10月1日

80年代に起こったヒッチコックブーム!あなたは「ヒッチコック劇場」を覚えてますか?

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テレビ東京系の海外ドラマ「ヒッチコック劇場」の放送が始まった日
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名作「サイコ」の衝撃。いまも思い出す “あの場面とあの音楽”


1980年4月29日、“サスペンスの巨匠” 映画監督アルフレッド・ヒッチコックが亡くなった。追悼として、その年日本でも数多くのヒッチコック作品がテレビ放映された。なかでも『サイコ』を初めて観たときの衝撃は忘れられない。

恋人に結婚資金がないことに悩む若い女性が、職場の大金を持ち逃げ。逃亡中にモーテルに立ち寄るが、なんとシャワー中に……。今さら説明の必要もない名作中の名作だが、初見の私には、驚きの連続だった。

ちょっと神経質そうだが、笑顔が素敵なモーテルのお兄さんにあんな裏があるなんて。しかも、殺人と大金横領は一切関係なし。そりゃこっちはミスリードするって。ヒッチコックおじさん、ちょっとずるくない? と思ってしまった。

シャワー室での殺人は、映画史上屈指の有名な場面。そこで流れるバイオリンの音も、しばらく耳について離れなかった。鋭利な刃物を連想させる、あのキーキーという高い音。いまだに旅先のホテルのバスルームでシャワーカーテンを閉めると、ふと、あの場面とあの音楽を思い出す。

気の毒なのは、殺人鬼ノーマンを演じたアンソニー・パーキンスだ。『サイコ』の印象が強烈すぎて、この後の出演依頼もクセのある役ばかりで、役の幅が狭くなってしまったと聞いたことがある。『サイコ』以前は、爽やかなアイビールック青年を演じていたのに。ヒッチコック、ほんと罪な人だ。

ヒッチコック本人が案内役として登場。テレビシリーズ「ヒッチコック劇場」


ヒッチコック逝去によって、80年代前半、日本でもちょっとした “ヒッチコックブーム” が起きた。1981年には、“映画の教科書” ともいわれる、フランソワ・トリュフォーによるヒッチコックのインタビュー集『映画術』の邦訳版が刊行され、映画好きの間で話題になった。女性誌でもヒッチコック作品のヒロインのファッションが特集されていた。

このブームに乗ってなのだろう。この頃テレビ神奈川で、50~60年代に制作されたテレビシリーズ『ヒッチコック劇場』が放送されていた。ヒッチコックがプロデュースした一話完結のミステリーシリーズであり、作品によってはヒッチコック自身が演出を務めている。

毎回、冒頭・中間のCM前・ラストにヒッチコック本人が登場。『世にも奇妙な物語』のタモリのごとく、ストーリーテラーとしてドラマの世界へ案内する。肥満体型の大きな体に、とぼけた語り口。熊倉一雄の吹き替えがなんともハマっていた。

オープニングテーマ曲はシャルル・グノー作曲「マリオネットの葬送行進曲」。ユーモラスでちょっと不気味なこの曲がヒッチコックおじさんにぴったり。今もヒッチコックといえば、この曲が頭の中で流れる。



トラウマ回「死人の脱走」。墓堀人と組んだ青年の運命は……


『ヒッチコック劇場』で、どうしても忘れられない強烈な回がある。タイトルは「死人の脱走」。

舞台は刑務所、主人公は銀行強盗の罪で服役中の青年。青年は長く服役している老人と知り合う。老人は元医師。囚人にケガ人や病人が出ると手当てをするのが、老人の役目だ。病人が助からないときは、刑務所外の墓地に埋葬する墓堀人まで務めている。

なんと青年、老人と組んで脱走計画を立てる。次に囚人が死んだら、死者と共に棺に入り、埋葬後すぐに墓堀の老人に棺から出してもらう…… という作戦を企てるのだ。

数日後、ある囚人が死に、計画通りに青年は死者と共に棺に入る。ところが、棺が墓地に埋葬され、掘り起こす約束の時間が来ても、老人が棺を開けてくれない。窮屈な棺の中でなんとかマッチに火をつけ、腕時計を見る。「じいさん遅いな、どうしたんだよ」。汗がだらだら出る。息が苦しい。すると、共に棺に入っている死者の顔がマッチの火に照らされる。闇の中でぼんやり浮かび上がった、その死者の顔は……。

この後どうなったか、書かなくてもわかりますよね。はぁ… おそろし。



元祖「ヒッチコック劇場」とリメイク版「新・ヒッチコック劇場」の違い


ドラマのラストシーンは、青年の断末魔の叫びからの、誰もいない真っ暗闇の墓地。茶の間でテレビを観ていた私は唖然として、背筋ゾゾッ。ラストで再び登場したヒッチコックに、「とぼけた顔で喋ってる場合かっ!」と、ツッコんでしまった。

青年がイヤな奴だったら、そりゃ自業自得と思える。だが、前半に老人の孫娘との交流が描かれたりして、結構いい奴なのだ(銀行強盗だけど)。この孫娘が、莫大な治療費が必要な病気を患っていて、脱走が成功したら、銀行強盗で奪った隠し金を孫娘に渡す約束も老人としていた。

こんなラストを迎えるなら、前半のいい人エピソードいる? それに病気の孫娘はどうなるの? ハッピーなどんでん返しを期待した私が甘かったのか。

この話、1985年に制作された『新・ヒッチコック劇場』で、「最終脱獄計画」というタイトルでリメイクされている。主人公は青年ではなく、夫殺しで終身刑となった女性。この女性、幾人もの人々を操ってきた、相当な悪女。実はいい人です的なエピソードも一切なく、同情の余地はない。こうなるとあのラストも、まあ納得できる(怖いけど)。

とはいえ、あのミスリードされまくる不条理感がヒッチコックらしさでもあるわけで。元祖『ヒッチコック劇場』のほうが、トラウマ度が圧倒的に高いのはいうまでもない。

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2022.09.12
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  YouTube / Hitchcock Presents
 

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カタリベ
1967年生まれ
平マリアンヌ
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カタリベ / 指南役