2025年 7月13日

還暦おめでとう!一本スジの通ったアイドル・中森明菜が老若男女から愛される理由とは?

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再び活動のギアを上げ始めた中森明菜


中森明菜は、読めない。

―― 昨年、数年のブランクを経て、4月に自身の公式YouTubeで、往年の名曲『TATTOO』や『スローモーション』のジャズバージョンの動画を公開し、7月には丸の内のコットンクラブ(キャパ180席)でファンクラブ限定ながら、久しぶりに客前で生歌を披露した明菜サン。一歩ずつだが、再び活動のギアを上げ始めた様子が見受けられた。

さて、デビュー43周年の今年は、どんな活躍を見せてくれるのだろう。個人的には、YouTubeでジャズバージョンじゃないやつとか、今度はファンクラブ限定じゃないミニライブとかを期待したいけど―― まぁ、焦るコトはない。デビュー曲じゃないけど、ゆっくり、スローモーションで。マイペースが本人にとって一番だ。

「ジゴロック2025」では生歌を4曲も披露


―― なんて思っていたら、ぶっ飛んだ。今年の4月19日、大分で開催された野外フェス『ジゴロック2025』に、明菜サンは小室哲哉サンの誘いでコラボ出演。1万3千人の前で、ジャズバージョンじゃない生歌を4曲も披露したのだ。しかも、野外フェスは初めての経験という。あのテンションの高い「DESIRE -情熱-」も、ちゃんと振り付きで、もちろんあのフレーズも――。

 Get up, Get up, Get up, Get up
 Burning love

かと思えば、6月13日には、中川家がパーソナリティを務めるニッポン放送の番組『ザ・ラジオショー』に生出演。なんで中川家? それも録音じゃなく、生放送!?―― 疑問と不安が渦巻く中、午後2時に明菜サンがスタジオ入り。あの蚊の鳴くような、語尾が口パクになりそうな喋りで放送事故にならないか―― なんて不安を吹き飛ばし、ハキハキとした、されど往年の可愛い口調で30分間のフリートークをやりきった。ちなみに、お兄ちゃんの剛サンが明菜サンの大ファンで、昨年、コットンクラブのイベントにも参戦したとか。

そうかと思えば、6月下旬、アニメ『あらいぐま カルカル団』に突如、“ボーカル” 役で声の出演。なぜ、こんなマイナーなアニメ(失礼!)に? つーか、めっちゃアニメ声じゃん!―― など、SNSが軽くバズる中、本人は至って平常運転。そう言えば、アイドル時代、よくオフの時に『Dr.スランプ』のアラレちゃんメガネをかけてたっけ… なんてコトを思い出したり――。

―― とまぁ、仕事を選んでいるのか選んでないのか、よくわからない明菜サンだけど(笑)、何より楽しそうだし、ちゃんと結果を残しているので、その選択は正しいのでしょう。まぁ、そんな先が読めないトコロが、また明菜サンの魅力でもある(褒めてます)。

今も生ける伝説であり続けるディーバ・中森明菜


そう、今日―― 7月13日は、中森明菜サンのバースデー。あまり女性のお年に触れるのはよくないが、今週16日から新宿伊勢丹で開催されるイベント『Akina Nakamori 60th Birthday Special Collaboration with ISETAN』でも思いっきり謳ってるので、大丈夫でしょう。なんと60歳の還暦です。おめでとうございます!



そこで今回のコラムは、デビューから43年を経て、今も生ける伝説であり続けるディーバ・中森明菜に焦点を当て、その変わらぬ魅力と、人気の源泉を掘り当てたいと思います、ハイ。

中森明菜、1965年7月13日、東京は大森生まれ。本名である。6人兄妹の5番目で、生後すぐ都内の清瀬市に移り、幼少期を過ごした。昨年、清瀬駅の開業100周年で、発車メロディに明菜サンの「セカンド・ラブ」と「DESIRE -情熱-」が起用されたのは、そういうコトである。まぁ、土地柄(80年代の話である)、中学時代に少々ヤンチャだったと噂されたのも、実は悪い話じゃない。

三度目の正直で合格を掴んだ「スター誕生!」のエピソード


ソレを象徴するエピソードがある。彼女が歌手を目指して、『スター誕生!』(日本テレビ系)に3回挑み、三度目の正直で合格を掴んだのは有名な話だけど、その2回目の挑戦の時。松田聖子サンの「裸足の季節」を歌ったところ、審査員の松田トシ先生から辛辣な寸評を受けた。そのやり取りがなかなか面白いので、紹介したい。

松田:歌は上手だけど、顔がとても子供ぽいから無理ね。大人の歌を歌うより、童謡でも歌ってたほうがいいんじゃない?

