そんなZARDの人気絶頂期に放たれた『Oh My Love』は、前作で確立したZARDの魅力を発展させ、さらに凝縮したような作品。突き抜けるように美しい坂井のボーカル、甘酸っぱくも爽やかなポップサウンド、キラキラした極上のアレンジが調和し、ZARDらしさが極まった曲を存分に味わえる。聴けば聴くほどに新たな発見があり、当時の私も、ZARDの楽曲にずっと浸っていたい快楽を感じた。今回はこのアルバムの魅力に、幾つかの観点から迫ってみたい。
まず冒頭の表題曲「Oh My Love」が、アルバムの導入に相応しい名曲だ。ギターを多用したキラキラ感あふれるアレンジが、青春のピュアな恋愛を綴った歌詞とボーカルを際立たせ、淡い恋心が眼前に迫ってくる。「♪ほら加速度つけて、あなたを好きになる」「♪友達のエリアはみ出した」「♪あなたといる時の 素直な自分が好き」など、心に引っ掛かるフレーズが連発する歌詞も素晴らしい。聴き終えると心が洗われた感覚に陥る。
また、今はいない恋人との記憶を歌ったバラード「I still remember」は、アルバムの中で最も心を惹かれる曲だろう。冒頭のピアノ、切ないボーカル、後半に進むにつれて盛り上がるアレンジが、主人公の悲しみを助長する。また、間奏のドラマチックなギター演奏も聴きどころ。歌詞のやるせない心境が、演奏を通じて伝わってくる。
このように、ボーカル、サウンド、アレンジが調和した『Oh My Love』からは、多くの曲が後年発売されるベストアルバムに収録され、完成度の高さがうかがえる。
1999年に発売され、ファン投票の順位により収録曲が構成された『ZARD BEST 〜Request Memorial〜』では、「Oh my love」と「I still remember」の2曲が15位以内にランクイン。また、ZARDのデビュー25周年を記念して2016年に発売された『ZARD Forever Best 〜25th Anniversary〜』では、このアルバムから8曲も選ばれている。これは、全アルバム中で最も多い。