1976年 9月5日

追悼:西城秀樹 — たて髪を振るい歌え!若き獅子たちよ

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西城秀樹のシングル「若き獅子たち」がリリースされた日
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西城秀樹さんが亡くなった。63歳だった――。

2018年5月16日。突然の訃報に、ほとんどの人が驚いたはずだ。

二度の脳梗塞に侵されながらも不屈の精神で厳しいリハビリを続け、ようやくステージへ立てるまで回復したことなど、何度もニュースで取り上げられていた… 実に無念である。

もちろんご家族の悲しみには遠く及ばないけれども、多くのファンや関係者の悲しみは、ここ数日のネットニュース、Twitter、Facebook など SNS 界隈だけでも相当であった―― それぞれが想い出の曲を語り、偉業を称え、キャプテンを務めたオールスター水泳大会や運動会の走高跳び、かくし芸大会のドラム演奏、ホームドラマ『寺内貫太郎一家』、『8時だヨ! 全員集合』の体操コーナーや『カックラキン大放送‼』のショートコントなど、懐かしい映像を探しては振り返ったに違いない。

僕も多くの人がそうしたように、ヒデキの話題を追い続けていた。そんな中、スマホをスクロールすると大体の人が、「情熱の嵐」「激しい恋」「傷だらけのローラ」「ブーメラン・ストリート」「ブルースカイ ブルー」「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」「ギャランドゥ」を推していることに気がついた。変わったところでは「眠れぬ夜」をあげている人もいた。

もちろんこれらの曲のどれもが大ヒットを記録していて、それぞれの楽曲で魅せるスタンドマイクアクションや独特の振り付け、また180cmを超える恵まれた体躯や往年のプレスリーを思わせる衣装など、どれもが僕らのヒデキを懐かしく思い返すことに十二分である。

ただ、僕にはどうしても紹介したい曲がある。これだけは外せない。それが「若き獅子たち」だ。

1976年9月5日にリリースされたこの曲は、阿久悠の作詞、三木たかしの作曲というスーパーコンビが世に送り出した壮大なバラードである。

イントロから大盛り上がりの演奏で聴く者を一気に惹きつけて、でも、歌いだしはあくまでも静かに。語りかけるような、それでいてアツく、語尾をかすれさせながら震わせるヴィブラート… 東京混声合唱団の重厚なコーラスが、さらに荘厳さを醸し出している。

僕はこの曲で西城秀樹のイメージが大きく変わったのを覚えている。いままでのヒデキは激しいアクションと吠えるような歌声で、まだ当時小学生だった僕はロックというものがどういうものなのかわかっていなかったけれど、押し迫るようなその勢い全てに圧倒されていた。ところが、この「若き獅子たち」は今までとは違う曲調だったのだ。

小学生の僕は気にしなかったけれど、いま改めて聞けば、語りかけるAメロとBメロは独立していて、Bメロは、ところどころ3連符でキメるリズムと、要所で転調を加え盛りあげてゆく構成だ。そして徐々に盛り上げた先のサビであるCメロのリズムは、なんとマーチ(行進曲)なのだ。

このサビがとにかくカッコイイ。そのメロディーと振り絞る歌声から、勇気がドンドンと湧き上がってくるのだ。


 闇よかくすな
 獅子のたて髪を
 若さを誇らしく思う時に


この「獅子のたて髪」の「たぁぁ」と振り絞って声を出す “シズル感” から「~髪を」の「~髪うぉぉぅぅぅ」というヒデキ節。そこからの「若さを」の「さぁぁうぉ」と、「さ」から「を」へ音程を甘くつなぐ歌い方など、何度聴いてもカッコイイ。何度も聴いて欲しい。この西城秀樹から繰り出される情感たっぷりの歌い方は、その後日本における様々なロックシーンに影響を与えたのは紛れもない事実だ。

当時「御三家」と言われていた野口五郎は、甘い歌い口からなんとなく軟弱なイメージがあり、郷ひろみはアイドルらしく美少年で中性的なイメージがあった。ことヒデキに関しては、女性ファンはもちろん “男が男に惚れる” 対象であり、僕はド派手なアクションもさることながら、この声や歌い方の魅力が一番だと思っている。


 太陽が昇り
 落ちて行くまでの
 ほんの短い間
 何をしたら いいのだろう

 黒い瞳のあなた
 もう何もいわないで
 熱い抱擁だけに 時を忘れそう
 ぼくは目をあげて さらばあなた


まるで哀悼の言葉のように聴こえてならない。

―― そして曲は転調し、さらに後半リズムを早めてフィナーレに向かう。

久しぶりに聴いて感動した。もう生で聴くことのできない悲しみもあって涙が止め処なく出た。それでもこの曲は何故か僕に勇気をくれる。こんなに悲しいのに、何故かエールを受けているように聴こえてならない。

そう、僕らはいつまでも悲しんでばかりではいられない。前を向く、しっかりと前を向いて歩き始めなくてはいけないのだ。だからこそ、僕はこの「若き獅子たち」を紹介したかった。たて髪を振るい歌う若き獅子=西城秀樹その人であり、ヒデキを想い偲ぶにはぴったりなはずだからだ。

2018年5月25日には通夜が、翌26日のお昼には、青山葬儀所から荼毘に付されることでしょう。
奇しくも、ちょうど45年前、1973年の5月25日は最初のヒット曲「情熱の嵐」がリリースされた日である。この曲は、その後オリコン週刊チャートで初のベストテン入りを果たし、それは西城秀樹をトップアイドルに引き上げた始まりであった…


西城秀樹さん。在りし日のお姿を偲ぶファンのひとりですが、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

合掌――



歌詞引用:
若き獅子たち / 西城秀樹


2018.05.26
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  YouTube / iroirodft27


  YouTube / ken hideki
 

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