1996年 7月8日

とにかく明るい安村効果!スパイス・ガールズ「ワナビー」にいったい何が起こったの?

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全米ナンバーワンヒット「ワナビー」に何が起こったのか?


2023年4月下旬のこと―― 25年以上前に全米ナンバーワンとなったスパイス・ガールズ「ワナビー(Wannabe)」の、サブスクリプション再生回数、ダウンロード購入数、楽曲検索アプリの検索数等が、軒並み上昇するという現象が勃発した。某サブスク再生回数では260%、某ダウンロードでは700%という驚異的伸びを記録、ちょっと尋常ではない数字をたたき出した。

昨今ならばTikTokやInstagram等のSNSで、ある楽曲がバズるとそういう現象が起こったりするが、その場合ここまでの瞬間突発的な伸びを見せることはない。このスパイス・ガールズの場合、ある日を境に一気に数字を伸ばしたという印象なわけで… いったい「ワナビー」に何が起こったのか。

イギリスで大ウケした “とにかく明るい安村” BGMはスパイス・ガールズ「ワナビー」


これは日本のメディアでも結構報じられていたので大多数が認識していただろうが、とにかく明るい安村がイギリスの人気オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出演、イギリスの聴衆・審査員に大いにウケたというニュースが日本を駆け巡ったからだ。

とにかく明るい安村の芸といえば、パンイチで下着が見えないポーズで「安心してください、履いてますから」のキメぜりふで爆笑を誘うもの。数年前の一時期に日本ではブレイクと言っていいほどにメディア出演していたので、記憶に新しいとは思うが、なんとこれが海の向こう、イギリスで大ウケしてしまった。

キメぜりふは「Don’t Worry, I’m Wearing(Pants)」に変えて。番組出演に際して、ポーズを次々とキメるときのクライマックスBGMが、スパイス・ガールズの「ワナビー」だったというわけだ。これはまだYouTube等で映像は見られると思うので、ぜひ未見の方はチェックしてほしい。さしずめハダカ芸は、万国共通ということになるのだろうか(笑)。



渡辺直美のビヨンセなどお笑い芸人が自分の持ち芸に使用した洋楽BGM


お笑い芸人が自分の持ち芸のBGMに洋楽を使用して、楽曲が話題になるというのは、定期的に出現している。広い層の大多数に知られるレベルならば、渡辺直美のビヨンセ「クレイジー・イン・ラヴ」(見事な完コピ!)、エドはるみのザ・ナック「マイ・シャローナ」、なかやまきんに君のボン・ジョヴィ「イッツ・マイ・ライフ」、さらにボン・ジョヴィならば椿鬼奴の「禁じられた愛」も有名だ。ブルゾンちえみのオースティン・マホーン「ダーティ・ワーク」あたりも、一般的によく知られた例ではないだろうか。

しかしとにかく明るい安村の「ワナビー」は、これらの例とは若干意味合いが違っているようだ。

無名の極東の一芸人が海外の、しかもイギリスのテレビ番組に爪痕を残すためにBGMまでにも配慮をしていたことは想像に難くない。スパイス・ガールズは、英出身のガールズ・グループとしては(米出身のTLCらと並んで)1990年代に最も世界で成功した女性(アイドル)グループのひとつだった。

イギリス国民にとっては「我が国が生んだ有名スター」のひとつこそがスパイス・ガールズであることは間違いなく、日本の無名芸人がこれを使用したことによって無意識に自尊心みたいなものがくすぐられたんじゃないかな。

「おー、スパイス・ガールズか! わかってるじゃん!」みたいな。さしずめイギリスの無名芸人が日本のテレビ番組でSPEEDやPUFFYの曲を使用するようなものか。うーん、ちょっと違うかな。

老若男女が認知するスーパースター、スパイス・ガールズ


もちろん楽曲を発表しているイギリス出身の有名アーティストと言えば、ビートルズやローリング・ストーンズに勝るものはいない。しかし彼らの最盛期はあまりに古い。比較的新しく、もっととっつき易いアイドルポップの範疇で、しかも世界的に老若男女が認知するスーパースター級という意味では、スパイス・ガールズの選定は実に絶妙だったと言わざるを得ない。

お笑いのBGMに使用されて、場合によっては非難・揶揄される可能性をも鑑みれば、スパイス・ガールズならばイギリス国民も「うん、これだよね」と、おおかたが納得していたのではないだろうか。

ここまで安村本人(スタッフ側)が考慮していたのかどうかは、推測の域を脱しないが、結果として「ワナビー」の使用は、この曲以外ありえないというものになったのだろう。

スパイス・ガールズ「ワナビー(Wannabe)」は、彼女たちのデビュー曲。イギリスを筆頭にアメリカでもナンバーワンに輝き(1997年)、ヨーロッパ各国でも1位を記録、全世界でメガヒットとなった作品にして、スパイス・ガールズの人気を決定的にした楽曲だ。日本でも大きなヒットになり、ある意味1990年代を代表する、広く一般層に訴求した洋楽ヒットのひとつでもある。

日本では通称スパガの愛称が定着するくらいの人気があったと記憶する。日本の女性アイドルグループ、SUPER☆GiRLS(スーパーガールズ)がデビューした2010年以降は、スパガの愛称がこちらに移った感があったが…。やっぱりスパガといったら、スパイス・ガールズ以外の何物でもないよね。

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2023.05.24
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カタリベ
1962年生まれ
KARL南澤
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