2024年 6月23日

菊池俊輔 音楽祭【ライブレポート】アニメ・特撮テレビ音楽の巨匠!選曲監修は庵野秀明

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最高にエキサイティングなひとときとなった、菊池俊輔音楽祭


2024年6月23日、7年ぶりとなる『菊池俊輔音楽祭』がサントリーホールで開催された。

今回は選曲協力に『新世紀エヴァンゲリオン』『シン・仮面ライダー』の庵野秀明監督、そして斯界のベテランライター・早川優氏が参加されたこともあり、特定の世代にマトを絞った(ある意味 “一般向け” ではない)、誠にステキ過ぎる内容となった。演奏会というスタイルだった前回と異なり、今回はささきいさお、高野二郎、中川翔子、藤岡弘、、森本英世(50音順)という、考えうる最高な方々の歌唱が加わり、最高にエキサイティングなひとときとなった。

1931年に青森で生を受けた作曲家・菊池俊輔は、1961年に佐藤肇監督作品『八人目の敵』で映画音楽デビュー以来、特に1960年代後半から1980年代はじめにかけて映画にテレビドラマにと、ジャンル問わず凄まじい数の楽曲を世に送り出してきた。

私たち昭和40年代男にとっては、数ある “菊池節”(氏の独特のメロディーを愛好者は親しみを込めてこう呼ぶ)の中でも、ヒーロー番組のために氏が生み出した音楽が、幼少時から心に響き続けている。いやむしろ歳を重ねた今だからこそ、深く心に響くものがあるとも言える。

「どうだ参ったか!! 」と言わんばかりの布陣


さてここで、今回の音楽祭で取り上げられた作品を以下に列挙してみる。

▶︎『キイハンター』
▶︎『Gメン'75』
▶︎『暴れん坊将軍』
▶︎『ドラえもん』
▶︎『新造人間キャシャーン』
▶︎『破裏拳ポリマー』
▶︎『タイガーマスク』
▶︎『バビル2世』
▶︎『超人バロム・1』
▶︎『アイアンキング』
▶︎『ジャンボーグA』
▶︎『電人ザボーガー』
▶︎『仮面ライダー』
▶︎『Dr.スランプ アラレちゃん』
▶︎『ラ・セーヌの星』
▶︎『ゲッターロボ』
▶︎『仮面ライダーV3』
▶︎『仮面ライダーX』
▶︎『仮面ライダーアマゾン』
▶︎『仮面ライダー(スカイライダー)』
▶︎『宇宙円盤大戦争』
▶︎『UFOロボ グレンダイザー』

… まさに「どうだ参ったか!! 」と言わんばかりの布陣である。実際私はすっかり参ってしまい、帰りの飛行機の中でも茫然自失の状態が続いていたほどである。

アニソン大王、ささきいさおの “剛声” は圧巻


ささきいさおはアニソンデビュー曲「たたかえ!キャシャーン」をはじめ、「ゲッターロボ!」「とべ!グレンダイザー」などを変わらぬ “剛声” で熱唱。後半になるにつれパワーが増した感があったのは圧巻で、さすがはアニソン大王であった。

オペラ歌手の高野二郎は、2011年に『電人ザボーガー』が映画化された際、オープニング、エンディングのテーマ曲を子門真人へのリスペクトを込めてカバーした実績があり、私たちも安心して聴いていられる歌声。「アマゾンライダーここにあり」冒頭での “ア・マ・ゾ————ン!” の叫びに観客も参加。

そして個人的には『アイアンキング』のエンディングテーマ「ひとり旅」を生で聴くことができ感無量。「♪しあわせを知らぬ男が」の冒頭「♪しぃーあ」の歌い方がまさに子門真人で、私たちはハートを鷲掴みにされた。「戦え!仮面ライダーV3」を歌唱の際には、V3こと風見志郎スタイルで登場されたこともポイント高し!

MCも担当した中川翔子は、リアルタイム世代ではないながらも昭和アニソンを “解っておられる方” のお一人。菊池節における “戦うヒロインソング” の白眉、「ラ・セーヌの星」を客席のおじさんおばさんたちも納得の歌声で名唱。

森本英世は、縞のガウンをひるがえし「行け!タイガーマスク」で会場を興奮のるつぼに、そしてシックな衣装に着替えての「みなし児のバラード」では、私たちの心に深く刺さる歌声で酔わせてくれた。この曲はご自身の心情も込めて大切に歌われていると知り、さらに私たちの心は震えたのであった。



