2023年 1月11日

岡田有希子を Night Tempo がアップデート!エモさ爆発の “昭和グルーヴ” シリーズ

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Night Tempoプロデュース「岡田有希子 - Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ」の配信が始まった日
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リノベーションビルの音楽版、Night Tempo「昭和グルーヴ」


街を歩いていると時々思うことがある。建築と音楽は似ている。設計をして、組み上げていく、という部分は、素人目線では、共通しているように見えるのだ。

元々あった建物を活かして再構築していくのは、建物の世界では、あちらこちらでみられる。例を挙げると、東京駅の丸の内側に建っている、丸ビルや東京中央郵便局の建物は、元の建物を模したり一部利用して、現在の姿になっている。

2002年に丸ビルが建て替えられた当時は、従前の建物を知っている者にとっては違和感を覚えたものだったが、その後はすっかり見慣れたもので、10年後の2012年に東京中央郵便局が一部保存の手法で建て替えられたときには、この手のリノベーション建て替えビルに対して、私は何の違和感も感じなくなってしまっていた。

この、建築と音楽が似ているな、と感じたのは、いつだったか。
思い返せばコロナ前のある日、会社帰りに丸の内界隈を歩いていたとき、iPhoneからランダムに数々の曲が流れる中、Night Tempoさんの杏里さん作品の ”昭和グルーヴ” が流れてきたときだった。そのちょっと強引ともいえるリエディットに、界隈のリノベーションビルの見た目を感じたのだ。

第16弾は岡田有希子をリエディット


Night Tempoさんの「昭和グルーヴ」シリーズは、まさにリノベーションビルの音楽版といえよう。これまでWinkを皮切りに1980年代のポップスを再構築した15作品を発表してきた。元ネタがアイドル歌謡のカテゴリでは斉藤由貴、中山美穂、菊池桃子、小泉今日子といった数々の昭和アイドルの作品をとりあげてきたが、今回は第16弾として岡田有希子さんの「Summer Beach」「ファースト・デイト」をリエディットした。

少し時制を戻す。
Night Tempoさんの作品を私が最初に聴いたのは2016年。「Plastic Love」のリエディットをYouTubeで視聴したのが “My First Night Tempo”。BPMとキーを少し上げて、ベースやほかの楽器を多少足して、途中でモコモコさせて。面白いけど原曲を知っている者としては多少の、いや、かなりの違和感があった。私自身もその昔33回転のレコードを45回転で回して遊んでいたことはあるので、BPMとキーのアップについてはともかくとして、ベースの音を変えてしまうのに、納得がいかなかったのだ。

それから6年の月日が経ち、Night Tempoさんの昭和グルーヴシリーズも多数発表され、少しずつ洗練されつつ、耳に馴染んできた。相変わらずベースがコードから時々外れてるなあとか思う事はあるのだが、それもいまでは彼の個性だと思っている。

2023年1月11日に配信リリースされた2曲について少し書いてみよう。2曲とも、オリジナルは活かしつつ、かなりグルーヴィーな楽曲になっているという印象を受けた。

Summer Beach


最初聴いたときの印象は “髪を切った当時の岡田有希子”ーー。
1985年の岡田有希子さんのオリジナル音源を聴くと、歌の中の女の子のルックスはミディアムからロングヘアのイメージがあるが、このNight Tempoさんのリエディットされた音源でイメージするのは、ショートヘアの、シュッとしたかっこいい、それでいて、どこかしっとりした印象のある女の子。

岡田有希子さんのつややかなヴォーカルと、松任谷正隆さんのリゾートを感じるアレンジを活かしつつ、細かくいろいろとアップデートがされている。リエディットで加わった音が目立つこともあり、オリジナルで目立つ豊富なコーラスは相対的に抑え目だ。

 何もかも忘れて大胆になりたい 
 こんなに近くにいるのに何故
 ”I miss you“

 空がブロンズ色に染まる時間
 待ってて 
 終わった恋にさよなら言いたいの

これらのCメロに加えたリエディットは、フロアでのライト映えの演出を狙った今回の見どころのひとつだろう。最後のコーラスの「I love you」は場所を少しずらして余韻を残しているのも、何事においてもどこかにワンクッション入っている、2020年代の空気を感じさせる。



ファースト・デイト


1984年のオリジナルは、萩田光雄さんの編曲。こちらは生楽器をふんだんに使い、弦やコーラスの響きがドキドキ感を演出しているが、今回のリエディット版はイントロから四つ打ちを強調し、フレーズも追加して、一転してフロア映えする仕上がりになっている。

リエディットで加えられたベース、バスドラ、細かい音の追加が効いている。デビュー当時の岡田有希子さんのヴォーカルによる1980年代の生々しい少女のドキドキ感はそのままに、クールでグルーヴィーな武装をした現代の少女を感じさせる。

1コーラス目と2コーラス目の間の間奏は楽しいデートを思わせるサウンドメイキング。そこからの2コーラス目のBメロ、「たそがれになる頃 少しだけSOWA SOWA」
や、「みんなに内緒よ」ではサウンドを絞って、歌の内容を盛り上げているところがなかなか憎い。



やるじゃんNight Tempoさん。

1984年の「ファースト・デイト」が、“六大学野球を観に行く山の手のお嬢さん” のファースト・デイトなら、2023年の「ファースト・デイト」は、どこかに行くのではなく、サイバー空間でゲームを楽しむ良家のお嬢さんが、はじめて相手とデートするように見えた。たとえ一緒にいてもやりとりはスマートフォンのアプリ経由というデート。

まあ、そもそも2020年代は山の手のお嬢さんという概念自体があるかも怪しい。

ともあれ、「クラスで一番目立たない私を」に、そんなわけないやろ、と突っ込みたくなったのは、1984年と変わらない。

可愛い女の子が魅力的なのは、どの時代もどの場所でも不変の事実。ただ、時代に合わせて、女の子たちもいろんな武装が必要になってきているのだ。低層のビルが空に向かってぐんぐん伸びていくように。

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2023.01.23
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カタリベ
1965年生まれ
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