明菜:『スタ誕』では、童謡は受け付けてくれないんじゃないんですか?

―― 面白い(笑)。いや、素晴らしい返しである(褒めてます)。もう、この時点で後のアイドル・中森明菜が完成している。そう、歌唱力はバツグン。顔は幼く、美少女。だが、その言葉は時に鋭利な刃物のように鋭く、しかし、よく聞くと一本スジが通っている。

うがった見方をすれば、アイドル・中森明菜の魅力を誰よりも見抜いていたのは、当の松田トシ先生じゃないだろうか。なぜなら、明菜サンが一躍ブレイクしたセカンドシングルの「少女A」こそ、そんな彼女の眠れる魅力を可視化したからである。

 いわゆる普通の 17歳だわ
 女の子のこと 知らなすぎるのあなた…
 早熟なのは しかたないけど
 似たようなこと 誰でもしているのよ



「少女A」がヒットした要因


明菜サンをデビューから「ミ・アモーレ」までプロデュースした初代ディレクターの島田雄三サンは、「少女A」がヒットした要因を次のように語る。

島田:女の子というのはただ可愛いだけじゃない。本音の部分では一本筋の通った “自分” というものもしっかり持っている。そういう少女の二面性みたいなものが、明菜というフィルターを通して聴き手にうまく伝わったんだと思います。当時の明菜はまだ顔も声も幼くてね。そんな彼女が「♪ワ・タ・シ 少女A〜」ってクールな目をして歌うワケですから、これは見てるほうはびっくりですよ。

今、改めて、「少女A」を歌う明菜サンの過去の映像を見ると―― 顔は若い時のゆうこりん(小倉優子)みたいに可愛いのに、笑顔ひとつ見せなくて、打点の高いポニテに、首にはブラックチョーカー、ラメ入りの黒のドレスと、ちょっとフィフティーズの匂いもしてカッコいい。そこへ、イントロから矢島賢サンのギターソロが煽りに煽って、明菜サンは自ら考案したというマイクをぶん回す振り付けと、めちゃくちゃ最高である。

歴代シングルで最大のヒットを記録した「セカンド・ラブ」


俗に “ロックは刺さり、バラードは広がる” という。楽曲のヒットのパターンである。事実、明菜サンもロックテイストの「少女A」で世間に見つかり(刺さり)、次のバラードの「セカンド・ラブ」で大衆に浸透した(広がった)。その戦略について、先の島田雄三サンはこう語る。

島田:実は社内では “次の曲も「少女A」の路線で行こう” という声が多かったんです。同じツッパリ路線で人気を確立したほうがいいだろうと。でも僕は、明菜のイメージを固定化したくなかったし、それだと女の子の二面性というリアリティ路線からも外れてしまう。それに明菜自身、本音では「スローモーション」のようなピュアな曲を好んでいるのが分かっていたので…。できることなら、次は本人の希望を叶えて、懐柔したいという思いはありました。

 恋も二度目なら 少しは上手に
 愛のメッセージ 伝えたい
 あなたのセーター 袖口つまんで
 うつむくだけなんて



結果、サードシングルの「セカンド・ラブ」は77万枚のセールスと、彼女の歴代シングルで最大のヒット。島田サン曰く、同曲でそれまで男性ファンが7、8割くらいだったのが、一気に男女比が半々になったと。当時、女性アイドルで女性ファンが目立って付いていたのは松田聖子サンくらいしかいなかったのが、そこへ明菜サンも肩を並べたのである。

老若男女に愛されるディーバ・中森明菜の下地ができた瞬間だった。可憐な少女のような美しいフェイスに、楽曲の世界観を作り上げるシンガーとしての実力は伸び盛り。時に鋭利な刃物のような言葉も吐くが、ソコには一本、スジが通っている。そしてオフではアラレちゃんメガネをかけ、クシャっとした笑顔と愛らしい声で甘えてくる。

中森明菜が愛される理由である。


参考:中森明菜の初代ディレクター島田雄三が語る “少女Bはいらない” 本格的ディーバに覚醒!(Re:minder)

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カタリベ
1967年生まれ
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