Hi-STANDARD(以下:ハイスタ)が6年ぶりとなるニューシングルを配信したのは、昨年の4月19日。同年の2月に逝去したドラムス・恒岡章が生前最後にレコーディングした楽曲だった。タイトルは「I’M A RAT」。収録時間はわずか2分。疾走感とエナジーが満ち溢れた、相変わらずのハイスタ・サウンドだった。そこには、「くよくよするなよ!アゲていこうぜ!」というアティテュードが満ち溢れている。
ハイスタの登場は、日本のパンクシーンの色を鮮やかに変えた。それは、『MAKING THE ROAD』のジャケットに描かれている虹のような印象だった。2017年には、『MAKING THE ROAD』から18年ぶりのニューアルバム『ANOTHER STARTING LINE』をリリース。圧倒的な現役感を見せつけた。昨年の恒岡逝去という信じられない現実を突きつけられても、一度ファンの心にかかった虹は今も消えることがない。
ハイスタも94年に自身のレーベル “PIZZA OF DEATH” を設立。西海岸のムーブメントと同じようにD.I.Y精神を貫く。ちなみに、95年にリリースしたファーストアルバムは、ファット・マイクのプロデュースで、ファット・レック・コーズからリリース。逆輸入という形でファンの元に届き、海外のムーブメントとも連動した動きを見せる。
ハイスタの功績については、その音楽性だけでなく、ファンション面としても顕著だった。それまでの革ジャンに破れたジーンズというパンクファッションのパブリックイメージを葬り、Tシャツに短パンといったスタイルでステージに上がることが最高にクールだということを証明した。これは、FUJI ROCK FESTIVALなどのフェスカルチャーとも相まって、現在でも定番となっている。