1月8日

大河ドラマ「黄金の日日」鮮烈すぎる3つの死に様!川谷拓三、根津甚八、そして緒形拳

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主役は戦国時代の商人。貿易で大成功した呂宋助左衛門の物語


私が生まれて初めて1年を通して観続けた大河ドラマが、1978年に放送された『黄金の日日』だ。本作では、戦国時代の商人の町・堺を舞台に、貿易で巨万の富を得た呂宋助左衛門(市川染五郎、現:松本白鸚)の活躍が描かれている。

それまで大河の主役といえば武士がお約束だったが、『黄金の日日』の主役は商人。さらに、フィリピンでの海外ロケや、原作と脚本同時進行といった大河初の試みがいろいろとなされ、放送当時、かなり話題になったことを覚えている。

オープニングでは、黄金に輝きながら海に沈む夕陽を背景としたクレジットに、池辺晋一郎が作った壮大なテーマ曲が流れる。この美しいテーマ曲と日没を映しただけのシンプルな映像が、堺の町の栄枯盛衰や、大海原で冒険を繰り広げる助左衛門に重なり、今聴いてもうるっときてしまう。

さらに『黄金の日日』で思い出すのが、あまりにも鮮烈すぎる3つの死に様である。

大河ドラマ史上屈指の残酷処刑? 善住坊の鋸引き処刑


ドラマ前半、助左衛門は2人の仲間と行動を共にする。1人は、織田信長を暗殺し損ねた杉谷善住坊(川谷拓三)。もう1人は、大盗賊・石川五右衛門(根津甚八)。

助左衛門(以下:助左)が、貿易に目覚めるきっかけとなったルソン島への漂着時も善住坊と五右衛門が一緒。ドラマ前半は3人の若者たちの冒険物語が主となる。善住坊も五右衛門もワルでありながらいい奴なだけに、むごすぎる最期があまりにつらい。

特に、善住坊の鋸引き処刑は、大河ドラマ史上屈指の残酷な処刑法なのでは。街道に首だけ出して生き埋めにされ、行き交う旅人に竹の鋸を引かせる。竹だから切れも悪く、なかなか死ぬことができない。巻き込まれた旅人もいい迷惑であろう。

そのことを知った助左は、占い・まじないと灯台守で身を立てるお仙(李礼仙)を連れて、処刑場に行く。血の気を失いながらも、仲間である助左とお仙を見て、ちょっとほっとした表情を見せる善住坊。お仙が力いっぱい鋸を引くことで、やっと善住坊が絶命する。

トラウマなんて言葉、軽々しく使いたくはないが、当時子どもだった私にはかなりの衝撃だった。涙とよだれでぐちゃぐちゃになった助左の顔も、鋸引きの後に流れるおびただしい量の血も込みで忘れられない。

根津五右衛門、煮えたぎる釜に、後ろ向きに頭からジャンプ!


五右衛門の最期も強烈だ。そう、石川五右衛門といえば、五右衛門風呂。伏見城の豊臣秀吉を襲撃した罪で、京都の三条河原で釜茹で刑に処される。

ものすごく残酷な死に方なのだが、このときの五右衛門がものすごくカッコいい。ニヤリと笑ってから、後ろ向きに頭から煮えたぎる釜に飛び込んでいく。根津甚八の出世作となった『黄金の日日』だが、大人になってから見返すと、五右衛門のギラギラした目にゾクッとくる。

歌舞伎の名門出身である市川染五郎。切られ役の大部屋俳優だった川谷拓三。アングラ劇団・状況劇場出身の根津甚八。出身がまったく異なる3人が物語の中で仲間となり、凸凹ながらも三者三様の魅力を見せる。前半、3人の友情が物語で輝いていただけに、善住坊と五右衛門の死の衝撃が大きい。



まさに断末魔といった様相、天下人・秀吉の最期


そして3つめが、緒形拳演ずる豊臣秀吉の死に様だ。

ドラマの見どころの一つになっているのが、秀吉の変貌。当初は、愛嬌ある人たらしのオッチャンといった感じなのだが、徐々に傲慢で憎たらしい権力者になっていく。

『黄金の日日』では、天下人・秀吉の最期にも容赦ない。寝床で吐血し、鈴を鳴らして人を呼ぼうとするが、鈴に手が届かない。布団でのたうち回り、まさに断末魔といった様相で秀吉は息絶える。

『黄金の日日』を未見の方がこのコラムを読むと、なんと残酷な作品… と思うかもしれない。だが、その残酷さを上回るワクワクがここには詰まっている。なんか大河ドラマって格式張ってるよね、と思っていた私を一転させた『黄金の日日』。私の中では今も、ナンバーワン大河なのである。

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2023.10.07
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カタリベ
1967年生まれ
平マリアンヌ
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