもエキサイティングな時期だった。
“第二期” という以上、第一期もあるわけで、それはビートルズの快進撃に始まった、英国のバンドによる1960年代半ばのUSチャートの侵攻を指す。
その中には「ユー・リアリー・ガット・ミー」をヒットさせたザ・キンクスも含まれるのだが、彼らは “第二期” にも「カム・ダンシング」のヒットを飛ばした。同曲は1983年7月にビルボードの最高位6位を記録。かくしてキンクスは二世代のインヴェイジョンを跨ぐ稀有なバンドとなった。
本題。
筆者がキンクスを知ったのも、もちろん「カム・ダンシング」から。最初は若いバンドに混じってオッサンが入ってきたか~ などと思ったが、曲の良さは先入観を超える。
これが入っているアルパム『ステイト・オブ・コンフュージョン~夜なき街角』を聴き、とりわけアレンジもビートも強力なタイトル曲に惚れ込んだ。で、「ステイト・オブ・コンフュージョン」の訳詞を読んでみたら、これがみごとにオッサンの愚痴。
“汚れた食器は流しに放置~テレビの映りは悪い~ビデオが壊れた~彼女は出て行った~自分のしていることがわからない~混乱は歳をとるほどひどくなる… ”
こんな大人にはなりたくないなあ、と思ったことを覚えている。
30年以上が過ぎ、今や自分も立派なオッサン。歳をとるほど背負うものが多くなり、公私の整理を間違うと混乱状態に陥ることも理解した。自分が使った食器は自分で洗うし、テレビは見ないし、カミさんに逃げられないよう努力(?)している。
それもこれも、キンクスが混乱にインヴェイジョンされないための反面教師となったから… かもしれない。
2016.08.20
YouTube / Ze18613
YouTube / TheKinksVEVO
Information