歌声も当時の本郷猛そのままだった藤岡弘、


そして藤岡弘、!テレビを通じた姿しか見ることがなかった1号ライダーこと本郷猛が、私たちと同じ空間にいる奇跡。はじめは照れ臭そうな表情で登場しながらも、「レッツゴー‼ ライダーキック」の前奏が流れるや、瞬時に本郷猛の顔に “変身” したことを私は見逃さなかった。もちろんその歌声も当時の本郷そのまま!歌唱後のトークで、ご自身が今日まで歩んでこられたのは多くの方々のおかげ、と感謝の思いを訥々と語る姿は謙虚そのものであった。

そしてBGMをメドレー演奏した「仮面ライダー “改造人間格闘” 組曲」や「ゲッターロボ組曲」「仮面ライダーV3組曲」も素晴らしかったの一言。セレクトされた楽曲のひとつひとつも、痒いところに手が届きまくりの選りすぐり。『シン・仮面ライダー』のBGMでも菊池節に最大限の敬意を表した選曲をされていた庵野監督だったので、私たちは絶大な信頼をおいていた訳だが、組曲の中に「ロンリー仮面ライダー」のメロディーが含まれていなかったことだけは “なぜなんですか庵野監督〜!” と叫びたくなった… 。

しかし改めて聴くと、『仮面ライダー』におけるライダーと敵・ショッカーのモチーフ、あるいは『V3』におけるV3と敵・デストロンのモチーフが、どちらもそれぞれにたまらなくカッコいいと感じた。強いヒーローのカッコよさももちろん必要だが、強くてワルい敵も、ある意味でカッコよくなければドラマは盛り上がらないのだ。氏の魅力的な音楽はそういった面からも作品を大いに盛り上げ、その職人技で私たちを夢中にしてくれていたんだなぁ、と今さらながら実感した。

菊池節は人生の応援歌


“菊池節といえばブラスセクション” と言われるが、私は菊池節のストリングスも大好きで、今回はステージ上にストリングス奏者の方たちがおられた下手側(舞台向かって左側)寄りに私の席もあったため、その音色をより堪能できた。

例えば「戦え!仮面ライダーV3」は前奏からラストまでストリングスが激しくかき鳴らされっぱなしだし、「ぼくらのバロム1」では後半の「♪ふたりがひとり バロローム」以降、ラストまで激しく、そしてどこか哀しく奏でられるストリングスの音色が心を打つ。そう、菊池節においてブラスがヒーローの力強さを表している一方、ストリングスはヒーローが背負う宿命の哀しさ、そして心の清らかさを表していると私は思っている。

これらの音楽に親しんでいた幼少期から時を経て、様々な経験をし、私たちは大人になった。ヒーローといえる大それた存在ではないが、自分なりに歯を食いしばり、足を踏みしめて生きてきた。つらいのは自分ばかりじゃない、ヒーローだって試練と向き合って生きている。だからまた一歩、足を踏み出してみようじゃないか。私にとって菊池節はそういって背中を押してくれる、人生の応援歌なのである。

魅力的な楽曲を遺した菊池俊輔に限りなき感謝を


—— そしていよいよアンコールでは、最近この手のコンサートでは恒例となっている、ステージ上と観客が一体になっての大合唱タイム。「行け!タイガーマスク」「ゲッターロボ!」「ぼくらのバロム1」「レッツゴー‼ライダーキック」の1コーラスずつを、本来の歌い手である歌手の皆さんに聴いていただこうというもの。

従来はこういったシーンで歌詞が配られることも多かったが、会場には歌詞などなくても歌える観客しかいなかった(笑)。我々の熱唱にオーケストラの皆さんも驚きの表情を見せながら、より迫力のある演奏で盛り上げてくださった。

「ぼくらのバロム1」の時は、司会をしていたプロデューサーの西耕一が、“天国に向けて歌いましょう!” などと言うものだから、突如悲しく寂しくなって歌えなくなったではありませんか!でも、水木一郎アニキに届くよう、頑張って雄叫びました。ブロロロロ————!

コンサートの最中も、目頭が熱くなる局面が何度となくあったが、アンコールでのオーケストラと客席が一体となった大合唱で興奮は極限に達し、もうナミダ滂沱となるやら演奏の迫力に圧倒されるやら感激に打ち震えるやら、茫然自失の体でフラフラになってしまった。

しかし茫然としながらも、感じていたのは途方もない喜びと途轍もない感謝である。幼少期から菊池節が存在した時代に育つことができた喜び。菊池俊輔と同時代に生きられたことに対する感謝。そして何より、膨大な数の圧倒的に魅力的な楽曲を遺してくださった菊池俊輔に限りなき感謝を。またいつか、菊池俊輔音楽祭が開催されることを期待せずにはいられません。

その時こそ是非、哀愁のストリングスが最高に魅力的な「ロンリー仮面ライダー」が演奏されますように!

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2024.07.07
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カタリベ
1967年生まれ
使徒メルヘン
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